アジアのおでん | アジアのお坊さん 番外編

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

 関西ではおでんのことを「関東煮」(かんとだき)と呼ぶ、などと説明されるが、関西でも若い人の中には、もうこの言葉自体を知らない人がいるのではないかと思う。私が子どもの頃にはまだ、夜店や駄菓子屋のおでんのことを、「かんとだき」と呼んでいたものだけれど。

 関西の「かんとだき」が味が濃くて、東京のおでんが関西風に味が薄いことについてはwikipediaなどにも書いてある通りだが、大人になって東京のおでん屋さんでおでんを食べたら、京風の薄口、ではなくて、関西人からすれば、ただ単に水くさい味でしかなかったことに驚いたものだ。

 で、結局、現在では関西のコンビニのおでんの味も、甘辛い「かんとだき」風ではなく、京風の薄口おでんなのだが、それなりにしっかりと味が付いていて、随分おいしくなったと思う。

 コンビニおでんが各国風のアレンジを経て、アジアのコンビニでも販売されていることについては、古い記事ながら、前にも紹介した2005年10月の朝日新聞の連載「便利売ります コンビニ事情」という記事が、現在でも一番分かりやすくて詳しいと思う。

 台湾では「関東煮」もしくは「オレン」、韓国では「オデン」、おでんはアジアに広がる日本食の中でも日本式ファスト・フードとして広く認知され、現代日本の老若男女にも、変わらず愛されている。

 一見、練り物が不可欠のように見えるが、大根、厚揚げ、こんにゃくなどを使って、練り物を使わずに、昆布だしの精進料理を仕立てることだって可能だ。おでんは偉い。