プンツォリンのオークション会場
先週のプンツォリンへの出張について忘れないうちに書き込んでみます。
ブータンの農林省が経営するフード・コ-ポレーション・オブ・ブータンの野菜のオークション会場を視察し、そこにおける問題点とその改善策を報告するようにと言う内容が主な出張理由です。
ブータンの食品輸出で一番多いのがジャガイモのインドへの輸出です。
ブータンは高冷地なのでじゃがいもに生育に適していて、貴重な外貨獲得手段です。
今は6月から始まり、12月で終わるジャガイモのインドへの出荷のピークです。
そのじゃがいもは此処の他、同じく国境の町のゲレフとサムドプジョンカルにあり、同じ方式でインド人バイヤーが仕入れに来ています。
今回はそのジャガイモのセリを中心に見てきました。
オークション会場での大きな問題点は入荷量に合ったオークション会場が狭いこととシステムが備わっていないことが問題点です。
手前の男性が場内を案内してくれたゼネラルマネージャーです。この奥に50~60台ほど、場外に20台以上の車がジャガイモを積んで入庫待ちで、セリが追い付かないので入荷できず、入庫するまで1週間ほど待たなくてはなりません。
また、このトラックと一緒に出荷した農民も来ています。彼らはセリ(オークション)が終わった翌日に売れた代金を貰うことになるので、さらに1日会場近くの安宿に泊まらなくてはなりません。
入荷は1週間前の予約制にして、入荷日に確実にセリが行われる体制を作ることがまず緊急の課題です。
インドへジャガイモを積んで帰る車。インド西ベンガル州の車が大半です。
インドから来ている仕入れたジャガイモを積んで帰るトラックとブータンのジャガイモを積んできた車とが、クラクションを鳴らしあっています。
入荷待ちの間に雨が降り、トラックの上のじゃがいもが濡れ、腐り始めたものも見かけられ、異臭が漂っています。
場外で待っているトラックの行列で、道路も大混雑です。
まず、入荷システムの見直しが必要です。
ジャガイモは60kgの麻袋に入っていますが、農家が単独で袋に詰めていて、中身は袋を開けて見ないと判りません。
従って、麻袋を破り、中からジャガイモを取り出しそれを見ながらオークションをしています。
赤いスカーフをかぶっているのがセリ人で、他は全てインド人バイヤーです。
因みにインド人バイヤーは100名程登録されていて、常時20名ほどがセリに来ています。
オークションが終わると、その麻袋にジャガイモを戻し、袋を縫い直しています。
そこでは人員のロス、時間のロス、じゃがいものロスが発生しています。それならば中身の見えるネット袋にすべきなのですが、ネット袋は50kgまでしか詰められません。
一部の農家はこのようなネット袋を使ってサイズ別の選別しています。
この様な荷物は優先的に受け付けるようにすれば他の農家も見習うと思われます。
セリの時間が半減できます。
トラックの運賃は1袋幾らの契約で、重量が減れば袋を増やさなければならなくなり、運賃が増加するデメリットがあります。
ところがトラックは積載量は決まっているわけで、総重量で運賃を決定できるよう政府が強力に指導をすれば可能なはずです。
また農協組織が出来上がっていないので、農民をグループ化し、共同して選別機を導入するように政府が財政支援をすれば、オークションもスムーズに行えて、選別したものは高く売れるので農民の収入も増えるはずです。
選別は現在インド人の仲買人が行っているわけで、誰かがしなければならないのなら、農民にさせて農民の収入向上につなげる施策が必要です。
また麻袋は60kgで非常に重く、インド人労務者が担ぎ上げるために手カギで引き起こしています。手カギを引っ掛けるたびにジャガイモは傷がつきます。
これを無くすには50kg以下に1袋当たりの重量を減らし、腰痛などの労災を減らすことが必要です。
大きな問題点は以上ですが、それ以外のも問題は山積しています。
FCBの他の事業所(輸入食品倉庫・輸入米倉庫・建設中のスーパーマーケット)も見てきましたので
また機会があれば報告します。