小豆島遍路と「二十四の瞳」 | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

壺井栄の「二十四の瞳」が好きだと言うと、どちらかと言えばひねた文学が好きな人に、どうしてまた? と訝られた。

どうしてだか自分でも分らないほどに、私自身だって、ひねた文学が好きだった十代の頃でも、なぜかこの真っ当で爽やかな物語が好きでたまらなかった。

一度、読み直そうと思って、本屋で下見してみた。そうすると、どうやら十代の頃は角川文庫で読んだらしいことが分かったが、現在の装丁や内容を見て、今回は新潮文庫で読むことに決めた。

それが7月頃のことで、その後、8月になって買いに行ったら、読書感想文の季節だからか、戦争について日本人が改めて考え直す月だったからか、たまたま見に行った何軒かの本屋さんで、「二十四の瞳」がどこも売り切れ。でもやっぱり、本は読みたいと思った時に読むべきだと、苦渋の決断でインターネットを通して買った。
 
読んで思ったことなのだが、小豆島とは原作で特定されていない瀬戸内地方の風景描写が、私の好印象に得点を加えていたのは、まず違いない。

お坊さんになってから、四国八十八ヵ所を歩いて巡礼した何年か後に、小豆島八十八ヵ所も歩いて巡ったのだが、その途中、「二十四の瞳」のロケに使われたセット村みたいな所を通ったものの、さすがに僧体の行脚姿では立ち寄れなかったことなども思い出す。小豆島は四国に比べてさらに一層、野宿の場所に事欠かなかった程に、のどかな島だった。

それはともかく、昔、読んだ本を今、読み直したとしたらどうだろうということで、最近ずっといろんな本を再読しているのだが、さて、今回読み直したこの「二十四の瞳」、もう本当に、泣いた、泣いた。
 
 
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