父が来たことを妹に話した。


私達に秘密は無しだった。


店のママもとても心配していたが、私はとにかく明るく「大丈夫です、スミマセンでした!」と言った。


ママは、「嘘つくんじゃない!」と私を怒った。


お金を貸してあげれない自分が情けない、あなたを助けてあげたい、


でもね、あなたは本来親が面倒みるべき妹を養って、


かつ、父親の借金を背負うなんて、それは間違っているのよ


私があなた達を守ってあげるから!


そんな事を言われた。


ママも泣いていた。


私は涙と嗚咽と鼻水でぐちゃぐちゃだった。



この頃、すでに店の経営は傾いていたらしい。


ママは店を持ってから20年以上経っていたが、バブルの最盛期に脱税をして、その重加算税に四苦八苦していたらしい。

バブルが崩壊して、少しづつ世の中も不景気になり始め、私が勤め始めた頃を考えても明らかに暇になっていた。


お金があったら、きっとママは貸してくれただろう。そうゆう人だ。




それから数カ月して父に会った。


父は店に客として来た。知らない男と一緒に。


明らかに不快感をあらわにするママをなだめ、お願いし、店に入れた。


父は酔っていた。そして横柄だった。


いつもの父だった。


私は安心した。



閉店後、父に呼ばれてとある居酒屋へ行った。


これから一緒に商売する仲間という人たちを紹介された。


何かあったら娘の店を使ってやってくれ、みたいな事を言った。


父なりの、何か、思いみたいなものがあったのかもしれない。


しかし、メンバーを見て、こりゃだめだと思った。


皆、この商売に、首の皮1枚で必死にしがみついているような人ばかりだった。


これが失敗したら、死ぬしかないみたいな人ばかりだった。


私はきっとまた失敗すると思った。


きっとみんな、必死で金策して、どこかから借りてきたような、その大切なお金を父の為に使ってはいけないと思った。


そして、もう、父にお金を出さないでくれ、と思った。もう、父に罪をつくらせないで。



それから数カ月、父から連絡はなかった。



私と妹はまた、ケンカしながらも二人ぼっちの小さな生活を送っていた。