「タイの象」と「テーラワーダ仏教の実践」 | アジアのお坊さん 番外編

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旅とアジアと仏教の三題噺

1990年代前半ににめこんから出版された本には、「バンコクの好奇心」(前川健一)や「タイ仏教入門」(石井米雄)を始めとして名著が多いが、「タイの象」(桜田育夫)もそんな一冊で、タイの象に関する日本語書籍としては、今でもこれが最良の書だ。それ以前にタイの燦々社から「象と生きるスワイ族」という本が出ていたが、これは訳が悪くて読みづらかった。

同じ訳者の「自己開発…上座部佛教の心髄…」という本が燦々社から出た時、プラ・ユキ・ナラテボー師が、「タイ仏教の要点を実に要領よくまとめた本だから」と言って私に下さったのだが、これも悪訳に泣かされた。

この度、同書が「テーラワーダ仏教の実践 ブッダの教える自己開発」というタイトルでサンガから版を改めて出版された。同じ野中耕一氏の訳ながら、日本テーラワーダ仏教協会の協力で、訳文、構成、体裁、すべてが大変読みやすくなっている。タイ燦々社の本が版を改めて日本の一般書店に並ぶこと、近年の日本の上座部仏教(テーラワーダ仏教)関係者の相互の連携などを思うと、感慨深いものがある。

今年もスリンの象祭りが近づいた。人の心が象のようにおおらかでありますように。

 

 

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