ネタばれ注意でお願いいたします。
アフリカのマラウイで、洪水、干ばつによる飢饉が起きた2001年。
農家の息子は、電気を使って、村を救う方法を考えます。
当時、マラウイの電気の普及率は2パーセントで、電気を使って何ができるか理解していない大人ばかり。
お父さんの自転車を分解して、風車に使わせてほしいと言っても理解してもらえません。
洪水と干ばつで作物ができないために、作物を売ることができず、学費が払えないために、学校も追い出されてしまいます。
14歳の少年がどのようにして困難を乗り越え、村を救うのでしょうか?
というあらすじですが、一目見て、
「長男ピヨ子に見せたい!」と強く思いました。
というのも、これまで何度も
「アフリカとかの地域ではね、ご飯が無くて、お腹を空かせて亡くなる子供達がいるんだよ。」
と話してもちゃんと伝わっている感じがしなくて、なんとかして現状を知ってほしいと思っていたからです。
「内言」と「外言」という話題になりますが、同じ言葉を聞いても、頭の中でイメージしていることが違っていることがあります。
「外言」とは、「使っている言葉」で、「頭の中のイメージ」が「内言」です。
「お腹を空かせて亡くなる。」という言葉に一致する概念がない子供達に、言葉で言っても伝わらないのです。
だから、映像で実際の様子を見せるチャンスだと思いました。世界の現状を知っていてほしいという親のエゴで連れて行った映画でした。
僕としては、ここ最近で一番感動した映画で終盤は涙が止まらない状態でしたが、長男ピヨ子は「怖い!」、「楽しいのはお父さんだけでしょ!」とブチギレモードでした。
家に帰っても、プンスカ!しているので、妻がなぜそんなに怒っているのか、聞き取りしてくれたところ、「村長さんは、言いたいことを言っただけなのに、なんで、殺されちゃたの?」とのこと。
物語の中で、飢饉に苦しむ村に大統領が訪問した際、村長さんが演説の中で、
「政府が我々を助けてくれないなら、投票しない!我々は、食べさせてくれる政府を選ぶ!」
と言って、大統領を批判して、大統領のSPにリンチされてその怪我が元で亡くなってしまう場面がありました。
うちの子にとっては、何でも言いたいことが言える日本が当たり前で、言論統制がされている国があるなんて思いもしなかったようです。
「もしあなたがいやがらせや逮捕や拷問や死を恐れずに信仰や信条、良心に従ってなにかをし、ものが言えるならそうではない48人より恵まれています。」
という一節がありますが、長男5歳にとって、この外言は、一致する内言を得たと言えるでしょう。
それだけでも連れて行った価値はあったと思います。
子供を連れて行くかは、賛否がありそうですが、反対の方はお許しください。
この映画は沢山のテーマを内包しています。「民主主義の在り方」、「科学による慣習からの脱却」、「教育によって子どもが親を超て行くこと」 、「プランテーションよる後進国からの搾取」、「森林伐採による洪水、干ばつ、飢饉」などなど。
物語の中で、食料が無くなってくると、だんだん村人同士で奪い合いが始まります。
主人公の少年が、たくさんの困難を乗り越えて、風力発電を成功させる瞬間は、
「そうだよ!そうだよ!自分で作り出せる人間になるために、知識を学ぶんだよ。」
と叫びそうになりながら、観ていました。
また、いつかは、あんな風に息子が自分の肩の上から巣立って、自分を越えてくれるだろうと思うと、感激の涙が止まりませんでした。
映画の公開は終了していますが、ビデオレンタルや、各種配信サービスで視聴できるようです。
お時間あれば、ぜひご覧下さい。↓