「H.I.S. スピリチュアルなバンコクの旅」って、なんでんねん? | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

 出た。ついに出た。いつかこんなのが出ると思ってたら、とうとう出た。などと騒いでるのは私だけで、ずっと前から似たような企画は他の旅行社からも出ているのかも知れないが、H.I.S.が、2010年9月から2011年の1月までのプランとして、「スピリチュアルなバンコクの旅」というパッケージツアーを出している。

 パンフレットを見てみると、まずはバンコク3大寺院を参拝後、アユタヤへ移動。あれ? 案外、普通だ。

 と思ったら、次の日に、エラワン・ホテルの祠に参拝。なるほど、そう来たか。タイ好きの日本人にはおなじみだけど、ツアーを好む観光客にはあんまり知られていない、タイ人の信仰が篤いサン・プラ・プロムに団体でお参りさせておいて、近くにはサヤーム・パラゴンを始め、ショッピングセンターも目白押しなので、ついでに買い物のスケジュールも組み込んであるというわけだ。

⇒その後、エラワン廟で爆発事件があり、日本でもこの祠の映像が、何度もニュースで採り上げられました。
「バンコク エラワン廟のこと」

 他にもワット・スタットなどの有名寺院に参拝して運気を向上ということで、なるほど、商売人というものは機を見るに敏だなあと思う。

 ところでパワースポットブームやスピリチュアルブームの遥か以前から、インドの場合は神秘や特殊化を売りにした旅行プランがいっぱいだ。「地球の歩き方 インド」の巻末には、昔からインド専門、もしくはインドに強い旅行社が、ヨガとかアユル・ヴェーダ体験などのプランを含んだ広告をたくさん載せている。

 ちなみにそんな広告の中に、「日本寺修行体験」とあるから何かと思って調べてみたら、ブッダガヤの日本寺の坐禅じゃなくて、ラージギルの日本山妙法寺のお題目修行とのことでした。

 エラワンにしろ、妙法寺にしろ、そんなの旅行会社に頼まなくても自分で行けるじゃん、と思うような人たちは、はなからパックツアーなんかに頼らないわけで、そうじゃない人たちの興味や関心をくすぐって、商売というものは成り立っている訳なんだなあと感心した次第です。

 今ではすっかり大手旅行会社の一社と化したH.I.S.だけど、元は格安航空券などを扱う、バックパッカーにもおなじみの旅行会社だったはず。「タイ東北部チャイヤプーム プラ・ユキ師のお寺で瞑想体験」とか、「スアンモークでアーチャン・プッタタートの教えを学ぶ」といった企画を、大手旅行社が出してくれる時代が来たのなら、私だって騒ぐだけではなくて、驚き、そして大いに喜びもするのだけれど。

                                 おしまい。