今日おすすめしたい本はこちら。
「ふたりのロッテ」
エーリヒ・ケストナー著
(定価 800円(当時))
この本は子供の心の危機を、冒険譚というかたちで表した名作中の名作です。
優れた作家というのは、そういうことができるんですね。
この本はどの年代でも楽しく読める、何層にも重なった意味を持つ物語です。
この本は少年文学なので、おそらく多くの人は子供の頃にこの本と出会うでしょう。
そして、少女の冒険にワクワクしながらページを繰ります。
でも、その下にはいく通りもの解釈が可能な層が地層の様に重なっています。
そういう何層にも重なった物語が、人を惹きつけるのだと私は思います。
さて、私にも子供心の危機というのはありました。
なんだか子供時代は、ずっと心の危機にさらされていたようにも思います。
そんな時子供はどうするのか?
私の場合は自分と違う自分を作って、その自分に現実を乗り切ってもらっていたような気がします。
二重人格とか、そういう大げさなことではないけれど、そうでした。
そしてそんな私が、大人になってこの物語を読むとこう思うわけです。
「この双子って、本当は二つに分裂した一人の子供の心の中なんじゃないか」って。
一人の女の子は内向的です。もう一人の女の子は外交的です。
内向的な女の子がつらい試練をくぐり抜けます。
外交的な女の子がこれをサポートします。
それから二人は永遠に離れることなく、幸せに暮らしていきます。
私にはそんな風に読めるのです。
優れた作品には、いく通りもの読み方ができます。
皆さんは、この本をどの様に読まれるでしょうか。

