初めてインドで雨期を迎えた頃、インド人たちが、モンスーン、モンスーンと言っているの聞いて、モンスーンというのは英語だと単純に思っていたのだが、元々「モンスーン」という言葉の語源はアラビア語で「季節」を意味する「マウシム」だと聞いて、ヒンディー語で季節を意味する「モーサム」と近い言葉なのだなあと思ったものだ。
学生時代、地理や地学が苦手で、天気図を読むのも、気候に関する用語を覚えるのも苦労したものだが、お坊さんになって海外で修行させて頂いてから、多少は興味を持つようになった。例えば今言った「モンスーン」という言葉を意識するようになったのも、「タイ仏教入門」の中で著者の石井米雄氏が、テーラワーダ仏教の托鉢や雨期の安居と、熱帯モンスーン気候とのエコロジカルな関係について書いておられるのを読んだからだ。
さて、近頃、台湾によく出かけるようになって、台湾の気候は、北部が亜熱帯、南部が熱帯だといった記述を、目にする機会が多いのだが、今まで通年で暮らしたことのあるタイとインドは完全な熱帯だったから、主に亜熱帯である台湾の気候が、完全な熱帯とは微妙に違うということを肌で感じる。
古いインドの本には、インドの季節は hot、 hotter、 hotest の3つしかない、などとよく書いてあったものだが、実際のところは、4月から5月くらいに酷暑期があって、7月ごろから10月頃にかけて雨期になり、雨期が終わって3月頃までが、比較的過ごしやすい乾季、タイなども大体こんな感じの3つの季節があるが、北インドなどの乾季の朝晩は、「冬」と言っていいくらいの寒さになることもあるし、タイでも北部と首都のバンコクでは、乾季の気温がずいぶん違う。
で、台湾は沖縄より南に位置するから、日本よりは暖かいけれど、4月5月が極度に暑い、私が思うあの熱帯感はない。台湾南部の気温や降水量を調べてみると、雨の降る量は北部より南部の方が圧倒的に多いけれど、気温は台湾北部と同じく、4月頃から段々暑くなり、7月や8月にピークを迎える感じだから、熱帯北限の台湾南部の気候は、どちらかと言えば、日本のような温帯に近い。この穏やかな感じこそが、「亜熱帯」なのかとも思う。
ところで台湾の人も、インドの人も、近頃の気候は、暑い時は極端に暑く、寒い時は極端に寒い、気象がおかしいと口を揃えて言うようになった。もう地理が苦手などとは言っていられない事態になったと思う。
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