飛行機の搭乗前に空港で並んでいたら、若い日本人男性二人の会話が、いやでも耳に入って来た。いやあ、こんな路線で、こんな旅の仕方するの、俺たちだけだよな、俺たちってほんとに変わり者だよな。俺たち以外、ビジネスマンしか並んでないじゃん、いないよなあ、こんな旅行者、困りもんだよ、俺たちって。
はいはい、拝聴させて頂きました。よく聞こえております。日本人バックパッカーも減りつつあると言われる昨今、頼もしい限りでございます。ああ、以て他山の石としなければ。
笠井潔氏のデビュー作「バイバイ、エンジェル」の中の、名探偵・矢吹駆の有名な初登場シーンでは、矢吹の呟いた言葉に対して、フランス人哲学教授が、思わず「サンスクリット語…」と驚くシーンがある。今ならば、それくらいのことでパリの哲学教授がのけぞるほど驚くかいなと思うけれど、もちろんお坊さんになる前、十代でこの本を読んだ時には、格好いいなと思ったものだ。
そしてその後、お坊さんになって、さらにその上、アジア仏教にご縁が出来てくると、「語学」というものが、如何に皆さまの我執に彩りを添えているかが、よく分かるようになったが、例えばそういう方たちは、「サンスクリット語」なんて言い方は決してなさらない。ここは格好良く「サンスクリット」だ。
「語」を省くと、通っぽく聞こえる言語は、他に何があるだろう? 「ヒンディー語」も、「通」の人は「ヒンディー」と言い切る傾向にあるが、あれ、どちらもインドにゆかりのある言語だなあ。
語学に限らず、地域の呼び方も、我執の妖怪が憑りつき易いジャンルだ。例えばスペインとフランスにしか行かなかったのに、「ヨーロッパを旅して来た」とか、こういう格好良く聞こえる地域名の日本語、他には何があるだろう?
「中央アジア」「インドシナ三国」「南太平洋」「スカンジナビア諸国」、いろいろと思い付くが、何にしても、すべての話が、ああ、他山の石、他山の石。
おしまい。
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三橋ヴィプラティッサ比丘による日本語訳CD、
アーナパーナサティ瞑想坐禅の解説書「観息正念」、
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タイ プッタタート比丘 「仏教人生読本」「観息正念」改訂CDーR版 頒布のお知らせをご参照下さい。
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