私は結婚しているが子どもはいないし、これからつくる予定もない。

どこかのタイミングで子どものいない人生を選択したわけではなく、

ただ、現状いないから、多分このままいないのだろうなという感じ。

 

そして私は自分にこどもができるかどうかを考えるとき、

たいていは実の母の言葉を思い出す。

 

まだ私が独身のころ、母と電話をしていたら

「結婚はしないのか」と聞かれたので

「結婚もしないし子どもも生まないと思う」と答えた。

 

それに対する母の返事は

「大人になる気がないんだね」だった。

 

30を過ぎてとっくに自立し、

自分で選んだ仕事で稼いで一人暮らしをしている娘に対して何を言うのかと

頭にきた。それは何年も前のことだが、ずっと覚えている。

 

その後、私は結局結婚したけれど、

それは母の言うところの「大人になる」ためではないし、

もしもこの先子どもを授かって育てるにしても、

それもやっぱり母の言うような「大人になる」ことだと思わない。

 

たぶん、実の娘だから言えた言葉なんだと思う。

 

よそのお嬢さんが独身で過ごしていても、

母は「あら、まだ独身で今後結婚する気も子どもを産む気もないの。大人になる気がないのね」

なんて言わないだろう。多分。だってただの暴言じゃないか。

もしもそれが本心だったとしても、そんな失礼なことを他人に言わないのが常識だし、

それこそ大人として当たり前のふるまいだ。

 

母が本当に私に言いたかったのは

社会が示す一般的な人生すごろくに乗って、適齢期になったら結婚出産しなさいと

いうことではなくて、それもちょっとはあるんだろうけれど、

本当の本当の心は

「孫をみせてほしい」なんだろうと思う。

 

うちは3人きょうだいだが、私を含めて誰も子どもがいない。

 

私は末っ子で、きょうだいの中で唯一の女だ。

それもあっていろいろと期待があるのだろう。

息子のお嫁さんが生んだ子どもより、

娘が生んだ子どもの方が気兼ねがないというから。

 

 

私は成人式の振袖も着なかった。

母は私の成人式のために貯金をしてくれていたが、

その時私にはどうしてもやりたいことがあって、

それに一生懸命だったから成人式には出なかった。

今も、成人式に出ればよかったという後悔はない。

 

18歳から実家を出て暮らしているということもあるが、

母と娘で楽しく買い物に行くことも、これまでほとんどなかった。

 

 

結婚はしたが、結婚式も挙げず写真も撮らなかった。

これには特別な理由はなく、単に私が結婚式に興味がなかったから。

そんな私に母は「結婚式をしないとすぐ離婚する」と言った。

その言葉は「結婚式を挙げてほしい」という本心の裏返しだったんだろう。

そこまで分かっているならドレスを着た写真くらい撮って、

あとでみせてあげれば良かったのに、

と思う気持ちも少しはあるけど、

自分がしたくないことを、誰かを理由にしてまでやりたくない。

 

母を恨んでいるわけでもないし、

大切に愛情をかけて育ててもらった感謝はある。

親からの愛情を一つも疑わずに成長してこられたことは

奇跡のようなことなんだと、大人になった今も心から思う。

 

 

田舎の母の友人たちは娘と仲が良いらしく、

結婚しても近くに住んでいるから孫とひんぱんに会えるし

娘が何歳になっても一緒に旅行に行ったり買い物に行ったりしているらしい。

母以外は、日常の中で娘との濃い付き合いがあるのだ。

そういうことをなんとなく母から聞くと、申し訳ないなとも思う。

 

母の友人の娘たちは、みんなウェディングドレス姿をみせてあげただろうし、

成人式には振袖を着ただろう。孫も抱かせてあげただろう。

そういう、娘を持つ母の楽しみを一つも叶えてあげられなくてごめんね、

という気持ちは少しはある。多分一生伝えられないけれど。

 

人が驚くほど稼いでいるわけでもないくせに結婚よりも仕事にこだわって、

積極的に子どもを生もうともしない。

それはたぶん、母にとって本当に不可解なんだろうと思う。

そういう生き方をする女の人は、少なくとも私の郷里ではほとんどみなかった。

 

だからといって、何かをどうにかしたいわけでもない。

 

ただ、書き始めたらこういう感じになってしまいました。

 

どこもそうかもしれないけれど、

母と娘で人生のプレースタイルが違いすぎるんですというお話でした。