風邪の効能 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

風邪を引いて少し休んでいる時に、いつも同じようなことを考えたり思い出したりするので、以下に列挙させて頂く。

・風邪を引く時というのは、身体が休みたがっている時だ。疲れが飽和点に達して風邪を引く訳だから、とにかく休まなければいけない。

・風邪を引いていると気力が落ちるから、普段のようにつまらぬことでイライラしなくなるし、細かい他人の言動が気にならなくなる。健康な時でも、そうありたいなと、病気中には思うものの…。

・インドに赴任してすぐ、灼熱の5月、2等列車の木の硬い椅子に日中、十何時間も坐ったままデリーへ向かい、身体を壊した。帰り、ヴァラナシの宿で寝込んで動けず、身体が良くなったらもっと穏やかに生きようとずっと思っていたことを、今も風邪を引くたびに思い出す。

・その頃、インドにおられた三橋ヴィプラティッサ比丘は、風邪を引くたび(インドでは誰もが定期的に身体を壊す)、白隠さんは坐禅で身体を直したんだと、自分に暗示を与えるように仰っておられたものだ。

・今度は日本で小僧の時に聞いた話。私は行ったことがなかったのだが、風邪を引いた小僧さんがよく診てもらう、近くのお医者さんがあって、その医者は、どんな風邪にも絶対にうがい薬しか処方してくれないのだという。風邪は自然治癒力で治すものだという訳なのだろう。

・先日、紹介した台湾佛光山開祖・星雲大師の「仏教の精進料理の問題に対する考え方」には、大師が風邪を引いて医者に薬が欲しいと言った時に、「風邪は治りにくいもので、薬は必要ではありません」と言われた話が載っている。
その医者曰くに、「医者が出す風邪の薬はみな慰めの薬です。風邪の種類は何百種類もあるので、症状に応じて薬を出すのは容易ではありません。やはり一番いいのはよく休み、たくさん水を飲み、温かくして汗をかくことです」とのこと。

風邪を引いた時というのは、自分の心と身体と生活を見つめ直す、絶好の機会だと思う。

※お知らせ※
タイの高僧プッタタート比丘の著作の
三橋ヴィプラティッサ比丘による日本語訳CD、
アーナパーナサティ瞑想坐禅の解説書「観息正念」、
並びに仏教の要諦の解説書「仏教人生読本」を入手ご希望の方は
タイ プッタタート比丘 「仏教人生読本」「観息正念」改訂CDーR版 頒布のお知らせをご参照下さい。 


ホームページ「アジアのお坊さん」本編も是非ご覧ください!!