頭陀袋あれこれ | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

荷物は少ない方がいい、持ち物の多さは、そのまま執着の多さだ、お坊さんはもちろんのこと、一般の方でも同じく、ということを、何度も書かせて頂いているのだが、それは私がお坊さんになる前に、たくさんの荷物を持ち歩いていたから言えることだ。

十代の頃、袋状の大きな肩掛けかばんに、本やノートなどをたくさん入れて、どこへでも出かけたものだ。大人の人に、なんだそれは、頭陀袋みたいなかばんだなと言われて、初めて頭陀袋という言葉を知ったのだが、みっともないと言われていることだけは、その時に分かった。

その後、お坊さんになって小僧修行のためにお寺に入ると、先輩の小僧さん、と言っても、みんな私より年下だったのだが、宗門校に通う人たちが作務衣の肩に頭陀袋を掛けているのを見て、いいなあと思った。けれど、今思えば、これも執着。

その後、本山での修行を経て、タイのテーラワーダ仏教寺院に留学したら、お寺名の入ったタイ式の頭陀袋を頂いた。タイの仏具屋さんには、行脚用の大きめの頭陀袋なども売っていた。
 
 
                  
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             これはタイ式の頭陀袋

インドでは、仕立て屋さんの融通が利くので、日本式の頭陀袋にファスナーや綴じ紐を付けてもらい、実用に向くように改良した。実はこの頭陀袋を今でも使っているのだが、あくまでもそれは僧侶として、お坊さんの衣体にふさわしく、必要最低限の持ち物を携行するためだ。

などと言いながら、この頭陀袋にいろいろ余計なものが入っている日もあって、頭陀の修行とは本来、衣食住の執着を離れるための行脚行なのに、気をつけないといけないぞと自戒の念を込めながら、


     頭陀袋 捨ててぞ晴れて 無一物                                                                            おしまい。
 
 
 
               
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           これは日本式の改良後。

 
  「アジアの頭陀袋」も是非ご覧ください!!

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