軒下のツバメの巣に、今年もツバメの夫婦がやってきた。
畑との通路で、そこは雨の日には洗濯物を干したりする場所で、
夜になると扉を閉めたりして抵抗してみたが、
やはり、去年の居心地の良さを知っているのか
意地でもここで卵を産むぞと、人の目を盗んでは
せっせと巣の補修工事も無事終わり、
一生懸命親鳥が卵をあたためている。
人の出入りが激しいし、何もそんなところに作らなくても…。
こちらが根負けをして、夜間には閉めたいドアを
ツバメの出入りの為に少し開けておくのが日課になった。
ある日、そんなところに作った意味がよくわかった。
蛇が畑からやって来たのだ。
どうやって、上にある巣においしい獲物がある事を知るのかはわからないが
確実に上にある、その巣の中の卵を狙ってとぐろを巻き、
首を(どこからどこまでが首かは知らないが)壁に滑らせてもたげ、チロロと細い舌を何度も出した。
蛇が好きな人も世の中にはいるようだが、
僕は、好きではない。
出来うるならば、なるべく出会いたくない動物の一つだ。
その距離高さにして…2メートル弱。
1メートルにも満たないその黒い蛇がどうやってその巣迄登る事ができるのか…、
ジャンプするのか?
壁を這って登れるのか?
その疑問はそのまま蛇のハンターぶりを最後迄見ていたい気持ちにも
少し気持ちが傾いたが、
親ツバメ達の心配そうな羽ばたき音で我に返った。
通路の入り口に入ると、
ツバメ達はあわてて外に飛び出す。
そんなに何度も外に飛び出していては、卵もおちおちあたたまるまい。
なるべく足音を忍ばせて通路に入り、
親鳥が今にも飛び出しそうに緊張して張りつめた体と顔をじっと見ながら
「とばんでもええよ。そのまま。そのまま」
と、最近はつぶやいている。
その言葉を聞いているのかどうかはわからないが
身をこれ以上ない程にこわばらせながらも、最近は飛び立つタイミングをなくして
ツバメと僕は見つめ合いながら、巣の下を通り過ぎる事も多くなった。
そうだ。
動物ドキュメンタリーの映像のように
このツバメの卵が蛇に取られるのを、観察よろしく眺め続ける事は出来ない。
ツバメとは少なくとも一つ屋根に暮らしている家族も同然なのだ。
僕は、箒を手にした。
箒の柄を蛇に近づけると、蛇は邪魔が入ったと、嫌な顔をしてまたチロロと舌を出して
身体をくねらして、台の上から降りて、畑に向かってすい~っと、身体を伸ばした。
ジャリっとウロコが下のコンクリートに擦れる音がした。
蛇の不思議な身の滑らせ方に目は釘付けになった。
伸びたり縮んだりという屈伸運動を繰り返しながら、前に進む姿は、気持ち悪いけれど
不思議で目が離せない。
通路に置いてある段ボールにも軽く鎌首を持ち上げて登ろうとしたので、慌てて登らせないように
頭のあたりをコツコツとたたく。
以外に素早い。
身体がクネルと怖い。
絶対人間は蛇に嫌な思い出があるのだ。
手も足もないこの蛇に対して溢れ出てくるこの恐怖感はなんなのだ。
ツバメの卵を守るという使命感がなければ、こんなに近くで蛇を追いやることなんて出来ない。
「あっ」
蛇は、通路にたくさん置いてある、段ボールの山の中に潜り込んだ。
段ボールをあちこちたたいてみるけれど、段ボールの山はシーンと静まり返っている。
段ボールの薄暗いすき間で、じっと身を固くしている蛇を想像した。
畑迄、蛇を出さなければ安心出来ない。
何度か段ボール箱の山をつついてみたが…、洗濯の途中であった事も思い出した。
振り返ってツバメの巣迄の距離をみた。
10メートル弱。
いくら蛇の足(?)でも、そんなに早くはあそこ迄はたどりつけないだろう。
通路を戻った。
ツバメの親はいつのまにか巣で卵をあたためていた。
もう一羽もそばの物干竿に止まっていたけれど、僕の姿をみて慌てて飛び去った。
巣の中のツバメと僕はじっとみつめあった。
「蛇がきたら教えてね。追っ払ってあげるからね」
ツバメは身を固くして僕の顔をみつめた。
僕はツバメに微笑んだ。
それは、生まれてはじめての正義の味方の気分だったかもしれない。
畑との通路で、そこは雨の日には洗濯物を干したりする場所で、
夜になると扉を閉めたりして抵抗してみたが、
やはり、去年の居心地の良さを知っているのか
意地でもここで卵を産むぞと、人の目を盗んでは
せっせと巣の補修工事も無事終わり、
一生懸命親鳥が卵をあたためている。
人の出入りが激しいし、何もそんなところに作らなくても…。
こちらが根負けをして、夜間には閉めたいドアを
ツバメの出入りの為に少し開けておくのが日課になった。
ある日、そんなところに作った意味がよくわかった。
蛇が畑からやって来たのだ。
どうやって、上にある巣においしい獲物がある事を知るのかはわからないが
確実に上にある、その巣の中の卵を狙ってとぐろを巻き、
首を(どこからどこまでが首かは知らないが)壁に滑らせてもたげ、チロロと細い舌を何度も出した。
蛇が好きな人も世の中にはいるようだが、
僕は、好きではない。
出来うるならば、なるべく出会いたくない動物の一つだ。
その距離高さにして…2メートル弱。
1メートルにも満たないその黒い蛇がどうやってその巣迄登る事ができるのか…、
ジャンプするのか?
壁を這って登れるのか?
その疑問はそのまま蛇のハンターぶりを最後迄見ていたい気持ちにも
少し気持ちが傾いたが、
親ツバメ達の心配そうな羽ばたき音で我に返った。
通路の入り口に入ると、
ツバメ達はあわてて外に飛び出す。
そんなに何度も外に飛び出していては、卵もおちおちあたたまるまい。
なるべく足音を忍ばせて通路に入り、
親鳥が今にも飛び出しそうに緊張して張りつめた体と顔をじっと見ながら
「とばんでもええよ。そのまま。そのまま」
と、最近はつぶやいている。
その言葉を聞いているのかどうかはわからないが
身をこれ以上ない程にこわばらせながらも、最近は飛び立つタイミングをなくして
ツバメと僕は見つめ合いながら、巣の下を通り過ぎる事も多くなった。
そうだ。
動物ドキュメンタリーの映像のように
このツバメの卵が蛇に取られるのを、観察よろしく眺め続ける事は出来ない。
ツバメとは少なくとも一つ屋根に暮らしている家族も同然なのだ。
僕は、箒を手にした。
箒の柄を蛇に近づけると、蛇は邪魔が入ったと、嫌な顔をしてまたチロロと舌を出して
身体をくねらして、台の上から降りて、畑に向かってすい~っと、身体を伸ばした。
ジャリっとウロコが下のコンクリートに擦れる音がした。
蛇の不思議な身の滑らせ方に目は釘付けになった。
伸びたり縮んだりという屈伸運動を繰り返しながら、前に進む姿は、気持ち悪いけれど
不思議で目が離せない。
通路に置いてある段ボールにも軽く鎌首を持ち上げて登ろうとしたので、慌てて登らせないように
頭のあたりをコツコツとたたく。
以外に素早い。
身体がクネルと怖い。
絶対人間は蛇に嫌な思い出があるのだ。
手も足もないこの蛇に対して溢れ出てくるこの恐怖感はなんなのだ。
ツバメの卵を守るという使命感がなければ、こんなに近くで蛇を追いやることなんて出来ない。
「あっ」
蛇は、通路にたくさん置いてある、段ボールの山の中に潜り込んだ。
段ボールをあちこちたたいてみるけれど、段ボールの山はシーンと静まり返っている。
段ボールの薄暗いすき間で、じっと身を固くしている蛇を想像した。
畑迄、蛇を出さなければ安心出来ない。
何度か段ボール箱の山をつついてみたが…、洗濯の途中であった事も思い出した。
振り返ってツバメの巣迄の距離をみた。
10メートル弱。
いくら蛇の足(?)でも、そんなに早くはあそこ迄はたどりつけないだろう。
通路を戻った。
ツバメの親はいつのまにか巣で卵をあたためていた。
もう一羽もそばの物干竿に止まっていたけれど、僕の姿をみて慌てて飛び去った。
巣の中のツバメと僕はじっとみつめあった。
「蛇がきたら教えてね。追っ払ってあげるからね」
ツバメは身を固くして僕の顔をみつめた。
僕はツバメに微笑んだ。
それは、生まれてはじめての正義の味方の気分だったかもしれない。