それが、その当時に読んでいた本を、たまたま持って電車に乗ったのか、水無瀬や大山崎の辺りが出て来る「蘆刈」を、わざとその日の日程に合わせて読もうとしていたのかも、よく覚えていない。
とりあえず、収録順に読みたいと思って、どちらも短い作品だから、行き帰りで読めるだろうと、吉野が舞台の「吉野葛」から読み始めた。
「吉野葛」の方が「蘆刈」よりも、紀行文的な冒頭が旅愁を掻き立ててくれたので、内容が、その日の行き先と一致していないにも関わらず、楽しく読めたように記憶する。ただ、大阪に帰るまでに「蘆刈」まで読み終えることが出来たのかどうか、これまた全く覚えておらず、何分、古い記憶なので…。
今、大阪と京都を法務などで行き来する時、毎度、やっぱり大山崎の辺りの山と川はきれいだなと思うので、久しぶりに「蘆刈」を読み直してみることにした。
「蘆刈」冒頭の大山崎周辺を歩く件りは、今、読んだ方が地理がよく分かって楽しかったし、今回は後から読んだ「吉野葛」の道中記も、やっぱり旅心をそそる。
現在は評価の高い「吉野葛」、発表当時は単なる手なぐさみの紀行文だなどと酷評されたそうだが、そうと見せかけた谷崎の手練の秀作である、などと、岩波文庫の解説には説かれている。
実は私は教科書の国語便覧などの口絵にある文学地図というのが大好きで、よく飽かずに眺めたものだから、私にとっては、この2つの作品の、紀行文的な部分が、とても貴重だ。
では物語部分はどうかと言うと、昔、読んだ時は、文体に幻惑されてストーリーを見失ったのか、実は全く筋を覚えていなかったのだが(覚えていないことばっかりだ)、今回は大変、面白く読めたから、大人になって昔に読んだ本を読み直すのは、いいことだと思う。
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