伊勢物語の思い出 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

 子どもの時に、既にこんな本を読んでいましたと、ちょっと自慢交じりに仰る方は多い。中にはプロの作家の方、時には結構な大家と言って良いほどの文豪でも、そんなことを書いておられたりする。
 
 文豪や天才でなくても、本好きの子どもならそんな本くらい読めるって、と思ってみたりもするのだが、さて、本日は、私が小学生の時に読書感想文で「伊勢物語」について書いたという思い出話、その「伊勢物語」は、子ども向けでこそなかったものの、現代語訳で写真や図版がいっぱい入った、子どもでも読みやすい本だったことを、あらかじめお断りしておきます。
 
 さらに言えば、「伊勢物語」は短い物語の積み重ねで、毎回、オチに和歌が付いているという形式が、子どもにも読みやすく、面白かったのだろうと思う。自分の住んでいた大阪や関西の地名が、写真と共にたくさん出て来るのも楽しかった。
 
 その感想文には、気に入ったいくつかの段落を抜き出して、それぞれに簡単な感想を書いたので、一つの作品に対して、長い文章を書くよりも、ずっと楽に仕上がったことを覚えている。
 
 中でも一番、印象に残ったのが、第六段の、女が芥川という川のそばで、鬼に一口で食われてしまい、嘆いた男が、

  白玉か 何ぞと人の 問ひしとき つゆと答へて 消なましものを
 
と詠んだという話で、先日、たまたま、この話の舞台に比定される、大阪府高槻市の芥川の近くを通った時に、そんな感想文のことなどを、ふと思い出したので、書いてみた。
 
 
 
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