12月22日(日)西院ネガポジでのギグを最後にキーマカリーズとチチワシネマから脱退するベースのノボルさんにインタビューしました!
-2019年12月22日をもってキーマカリーズとチチワシネマを脱退するとのことですが、その理由は?

ノボル:大きな理由はですね、キーマカリーズ以外にTV SCHOOLというバンドにも在籍していまして、そのTV SCHOOLとキーマカリーズという2つのバンドのバランスが取れなくなったんですね。
(TV SCHOOLのメンバーとノボルさん)

-両立が困難になったと。

ノボル:今のキーマカリーズの活動ペースで、もう一つのバンドを活動させるのが厳しくなりました。

-それは2バンドを天秤にかけたという事になると思うのですが、結果TV SCHOOLを選んだのは?

ノボル:やっぱりメロディックとかエモとか好きだったので、そういうバンドがしたかったんですよ。

-八王子のパンクシーンに憧れがあるとも聞いています。

ノボル:はい。僕が八王子のパンクを知るキッカケになったのはmalegoatで、そこからSenseless Recordsを知って、peace of bread、her spectacles、sense of identity等のバンドの名前を知りました。東京ではそういったバンドの影響を受けた人達が今も活動していますが、関西は全体のバンドの母数が多い割に今は全然居なくて…。

-シーンとして弱いと。

ノボル:ですね。東京はハードコア、メロディック、エモのバンド同士で絡みがあって活発な印象がありますけど、関西にはそういうパンクカルチャーが枯渇してるので強い憧れがあるんです。

-自分たちでも新しい波を作れたらという事ですか。

ノボル:なりより八王子と言えばニューロティカですよね?Oi Of JAPANで初めてDRINKIN' BOYSを聴いた時は衝撃でした。BYOのバンドみたいだなって。逆にASTA KASKを聴いた時には「これ、ニューロティカやん!」って思いましたよ。
-そういった八王子のパンクシーンへの憧憬も有りつつメロディックやエモーショナルハードコアに特化したTV SCHOOLを結成したと。

ノボル:バンドの基盤としてやっぱりメロディックとかエモを大事にしたいですけど、例えばそこにその時の自分達のトレンドになってるメロディックやエモ以外の音楽を足したりするぐらいはできるようになりたいとは思ってます。

-まさにノボルさんがリスペクトするニューロティカのように。

ノボル:まさにですね!メロディック、エモのリバイバルバンドではあるけど、自分達なりにアップデートしたものを表現したいです。

-TV SCHOOLの前身はSUMMERMANのコピーバンド、夏男+だと伺ってますが。

ノボル:それは、ちょっと違いますね。SUMMERMANのコピーバンドは遊びでやったバンドで、その前にTV SCHOOLは組んでます。

-そうなんですね。SUMMERMANにはやはり思い入れがあって?

ノボル:勿論です!たけこしさんに憧れて砂鉄を食べてるほど好きです。
(右からTHE GUAYSヒロシさん、2名女性を挟んでインディーインタビュアーよこちんさん、SUMMERMANたけこしさん、手前がGEZANイーグルさん)

-そのSUMMERMANを含むKiliKiliVilla勢による2015年のビッグバンは当時の10代に大きな衝撃を与えたみたいですね。

ノボル:めちゃくちゃ衝撃でしたね!BEYONDSとかNUKEY PIKESみたいに語られるバンドがこれから出てくるのかなとワクワクしてました。

-TV SCHOOLには自分のバンドという意識があるように見えます。逆にキーマカリーズはどこか人様の物というか。

ノボル:そうですね、その意識はありました。僕がキーマカリーズに加入した時にはすでに曲も揃っててアルバムを制作中だったり、色んなバンドと仲が良く、ライブにもよく誘われてたり、バンドとして形になってたのでそこに合わせていく感覚でした。

-TV SCHOOLではギターを担当されてるんですよね。

ノボル:そこも脱退の理由として大きくあるんですよ。元々ギターを弾いてたのでバンドでギターを弾きたいというのがありまして。

-ベーシストは本意ではなかった?

ノボル:実は一昨年の全感覚祭でキーマカリーズに誘われた時「ギターしか弾いた事がないからベースは弾けない」と伝えたら「ギターでもいいから!」と言われて加入したんですけど…。なので当初からバンドでギターを弾きたい気持ちがずっとありました。

-新しいデモだったり、Hi,how are you?の名古屋公演だったり、ノボルさんのベースが素晴らしかったのですが、ベーシストとしての可能性をもっと試してみたいという気はありませんでしたか?

ノボル:最近、ベースのことを褒められるようになったので、そう言われると後ろ髪を引かれる思いはありますね。でもやっぱりギターを弾きたい気持ちの方が強い!

-ベースを弾くようになったことで音楽の聴き方が変わった部分はあります?

ノボル:ベースを弾くまでは、ギターの音を拾いがちだったのですが、今は自然とベースの音も入ってきます。バンドの音作りの時も前よりはギターとベースの帯域を意識できるようになりました。

-例えばこのベーシストの凄さが分かったとか。

ノボル:未だによくわからんままベース弾いてるので、この人の凄さがわかったとかはないですね。あっ、でもすばらしかの加藤さんはやっぱり凄いですよ。
(右から加藤さん、ノボルさん、ゴツローさん)

-整理しますとメロディック、エモーショナルハードコアがやりたいというのとギターを弾きたいというのが主な脱退理由という事ですね。

ノボル:いや、それが実は…。

-実は?

ノボル:これはどちらのメンバーにも言ってないのですが…本当の脱退理由というのは違って…。

-はい。

ノボル:キーマカリーズに…異常に口が臭いメンバーが居まして…それに耐えられなくなったというのが真相なんです。
(だいせいさんのmixiより)

-そういう事だったんですか…それはそういう選択も仕方ないかもしれない。

ノボル:理解していただけて良かったです。自分達の次に出演したバンドから「マイクが臭い!」とクレーム入ったほどですから。

-今年の8月にも一度、脱退の意志をメンバーに打診してるんですよね。

ノボル:その時は全感覚祭やボロフェスが決まってて、新曲のレコーディングの話もあったので、すぐ辞めるのは迷惑をかけてしまうのでとりあえず続けてみようと。

-脱退を止めるというより先伸ばしにする感じだったのでしょうか?

ノボル:とりあえずレコーディングや全感覚祭、ボロフェスまで続けて、2つのバンドを両立できる方法を模索していました。両立ができそうなら続けようとは思ってたんですけどね。

-私としてはノボルさんに続けて欲しかったですよ。

ノボル:FAAFAAZの松本さんとやっほーのしんたろうさんを交えて話し合った時にもそう言ってもらい、親身に相談に乗っていただいたのが嬉しかったです。

-脱退したい気持ちをメンバーに告げた時、反応はどうでした?

ノボル:最初はだいせいに電話で伝えました。その時は通りすがりの人のポケットにオクラを詰めながらだったのであんまり覚えてません。

-このインタビューというのは実はだいせいさんからの依頼なんですよ。何かノボルさんに対して色々募る想いがあるように感じました。

ノボル:バンドに誘ってくれた当人ですからね。こちらもだいせいには感謝の気持ちでいっぱいですよ。

-ノボルさんから見て、だいせいさんってどんな風に写ってました?

ノボル:意外と普通の奴で、悪ノリで変なことしてる時に隠れた羞恥心が見えます。野久保直樹っぽさというか。

-その辺は歌詞にも表れてるかもしれません。

ノボル:そうですね。アルバムに入ってるような初期の歌詞は青くて背伸びしてる感じがあって好きです。書いている時点の心象風景や生活の空気感とかが詰まってるんでしょうね。今後は政治的な事も歌ってくのかな。ユウジでもクロベエでもなく。
(体育座りをしているのがボーカルのだいせいさん)

-よしあきさんはどうでしょう?

ノボル:キーマカリーズに入った時に「一番ヤバイ奴」とだいせいとゴツローに言われました。私生活は謎です。ただ、僕の事を「お兄ちゃん」って呼んでくれて慕ってくれてはいます。
(左がドラムのよしあきさん)

-ゴツローさんは?

ノボル:誰よりも先に羽目を外して、面白くないけど表立って行動しているのでバンドの顔だと勝手に思ってます。最近は広沢池付近のトイレに使用済みの生理用品を探しに行くのが好きみたい。
(ギターのゴツローさん)

-楽しそうにやってるバンドだと周りからは見られてたと思いますよ。

ノボル:実際、楽しかったですよ。最高のバンドなんじゃないですかね。中でも遠方に行ったライブは結構思い出に残ってます。

-何か思い出話とかあれば。

ノボル:そうですね…。最初に思い浮かんだのは2018年の東京のセミファイです。在来線で京都から東京まで行くのも、夜通しでライブするのも初めてだったのでめちゃくちゃハードでした。

-あの日は楽しかったですねー。
(2018年のセミファイナルジャンキーでTHE GUAYSを最前列で観るノボルさん)

ノボル:宮崎に行った時のこともよく覚えていて、海で遊んで、ライブやって、打ち上げやってと楽しいことが詰まってました。

-キーマカリーズで特に好きな曲は?

ノボル:アルバムを出した後に作った「透明」かな。メンバー全員で試行錯誤を重ねたものが上手く形になりました。自分のベースプレイだけじゃなく、バンドとしてもブレイクスルーを起こせた気がします。

-結果的にノボルさん在籍時の最後の録音物となったデモはクオリティ高いですよ。

ノボル:メンバー全員が共通して好きなのがHi,how are you?なんですね。レコーディング前にHi,how are you?のアルバム、Shy,how are you?がリリースされて刺激になったというのは大いにあります!
(2020年2月8日には武蔵野公会堂でワンマンを行うというHi,how are you?)

-キーマカリーズのバックグラウンドにHi,how are you?が大きくあるのは見てて分かります。

ノボル:自分もキーマカリーズに入る前から聴いてて好きでしたからね。昔、Hi,how are you?のインタビューで演奏がギラギラしてなくてぬくもりがあるみたいな文を見たことがあるんですけど、実際に見たHi,how are you?は違ってて、あの太ってる奴のギターがBIG FLAMEばりにキレキレだったのでビビりました!
(キーマカリーズとHi,how are you?は共演も数多い)

-新しいアー写も改心の一発って感じありますもんね。
(10ccをモチーフにしたHi,how are you?の最新アー写。通称「びっくりハワユー」)

ノボル:楽曲だけじゃなくビジュアルにも何らかのオマージュが多くて、無知な僕では拾いきれないですよ。でも明らかに主流とは違う事をやっててパンクだなと思います。

-ノボルさんのパンク観、興味ありますね。

ノボル:パンクやってる人達ってすごい活力に溢れている人が多いですよね。周りとは違う規格で行動しようとしてたりとか。

-Hi,how are you?はパンクバンドではありませんがそのような気概は確かに感じます。

ノボル:そういう行為が、ある時代や場面において何らかのカウンターだったり、ポスト◯◯みたいな形で表れている気がします。パンク観って言われるとすごく大きなテーマで返答に困りますが、僕はパンクやってる人達のそういう姿に憧れます。

-そろそろインタビューも終わりなのですが言い残した事があれば。

ノボル:キーマカリーズの活動の中で出会った人達ありがとうございました。いてこましたるねんは、今後もTV SCHOOLと並行して続けていきますのでよろしくお願いします。そして、だいせい、よしあき、あと一人。お前らのおかげでいい夢見させてもらったよ!アバヨ!!



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