
三代目桜京之介座長


小桜あきなちゃん
お江戸の女


小春かおりちゃん
桜月夜情話

桜春之丞座長
いろは唄





桜京誉御大
こんな女と暮らしたい
ラストショー『愛の言霊』

桜春之丞座長

三代目桜京之介座長



第二部 お芝居
遊侠三代
親分、川喜多長次は子分を使って、幼い頃に生き別れた兄を探していた。兄は津軽なまりの32、3才の旅人とだけは分かっていた。
おこもさんを助け、聞くと、やくざの流れ者のなれの果てだった。おこもさんの仲間にも、兄を探してもらうように頼み、金子を与えて別れる。
子分が家で親分を待っていると、ライバルで一家を張っているやくざが雇った殺し屋がやって来る。
若頭が突きだした匕首を取り上げて殺し屋が投げると、床に突き刺さります。本身ではありませんか。お芝居で本身を使うのは初めて見ました。
その殺し屋は親分を呼び出した。若頭は、自分が犠牲になるつもりで親分を装って果たし合い場へ向かう。
以前に何度も見たお芝居でした。その時は殺し屋は春日隆さんでした。今回は、おこもさんでした。非常な殺し屋から、よれよれの可哀想なおこもさんです。真に迫って、風が吹きすさぶようなひんやりとした心地がしました。
以前はその殺し屋と川喜多長次が親子の設定でしたが、今回は兄弟の設定でした。
愛ちゃんの若頭が、尻ぱしょりに頬かむり、袖をたくしあげ刀を持って果たし合いの場に行く時、浮世絵でこういう光景を見た気がしました。
若頭が殺し屋と切り結んだ時、あることに気づき、『津軽なまりの30と2、3』と言ったとたん、その殺し屋に喉を切り裂かれてしまいます。飛び散る血。
瀟々と降りしきる雪。その亡骸に降り積もっていきます。この時、若頭に最後まで言わせておけば、悲劇はおこらなかったでしょうに。
そこへ、真実を知った長次が駆けつけます。切り結ぶ内に、殺し屋の言葉に津軽なまりを聞き取る長次。驚愕して見合わす顔に殺し屋は弟の面影を見いだし、手を伸ばした刹那、長次の刀が胴を払う。
親分であるからには子分の仇を取らねばならぬ浮き世の義理。悲しい兄弟がひしと抱き合う上からも瀟々と雪が降りしきります。滝のように流れる涙。暗転し、二人に当たった光の中、ゆっくりとその場が回転し、二人の哀しみで満ち満ちていきます。
あたかも降りしきる雪が二人の、いや、三人の涙ででもあるかのように、観ている私たちの上にも降りました。天井を見上げると、真上から降って来て、天空から降ってくる雪のようでした。
長次は迷った末に、自分の羽織を若頭に着せる。そこへ、もう一人の子分が駆けつける。若頭と苦楽を共にしていたかわいい弟分です。
陰から見ていたおこもさんが現れると、長次は血縁ではないけれども、やくざ稼業で人生を損なった男の初代として、兄の弔いを頼んで、去って行きます。
解釈が素晴らしくて感動しました。以前は若頭に羽織を着せるのは、子分が来たから仕方なくでしたが、今回は、親分のけじめとして、又、愛情として、自分のために死んでくれた若頭に迷いながらも着せます。又、おこもさんも血縁ではないけれども、人生を誤った初代として焦点が当てられ、三代、と銘打つお芝居になったと思いました。
ひしと抱き合い涙する場は何度思い出しても、素晴らしいお芝居を観た、という満足がよみがえります。
花吹雪のお芝居はこれだけではありません。時間の関係からその時書けませんでしたが、以前観たおしばいで、宿に泊まった二人が、何と言うことのない軽口を叩き合う場面がありました。その間、と言ったら。楽しくて面白くて、名漫才師の漫才を聞いているようでした。
その時も、今回も、花吹雪は、どんどん進化している、と強く思いました。
