両親が生きていた頃、
我が家の家庭は
母の夢を叶えることが
家庭のテーマだった。
それは、
母が一番、夢に飢えて
夢を追ったから。
そんな経験をして
ひとつ言える確かなことは…
自分の夢は
他人の人生の中には無い、
ということ。
母は水泳で世界を目指し
オリンピックに出たい、
という夢があった。
単純に、
自分に叶えられなかった夢を
兄や私を使って叶えようとした。
母は勘違いをしていた。
誰でも練習をすれば
オリンピックに行けると
思い込んでいた。
確かに…
兄も私もオリンピックを
目指して泳ぐ練習を繰り返して
ある程度のレベルは身につけられた。
ただし、
兄は国体止まりになり、
オリンピックの選考会では
あと少しの差で落ちたし。
私は地元の区や市大会、
ジュニアオリンピックで
得意種目のトップを取るのが
精一杯だった。
どんなに夏休みを潰して
どんなに海外遠征をして
どんなに毎日夜遅くまで
泳ぎ込んでクタクタになっても
私たち兄妹の水泳の才能など
そのレベル以上にはならなかった。
兄は繊細なメンタルで
アートな人だった。
見事な絵を描き音楽が好きで
繊細な感性とセンスあり。
見た目も色白で肌も綺麗で
丹精な顔立ちをしている
美しい青年だった。
彼の才能は明らかに
芸術や美術に向いていた。
実は勘違いをしていた
母親もそうだった。
本人は全く気づかず
なぜか水泳に没頭して
母も水泳コーチとして
人生の大半の時間を消費した。
でも私から見ても
母親は水泳には向いていない。
私よりもずっと遅かったし
水泳のフォームも不恰好で
美しいフォームで泳げなかった。
私から見れば
母にはアートな才能が
最も強く出ていた。
母と兄は、
習ったわけでもないのに
文字や絵をとても上手に描く。
なぜ本人たちが
その才能に気づかなかったのか
分からなかった。
私が感動して誉めても
本人たちは自分の才能を
とことん否定した。
母と兄は恐らく、
本来の才能の軌道から
意識が外れていたと思う。
どんなに本人達に才能があっても
自分で認めない限り道は開かない。
その結果、
道に歪みを生じたことで
2人に起こる悲劇を招いた。
母親は人生の最期の時まで
自分の才能に気づく事なく
完全に道を外れたまま…
鬱っぽさに襲われたままで
自分の生き方も在り方も
見つけられないまま…
“私は何もできない”
そう言い続けて死んだ。
コレが全ての元凶だった。
母親が才能の飢えを起こして
兄に夢を強要する原因になり
子供の才能と時間を食い潰した
全ての元凶がコレ。
“私は何もできない”
そもそも、
兄は運動や勉強には
向いていなかった。
学校で走っても遅く
英語も苦手で通知表も
ずっと良くなかった。
水泳にも海外にも
向いていないのだ。
そんな兄を飲み込んだのが
母が起こした才能の飢えだった。
自分の才能に気づかず
自分の夢を子供に叶えてもらって
自己肯定感を満たそうとしていた。
他力本願な夢で
子供の才能と時間を
飲み込んだことで悲劇は起きた。
向いていない才能で
トップに上り詰めようと
必死でもがき苦しんだ兄は
ある意味、天才だと思う。
人と戦うことには
全く向いていない
温和で優しい性格で。
よく国体まで
上り詰めたと思う。
兄が必死で努めた役割は
飢えていた母親の心を
満たすミッションだったと思う。
母親の心が
どうしたら満たされるのか？
実際に高校生になった兄が
言ったことがある。
“どうしたら
母さんは満足するのだろうか❓
と考えるけれど、多分満足しない。”
と。
結局、
オリンピック選考会で
オリンピックを逃して。
兄は激しく母になじられ
その心を壊して暴れることになり
母を殴り倒して、家を出て行った。
壊れた関係は
そのまま修復する事なく
終わってしまった。
母が生きてきた時間で
答えがまとまることはなく。
愚痴と不満と飢えたままで
最期まで何も得た満足感なく
終わってしまった。
我が家に起きた悲劇は
“私は何もできない”
全てはこの呪縛から始まった。
もしかしたら私は…
母親と同じように
自分に呪縛をかけて
他力本願で人の時間を食い潰す、
そんな地獄を少しでも止めたいと
思っているのかもしれない。
深層心理で。
人の時間と才能を食い潰す餓鬼。
人の才能に飢えた心は
本人の人生も食い潰し、
周りの人間の人生も
食い潰そうとする。
何も遺さない。
夢は、
他人が叶えるものじゃない。
自分で叶えるものです。
努力は、
他人がするものではない。
自分がするものです。
成長は、
他人がするものではない。
自分がするものです。
人生の困難を乗り越えることは、
他人に何とかしてもらうものではなく。
自分で、乗り越えるものです。
そして、才能は…
人の中にあるものではない。
才能は、自分の中にある。
“自分は何もできない”
自分に呪縛をかけないで
いただきたい。
その瞬間から
あなたは最も大切な人たちを、
食らう餓鬼になる。
人の夢を食い潰し
人の時間に寄生して
それでもまだ足りないと
人を批判し人を罵り
人の人生を自分のエサにする。
それを最も
大切に守るべき人に
真っ先にするようになる。
自分のご機嫌は
自分で取ってください。
子供達には子供達の
大切な才能がある。
パートナーには
パートナーの人生がある。
そして誰にでも、才能は存在する。
叶えてくれる人を探すのではなく
あなた自身の内側へ向かって
あなたの才能を探して下さい。
自分には何もないと
思い込んでいる人ほど
危険な人間はいないと私は思う。
あなたには、才能がある。
自分を知っていただきたい。
あなたがあなた自身の役割を
見出して、努力して、成長して
あなたの人生を開くことです。
人の時間を食うな。
人の人生の時間は、
あなたのものではない。
自分の人生は
自分で生きる努力をして下さい。
大切なことはいつだってシンプル。
どうぞ今をたいせつに。
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