鬼界ケ島の話 | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

 平家に叛いた罪で鬼界ケ島に流された3人の内、俊寛僧都だけが恩赦でも赦免されず、他の2人だけが都に帰る時、俊寛は舟にすがりつき、渚を駆け回り、足摺りして、つまりは地団駄を踏んで、自分も連れて帰ってくれと叫んだが、そのまま置き去りにされたという。

 鬼界ケ島、現在の鹿児島県三島村の硫黄島に行ってみたいと思って、それは私にとって生まれて初めての一人旅だったのだが、3日間の旅程で関西から鹿児島への船に乗った。

 ところが鬼界ケ島に渡る日が台風で、連絡船は欠航、そこで詠んだ川柳1句、

対岸で 足摺りをする 硫黄島

 結局、その後、今に至るまで、鬼界ケ島へは渡っていない。

                            おしまい。