タイ語の「イープン」と「ジープン」の話 | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

小学校の教科書に、鳥の朱鷺(トキ)の学名が「ニッポニア・ニッポン」だと書いてあるのを見て、へえ、「ジャパン」ではなく、「ニッポン」なんだと感動した覚えがある。

なぜ、日本のことを英語で JAPAN と呼ぶかと言えば、昔の中国語読みの「日本」が訛ったからで、正確な発音や時代考証はさて置き、例えば「日本」を中国で「ジッポン」と読んでいたとすると、それが「ジパング」になり、「ジャパン」になり、ヨーロッパ各地の発音によっては「ヤパン」や「ハッポン」になった訳だ(ちなみに現在の北京中国語での「日本」の発音は「リーベン」)。

そんなことを意識したのは、ヨーロッパから遠く離れた東南アジアのタイのお寺で修行していた時で、タイ語で日本ことを「イープン」と言う。そして、この「イープン」という言葉の元の発音は「ジープン」で、語頭の J が抜け落ちる発音上の傾向に従って、「イープン」となったのだと聞いて、「ジープン」も「ジッポン」から来てるんだろうなと思ったものだ。

昔、古いタイ語の本に、「イープン」を「ジープン」と発音してはいけません、それはとても垢抜けない響きですと書いてあるのを見たことがあるが、そう言えばタイのお寺によくおられる、特に役職に就いていないような老齢のお坊さん方とお話していてすらも、「ジープン」という発音を聞いたことがない。

なぜ「ニホン」のことを、タイ語で「イープン」と呼ぶのかを、不思議に感じる人もおられるかと思って、ちょっと書かせて頂きました。



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