今夜、寒空の下、路上で眠るすべての人が、安寧でありますように | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

 本日は全国的な寒波、この寒空の下、今夜、路上で眠る人もあるだろう。私は四国遍路の最中に、野宿をしていて寝袋に霜が降りたことがある。だから、屋根の下で布団にくるまって眠れるのは、幸せなことだなあと思う。

 四国の十夜ケ橋(とやがばし)は、弘法大師が宿を借りれず、橋の下で野宿したら、寒さのあまり、一夜が十夜にも思われたという故事にちなむ史跡だ。ということは、弘法大師ですら、屋根の下で寝る方が普通だったということだ。

 アジアを旅するバックパッカーで、野宿もしつつ旅する人がいるそうだが、私自身は野宿パッカーの方と実際にお会いしたことはない。

 タイのプラ・トドゥン(頭陀僧、巡礼僧)の場合、暖かい国の野宿だから、多少は体も楽だろうけれど、それでも路上で眠るときの一抹の淋しさはあるだろう。

 インドには路上で眠る人がいっぱいだ。日本の知識人の中には、彼らはまるで瞑想しているかのようだった、などと勝手なことを言う人もいるが、けれど路上で眠るインド人たちだって、お金があれば宿に泊まるし、家があれば、道では寝ない。

 今夜、寒空の下、路上で眠るすべての人が、安寧でありますように。

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※2010年2月3日投稿分を改稿しました。