鬼の兄弟 | Pip-tale
秋の風に吹かれて
不気味な、楽しそうな笑い声が響く。
“もうすぐ万聖節だからね、鬼やらゴブリンやらが
ざわめき始めるのも無理はない”
“この時期は特にあっちの世界と近くなるのさ”
この兄といえば、いつも何かと企んでいる。
そのことといえば、悪い事ばっかり!
“どうやって驚かしてやろうか?”
*
弟といえば、いつも恐がってばかり。
風の吹く音。ドアをバタンと閉める音。
“この世界に大きな音さえなければ、
おれはいつでも最強なのになあ!”
だから弟の耳は下に向かって垂れ下がってるの。

