初めてのインドは、ブッダガヤの日本寺に赴任する時で、デリーの空港まで日本寺のインド人スタッフが迎えに来てくれた、と言うと、お坊さんは結構なご身分だねと人に言われるのだが、そのスタッフは、一度勉強のために、一人でお迎えに行ってみろと言われた、デリーを訪れるのはその時が初めてだという新人さんで、私の名前を書いた手書きの紙を、お約束どおり、逆さまに持ちながら、震えんばかりに緊張して、心細げに立っていた。
その日ばかりはI**ホテルを予約してあると日本の国際仏教興隆協会から聞いていたのだが、現地駐在主任だった三橋ヴィプラティッサ比丘の差し金で、お坊さんがそんな高級ホテルに泊まるとは怪しからん、スリランカ系の仏教施設であるマハボディソサエティを予約したから、そちらに泊まるようにとのことですと、そのスタッフが言う。
ところが彼が調べたところ、満室のため、マハボディには泊まれなくなったとのことですと、話が二転三転し、客引きのリキシャ乗りを払いのけながら、2人で慣れないオールドデリーの暗い夜道を歩いて、場末のゲストハウスをようやく見つけて転がり込んだ。
一年後、私も少しはインドに慣れ、彼もいくらか仕事に慣れた。2人でデリーの役所へ出張ということになり、固い座席の昼の列車で何時間もかけてデリーを再訪した。
ニューデリーの駅を降りた途端、センセイ、このリキシャの男が、とても安くてきれいな宿があると言ってます、と言いながら、何度も私をリキシャに乗せようとするのを見て気がついた。
一年前、デリーのマハボディソサエティは満室ではなかったのに違いない。彼が今と同じようにして、悪徳リキシャマンに騙されたのだ。
…この後、そのインド人スタッフと一緒にマハボディソサエテイをお参りしたのも、何かの縁だ。ビルラ・テンプルとして知られる豪壮なヒンドゥー寺院、ラクシュミ・ナラヤン寺院の境内のすぐ一角に、ひっそりとデリーのマハボディソサエティはある。ビルラ・テンプルを訪れた日本人旅行者の中には、この密やかな仏教寺院の存在に、気づかれた方もおられることだろう。
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