雨上がりの夜に | Pip-tale

雨上がりの夜に

 公園の隅っこに、木が集まっている。
 街頭を囲んで、静かに話し合いを始めているところだ。
 遠くから、小さく光る星たちも、面白そうにその様子を覗き込み、
 小さく瞬き、囃し立て、チカチカ光って喜んでいる。
 
 その様子を少し離れた栗の木の下から見ていたわたし。
 …誰も気付きもしないようだ。

 真っ暗な夜の公園では、街頭に群がった木々の頭だけがハッキリと照らされ
 浮かび上がっている。まるで影絵の芝居のよう。
 雨にぬれて重たそうなその頭は、ざわざわと頷き、盛り上がるたび、揺れている。

 
 近くにある栗の木だけが、足下にいるわたしに気付いていた。しかし栗の木は
 『私は何も知らない』とでも言うように、知らんぷり。不気味な口を上の方で
 固く縛り、黙って立っているだけだった。

 
 雨上がりの夜は、生き生きとした木の様子が真っ暗な中でも、とてもはっきり
 と見えるものだ。
 そして、そんな夜は私だけが知ることができない、公園の世界があった。
 
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