子どもの時に読んだミステリを色々と再読しているのだが、アガサ・クリスティ作品中、屈指の名作で、とりわけ日本での評価が高い「そして誰もいなくなった」を、中学生の頃に読んだきり、一度も読み直したことがない。この名作が有名すぎて、先に結末を知っていたために、素晴らしい作品だということは分かるものの、印象が鮮烈ではなかったからだ。
とは言っても、この作品が嫌いだった訳ではない。日本製ミステリ映画との併映で、当時でも十分に古かったルネ・クレール監督版の映画「そして誰もいなくなった」が、遠く離れた町で上映されていたのを、その頃、わざわざ見に出かけたくらいだから。
で、今回、読み直してみたところ、現在のハヤカワ文庫の新訳が旧訳と比べてどうかということを、皆さんが詳しくブログなどに書いておられるが、私は幸いこの作品を余り読み返して来なかったお陰で、旧訳そのものの印象が薄く、何も気にせず読めたし、マザーグースの童謡の「十人のインディアン」が「十人の兵隊」に変わっている配慮も、最近に出た英語の原書の改変であって、日本語版の責任ではないから仕方がない。
それより何より、この作品におけるクリスティのストーリー・テリングは、他の名作に比しても絶妙で、結末を知っているにも関わらず、「巻を措く能わず」とか「寝食を忘れて読み耽る」という古めかしい表現が何度も頭に浮かぶほどに面白くて、大人にならなければこの素晴らしさは分からなかった訳だから、死ぬまでに「そして誰もいなくなった」を読み返して良かったと、心底、思った。
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