親友である余命いくばくもないギリシアの大富豪の老人から、あることを頼まれてしまった孤独なイギリス人女性、ジョアンナ。
彼女は親友の老カストロのために、彼と一緒にギリシアの豪華な屋敷へと出向いた。
老人の愛人のふりをして・・・。
まさに、設定も展開もロマンスの王道を行くようなお話です。
幸せに縁のなかった孤独な美しいイギリス人女性と、彼女を「父の愛人」と嫌悪しようとしながらもひかれずにはいられない大富豪の御曹司。
孤独な女性は全然めそめそしたところがなくて、とても毅然としていて美しくて、そしてギリシアの大富豪のお坊ちゃまも、育ちが良くて純情で傲慢なところはありません。バックパックで旅行をしたことがあったりと、なかなかの好青年。
つまりとってもいい人たちだからこそ、ひかれてはいけない相手に対してためらい躊躇するのでした(読んでるほうはロマンスのじれったい快感MAXです)
作画は藤田 和子さん。
ヒロイン、ヒーローの顔だけではなく全身のたたずまいの美しさにため息ものです。
ストーリー
お芝居をしないか ジョアンナ
お芝居? なんです コンスタンティン
私の―若き愛人役をやらんかね?
親しい友人として、そして父のように慕っているギリシアの海運王、コンスタンティン・カストロに愛人のふりをしてほしいと頼まれたジョアンナ。
コンスタンティンは不治の病で余命いくばくもなかったが、末娘の結婚式が済むまではそれを家族に内緒にしておきたい、そうでないと結婚式が取りやめになってしまうと心配し、父が若い愛人を連れてくることで家族の目をそらせるだろうと考えたのだ。
コンスタンティンの愛人としてジョアンナを迎えたコンスタンティンの息子、デメトリ。
若く美しく、しかも既婚者のジョアンナ。
彼は自分でもあきれながらも、ミセス・ジョアンナ・マニングに惹かれていく。
そしてジョアンナもまた、デミトリに警戒されているのを感じ彼を危険な存在と思いながらも意識せずにはいられないのだった。
ジョアンナに会うまでは、父の愛人のことを勝手に軽い女だと想像していたデメトリは、
彼女の経歴を調べさせ、彼女が貧しく苦労したこと、若くして叔母の介護をしていたことなど、意外な一面を知ります。そして彼女が離婚調停中であることも…。
父に献身的に尽くし、そばにいるジョアンナを複雑な思いで見るデメトリ。(それは嫉妬です…うふ)
二人はお互いに警戒しながらも、惹かれあわずにはいられません。
成り行きで二人きりで出かけることになったドライブ。
転びそうになったジョアンナを抱きかかえて一緒に倒れるデメトリ。
触れあいそうで、キスしてしまいそうで、できない。
一瞬目があってもふっとそらしてしまう。
この空気感がたまりませんわ(笑)。
末娘の結婚式の後、浜辺で偶然二人きりになって、キスをしそうなほど顔を近づけあうのに、躊躇から体を離してしまう二人。
このシーンなんかとってもすてき。お互いに求め合っているのに、お互いの目に戸惑いがあふれて、手と髪がそっと離れていく描写なんか、藤田和子さんのお見事な表現力です。
もどかしいほどすれ違い、相手が不在になると、その寂しさに、静寂の中にたたずむしかないジョアンナとデメトリ。
それでも、とうとう、運命の夜が。
ジョアンナから、彼女が元夫からどんなひどい目に遭わされたかを聞かされたデメトリ。
そしてようやく結ばれて、デメトリはジョアンナが初めてだったと知り驚きます。
ところがその時大きな出来事が・・・。
老カストロが亡くなり、イギリスへと去って行ったジョアンナ。
数か月後のある日、彼女のアパートを訪れたのは…。
最後までもどかしく、ロマンス萌えさせていただける王道のお話でした。
デメトリのパパも、二人の心の動きが分かっていたのでしょうね、最後まで素敵なパパでした。
素敵なエンディングを天国で喜んでくれているでしょう
原題は「His Virgin Mistress」(彼の無垢な愛人)
…そのものずばりですね
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