「旅行人」休刊に思うことなどと偉そうに言うほど、昔から「旅行人」のことを知っていた訳ではなくて、インドのブッダガヤの日本寺近くの、日本人旅行者向けのレストランにも置いてありますよと、確か駐在同期のH師たちに教えてもらったような気もするが、自分がそれ以前からこの雑誌のことを知っていたのかどうかすら、今では覚えていない。
その後、日本の書店でバックナンバーを読んでみたら、どの号もどの号も、とても面白い。やがて季刊になり体裁が変わっても、旅行誌業界における、その独自のあり方は揺るがなかった。
「旅行人」の休刊についてはブログなどで色々と書いておられる方もあるが、やはり「旅行人」本誌のお知らせで蔵前仁一編集長が書いておられる内容が、すべてを言い尽くしているのだろうと思う。そう言えば、2010年5月28日付の京都新聞で、バックパッカー的な旅を日本の若者がしなくなったという記事に関して蔵前氏のコメントが載っていたことも、何だか象徴的だ。
思えば2006年春号の「旅行人」に、「アジアのお坊さん」の基となった「バックパッカーのためのアジアお坊さん入門」を掲載して頂いたのだが、この原稿を仏教誌ではなく旅行誌に、それも「旅行人」に掲載して頂けたことは、何より大きな私の喜びだった。この場を借りて蔵前編集長に、厚く御礼申し上げます。