韓国の釜山の町中の金物屋か何かの店先に、空中に吊るしたヤカンから、いくらでも水が出て来る置物が置いてあった。残念ながら、写真を撮っておかなかったのだが、松田道弘氏の名著「奇術のたのしみ」(ちくま書房・絶版)によれば、日本でも昔はよく香具師の店先などで見かけた見世物らしい。そして、このトリックは江戸時代からあったらしく、その解説図が同書に載っている。

同じく韓国の済州島には、トッケビ・ロードと呼ばれる道があって、一見、上り坂に見える道に丸い物を転がしてやると、その物体が上り坂を登り出す。こういう道は日本にもあるようだが、要は錯覚が基となって、下り坂が上り坂に見えている、というのが、その真相。
さて、トッケビ・ロードのことを、日本語のガイドブックなどではお化け道路などと呼んでいるようだが、このトッケビについて、先日の京都新聞に面白い記事があった。
日本と韓国の小学校低学年児童20人に「鬼、トッケビの絵を描いてください」と伝えたら、日本の子供が描いた絵は、大半が角のある赤鬼青鬼の類だったが、韓国人の子供の絵は多種多様で、トッケビの性別もまちまちなら、その形状も様々だったという。
日本の子供の頭の中には、節分行事や絵本・テレビなどによって、決まった形状の鬼の姿が刷り込まれているのだろうというのが結論だった(2016年1月28日付)。
本当はトッケビにも、一応、ある程度は決まった形の主流な妖怪姿があるとされてはいるのだが、どちらにしてもトッケビは、幽鬼の姿で描かれることも多いタイの「ピー」などと同じく、本来はお化け・妖怪・霊・鬼などを含む、広範囲な概念を表す言葉だったのだろう。ちょうど赤鬼青鬼の姿に固定される前の、日本語の「オニ」という概念がそうだったように。
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