戒尺あれこれ | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

「戒尺」というのは拍子木のような形の仏具で、一般の方が目にする機会が多いのは、例えば墓前でお勤めするお坊さんが、立ったままお経を上げるのに、木魚の代わりに打ち鳴らしておられるような場合だろうか。野外・屋内に関わらず、読経の調子を整えるのによく使われる道具だ。

形状は、夜警の夜回りに鳴らす拍子木よりはずっと小さく、上方落語の見台の上で使う拍子木と同じくらいの物もあったり、サイズによってはもう少し大きかったり。

本来は授戒会の時に、儀式の区切り区切りの長さを、音を鳴らして示すのに使われたから「戒尺」と呼ばれ、俗に「音木」「拍子木」などとも言う。「佛教語大辞典」には、「もっぱら授戒会に使われる」とあるが、現在では禅宗や天台宗の坐禅を指導する際に、坐禅の始まりや終わりを示すのに使うことが多い。

他に正式な食事作法で食事を頂く場合も、唱える偈文と偈文の間に戒尺が打ち鳴らされるから、何事においても、規律ある僧院生活の節目節目を表すのに使われるのだと、考えることもできる。

そう言えば、天台宗のお坊さんは、円頓戒という戒律を受けた後、記念品に「山」のマークが入った「戒尺」を頂くのだが、今思えば、それにも深い意味があった訳だ。


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