タイの小僧さんの背中を見て育つ話 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

数年前に久しぶりにタイに行った時に、以前にはなかった小僧さんの人形が、お寺にも街中にも溢れていて、最近の旅行者や在住者の方には珍しくないのかも知れないが、私はそれまで知らなかったので、記録の意味も含めて写真と共に紹介させて頂いたことがある。

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その後も何度かタイに行く度に、この人形の定着ぶりは目に付いていたのだが、先日、インド日本寺駐在同期のH師が、ご自身のブログにタイのこの人形のことを書いておられて、実はこの人形は布施用、もしくは布施貯金用の貯金箱であったそうだ。H師も以前から目にしておられたところのこの人形を、何気なく裏返したら、人形の背中にお金を入れる切り込み口が見えたのだという。

私も何度もこの人形を目にしていながら、或いはお寺以外に仏具屋などでいろんなタイプのこの人形が、手に取りやすい状態で無造作に置かれているのを何度も目にしながら、一度も手にしようとせず、ああ、そしてまた、現地のタイ人に詳しく問い質すこともなく見過ごしていたとは(もちろん上の人形も同様に貯金箱であることを、次回の訪タイで確認する必要はあるけれど)。

タイ通の皆様には周知の事実だったのかも知れないけれど、私としてはいつも特異なアジア情報で私をインスパイアしてくれるH師に、感謝したい気持ちでいっぱいだ。

さて、それで今、タイのことをあれこれ思い出して、僧坊でタイのお経を聞いている。以前、そうした仏具屋の店先に、これまた無造作に置いてあったお経の本、VCDが付いていて、如何にもタイのお寺で聞く風な節回しのお経と、独特な画像が懐かしい。

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その昔、タイでテーラワーダ修行をさせて頂いていた頃、厳格な不殺生戒を守るタイ寺院で、そのことに慣れない私が腕に止まった蚊を殺さずに指で弾き飛ばそうとして、誤ってつぶしてしまったことがある。

そうしたらお寺のネーン(小僧さん、サーマネーラ)が、わざとしたことでないのだから、ブッダにお参りして置きなさいと言ってくれた。さすが幼少から仏教の真髄に触れる機会の多いタイの小僧さん、その出来事は、その後、私の中で、お坊さんとしての重要な核心を形作るのに、ずいぶんと影響があった。

彼は今頃、お坊さんになってお寺で修行を続けているのだろうか、それとも還俗して立派な青年になっているのだろうかと、今も時折り思い出す。

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                      おしまい。


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