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身長178cm。


体重58kg。


高学歴、高収入。


ぱっちり二重のさわやか系。


所謂イケメン。


服はお兄系で、

ブランド物のシャツの襟を立ててさわやかに着こなす。


学生時代は遊んできたが、

社会人になって、遊び心も落ち着き、

仕事に一生懸命。


女の扱いには慣れていて、

店や遊ぶ場所は詳しい。


地頭が良くて

会話をしていて楽しい。

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私の理想の男性像。




私はそんな「理想的な男」に出逢ったとしても、


一体その人をどうしたいんだろう?


そんな事を考えた三連休の1日目でした。





それは彼の何気ない一言から始まりました。


「お前さ、今日俺といて楽しい?」


別に


「うん、楽しいよ☆」


って答える事はできたけど、

どうしてもうなずく事ができなかった。




三連休と言うことで、

理想の男とその休日を過ごす事になった私は、

少なからず、胸を躍らせ、

この休みを心待ちにしていました。


天気予報は台風で、

予定は大幅に変更になったものの、

なんとか台風の中、

傍から見たらラブラブなカップルのような時間を共有した2人。


この日は横浜のホテルを予約してあって、

もうチェックインも済ましてお腹が空いた頃なので、

夕ご飯でも食べに行こうと、ランドマークタワーの中のレストランで、

彼はいきなりそんな質問をしてきました。



「そんな質問一緒にいる女皆に聞くの?」


私の回答はこれでした。


「いや、楽しそうにしてる奴はわかるからさ。

お前はわかんないから。」


確かに。


楽しそうにしていたら、

自分だって、相手だって楽しいってわかるし感じるもの。


私はこのとき正直言って自分が楽しいかどうかわからなかった。


三連休。

私の理想の男性とのデート。

手を繋いで水族館に行って、雨の中の海をドライブして、

高いホテルに素敵なレストラン。


材料は揃っていた。


けど、この虚しい感覚は何なんだろう。


その彼の質問の後にいくつかの

差し障りない会話を繰り返した後、なんとなくさっきの言葉が引っかかっていた私は思わず

してはいけない質問を口にしてしまった。


「あたしわかりにくいかな?

けどそっちも何考えてんだかわかんないよ。」


「そお?俺わかりやすいと思うけどな」


「そもそもさ、彼女いないって言ってたけど、

本当にいないの?」


口にした瞬間、

あぁ、墓穴掘ったなって気付いてはいたんです。


こんな状況で、

そんな話を持ち出して、

いい事が起きるわけがない。


「どおなんだろう。

俺はいないと思ってるけどね。」


案の定話の雲行きはその日の天候と同じように、

大荒れで、

彼は正直に今の彼の考えや状況を話してくれました。


私のように、たまに連絡を取り合って、

時間が空いたときにたまーに会ってデートをして・・・・。

そんな女は何人かいて、

今は彼女は作る気がないし、そんな生活が丁度良い。


そんな内容の話でした。


わかってるよ。


そんなん言われなくたってわかってるし、

私にとって彼だってそんな存在だよ。


そんなんわかってるけど、

どうしてこうはっきりと口にされると、

こんなにも虚しくて、

こんなにも寂しく、

なんて無駄な時間だって思えてくるんでしょう。


別に彼と付き合いたいわけではない。


彼も同様に感じているのは知っていて、

それをわかって会っているのに、

なんだかそんな事をはっきりと言われると、

不思議と涙が溢れてきたのです。


それは彼とのこの時間の事のみではなくて、

私の生活そのものに対する涙でした。


今週はディズニーシー行って、

来週は白浜行って、

その次は隅田川の花火行って・・・・・。


私の夏の週末の予定はどんどん埋まっていったけど、

全部違う男とで、

別にその男と付き合いたいわけでもなく、

私は一体何をしたいんだろうって。


確かに男は好きだから、

男と一緒にいたいんだけれども、

それが一体なんのためで、

自分も男も何がゴールで一緒にいるんだろう。


「俺は自分の目標のために生きてるから、

仕事を第一に優先してる。

今俺らは若いから、どうしてもそれを理解できる女ってのはいないんだよ。


だからそれを理解できるような人ができたら結婚すれば良いんじゃないかな?


それまではどんな女と何をしようと、したいようにすれば良いんじゃん?


お前だってそおだろ?別にそれを悪いことと思う必要性はないと思うよ。」


おっしゃる通り。


私も彼氏のいない時はそお思ってフラついてるんです。


けど私がそんな彼の言葉をいあっさりと受け入れられないのは、

男女の差だったりもして。


彼は「仕事」という自分の中の軸を絶対にブラさないから、

彼の人生の中で「女」という存在が

その軸を変えることはありえない。


けど、私、

というか女という生きものは、

生物学的に子どもを生んで、それを育てるっていうさだめがあるから、

「仕事」という軸だけを考えて生きていくわけにはいかない。


結婚、出産、育児。


様々な要因が人生の軸に絡まってきて、

逆に言うと様々な選択肢がある。


もちろん男と一緒で仕事だけに生きる事も可能だし、

結婚だけを考えて、良い男を見つける事だけに力を注ぐことも可能。


後者の方が楽チンなのは一目瞭然だけど、

そんな人生マッピラごめんだって考える私は、

どっちつかずで人生のゴール(目標)を見失っている。


だから彼のようにその二人の時間を、

今の二人の関係を

開き直って考えることができないんだと思う。


そしてなんかそんな難しい事じゃなくて、

ただ単純に、

一緒にいる男には、嘘でも

「お前だけだよ。」

って言って欲しかったっていうのが

23歳の、まだ大人になりきれていない普通の女の子の気持ちだったりもする。


「お前そんな事わかってた事だろ。

そんなんだったら最初から来るなよ。」


頭が良くて27歳の女の扱いに慣れた大人の彼でも、

結構あっさりとしている私が、

まさか正直に話をしたら私が涙するということまでは、

想像がつかなかったようです。


おっしゃる通りだけど、

そんな事わざわざ口にする事もなくない?


そこはまだまだ彼も若い証拠なのかと。



そんな話をした私たちは、

その話をする以前のような

ニセモノのラブラブカップルを演じる事もできず、

気持ちが離れたまま夜を過ごし、

せっかく晴れた次の日も楽しい時間を過ごす事ができず、

あっさりと解散したのでした。


こんなに寂しくて、

腹立たしくて、

悔しくて、

こんな今の気持ちを埋めてくれるのは、


やっぱり別の男なわけで。


また今夜違う男と会う約束を取り付けたわたしは、

本当に終わってるか、

はたまたキチガイか。




私のゴール地点は、

まだまだ見える兆しさえありません。