
テレビ番組表というものをチェックしないので、昨日、芦辺拓氏原作の「金田一耕介VS明智小五郎 ふたたび」がドラマ化され、もうすぐ放映されるという記事を書いたら、その日の夜が放映日だった。面目ない限りで…。
さて、昨日、2014年9月29日に「鶴瓶の家族に乾杯」(NHK総合テレビ)という番組で、俳優の佐藤健氏が比叡山延暦寺を訪ね、阿闍梨(あじゃり)さんを探すという番組があると、これも人から教えてもらった。
前後編なのだが、阿闍梨さんと呼ばれる千日回峰行者を比叡山で探したら、カメラを回さない取材ならOKだと言われたところで先週の前編が終わり、その後編が昨日の放送分だそうだ。
根本中堂付近にて、一山のご僧侶方の案内で、佐藤健氏が無動寺坂を下るが、その道中で、天台宗のお坊さんたちの中でも特に比叡山の僧侶は、三年籠山という修行を経なければならないことなどが、さり気なく説明される(ちなみに三年籠山は比叡山1200年の伝統を踏まえた上で、戦後に設けられた制度)。
佐藤健氏が案内の僧侶に、お坊さんって動揺することとかって、あるんですか? と尋ねると、はい、しょっちゅうあります、突然の出来事というものに対して、一番、動揺しますと返される辺りからして、既に上々の伏線だ。
無動寺明王堂の前から、現明王堂輪番である光永圓道大阿闍梨の住坊へと向かい、本当にカメラはそこまででストップ、一時間後に佐藤氏が感動した面持ちで、また住坊の玄関に現れる。
もちろん、延暦寺の広報番組である「比叡の光」や、回峰行の堂入りや満行を伝えるニュース番組などで、光永圓道大阿闍梨のお姿が撮影されたこともあるが、本当はせめて詳細な雑誌の取材でもなければ、阿闍梨さんの人柄や回峰行の真価を伝えるのは難しいと思うから、今回の番組は、姿を映さずに阿闍梨さんの真のお姿を伝えるための、なかなかよく出来た、心憎い構成だったと言えるのではなかろうか。
「千日回峰行って、あるじゃないですか?」といった、今風な語り口なのに、仏教やお坊さんについて真摯に知ろうとする佐藤健氏の姿勢も心地よく、さればこそ、光永阿闍梨が佐藤氏に伝えた伝教大師の「依身より依所」という言葉が、佐藤氏の心を穿ち、司会の鶴瓶師匠の、「お前、ええとこ、行ったんやで」という言葉を引き出したものだろう。
これは近年の比叡山取材番組の中の、秀逸なる収穫。来週、再放送があるそうだから、見逃した方は、是非ご視聴を。
そう、テレビ番組表のチェックも、時には大切だ。
⇒再放送予定日が台風の日に当たり、放送されなかったので、NHKに問い合わせたところ、残念ながら今後の放送予定はないそうです…(2014年10月8日追記)。
※写真は光永圓道師への取材を含む2008年発行の「和楽」と、光永師のお写真なども含む2006年発行の「別冊太陽」です。
も是非ご覧ください!!
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