よぅ、ぴんく様だ。
世の中、十人十色。
人の好みややり方は様々だ。
食事一つ取っても好きな物をどのタイミングで食べるのか。
そんな論議さえも交わされる毎日。
それも人が人である故。
今日お話するのは、好きな物を最後に食べることに人生をかけた男の話だ。
俺には仲の良い友人がいた。
名は心霊博士(仮)だ。
彼は食事の際、必ず好きな物を最後に食べていた。
食事が終わってからは、次の食事まで何も食べないこだわり様。
何故なら食事の後に仮にお菓子でも食べようものなら、それが最後の締めくくりになってしまうから。
一度、心霊博士は食事で大好きな唐揚げを最後に食べていた事があった。
俺は食事後に半ば強引にチョコレートを与えたことがあった。
初めは断っていたが俺があまりにしつこいので、彼はチョコレートを食べた。
しかし、彼はその後驚くべき行動を取った。
なんと、再び唐揚げを買いにスーパーに走り出し、再び唐揚げを食べたのだ。
凄いこだわりだ。
彼にはデザートなどの概念などはなく、ただ好きな物を最後に食べる、それだけなのだ。
そして彼のもう一つのルール。
それは、食事は絶対に残さない。
その二つのルールの中で彼は食事をするのた。
だが、そんな彼にも悩みはある。
どうやらカップ麺を食べる事が出来ないらしい。
もちろんカップ麺が嫌いなのではなく、彼の二つのルールに当てはめることが難しいのだ。
そう、カップ麺はお湯を入れてから3分が食べ頃。
つまり、心霊博士にとって、お湯を入れてから3分たった麺を最後に食べることが理想。
食べ始めが3分では、食べ終わりはデロデロの麺になるため、一番の理想ではない。
一度、お湯を入れて1分ほどでかき混ぜ始め3分経つ頃に食べおわすという作戦も考えたらしいが、麺を2分で食べきるのは彼には難しく断念したそうだ。
そんな彼がある日突然カップ麺を食べるから見に来てくれ、と言い出した。
どうやらカップ麺を彼の二つのルールに則って食べることに方法を見つけたらしい。
俺は彼の元に向かった。
指定された場所に行くと、彼はカップ麺とお湯を準備して待っていた。
「とうとう、攻略法を見つけたのか?」
「あぁ。」
俺の問いに自信満々に応える心霊博士。
「見せてくれ、お前の食べ方を!」
「任せろ!」
彼は言いながらカップ麺のフタをあけた。
彼の食べ方は俺の想像を超えていた。
なんと、まだお湯を入れていない麺を取り出し食べ始めたのだ。
バリバリ、バリバリと。
こいつ、最後を美しく飾るために前半を捨てたのか!
そして半分ほど食べると麺を容器に戻し、お湯を注いだ。
お湯も麺も計算されつくされた量だ。
そして1分後、麺を箸でほぐし硬めの麺を食べ始めた。
そして2分後。
彼は麺を食べ尽くした。
そう、一番の食べ頃の麺を最後にすすりフィニッシュしたのだ。
お見事!
「お前、凄いな!
硬い麺そのまま食べ始めたときは狂ったのかと思ったよ!」
「はっは、終わりよければ全ていいんだよ。
俺の心は達成感でいっぱいだぜ!!」
俺の賛辞に彼はカップ麺のスープを飲みながら、目を潤ませ声を震わせ応えた。
どうやら相当厳しい道のりだったのだろう。
カップ麺のスープをすする彼の顔は輝いていた。
…あれ?
俺は気になる質問を投げかけた。
「なぁ、お前は好きなもの最後に食べる。
だからカップ麺にもこんなにこだわったんだよな?」
「ん、そーだよ。
なんだよ、急に!
言ったろ、3分たった麺のためさ!」
「あ、いや…
じゃあ、さ…
お前が今飲んでるスープて一番好きなわけじゃないんだよな。
それって、その…
…違くね?」
「…え?」
「最後にスープ飲んでんじゃん。
駄目じゃん、スープ最後にしちゃ。
麺の後にスープ飲んでんだよ。
駄目じゃん。
スープ最後じゃん。」
「…え?
…はぁ、はぁ…」
「あ、スープ飲まなくていーじゃん!
したら麺が最後になるから最後に一番好きなもので締めた事に…」
「全部食べなきゃ駄目なんだよ!!
意味がないんだよ!!!!
うあぁぁぁーー!!!!!」
突然彼は怒り出し暴れた。
有り得ないくらいに。
俺はいたたまれない気持ちになった。
「あの、俺帰るね。」
彼か聞いていないのは分かっていたが、一言かけて帰った。
得体の知れない罪悪感を胸に。
その後、彼は消息を絶った。
今どこで何をしてるんだろう。
それは誰も知らない。
心霊博士…
今も僕の心を締め付ける思い出です。
さようなら。
世の中、十人十色。
人の好みややり方は様々だ。
食事一つ取っても好きな物をどのタイミングで食べるのか。
そんな論議さえも交わされる毎日。
それも人が人である故。
今日お話するのは、好きな物を最後に食べることに人生をかけた男の話だ。
俺には仲の良い友人がいた。
名は心霊博士(仮)だ。
彼は食事の際、必ず好きな物を最後に食べていた。
食事が終わってからは、次の食事まで何も食べないこだわり様。
何故なら食事の後に仮にお菓子でも食べようものなら、それが最後の締めくくりになってしまうから。
一度、心霊博士は食事で大好きな唐揚げを最後に食べていた事があった。
俺は食事後に半ば強引にチョコレートを与えたことがあった。
初めは断っていたが俺があまりにしつこいので、彼はチョコレートを食べた。
しかし、彼はその後驚くべき行動を取った。
なんと、再び唐揚げを買いにスーパーに走り出し、再び唐揚げを食べたのだ。
凄いこだわりだ。
彼にはデザートなどの概念などはなく、ただ好きな物を最後に食べる、それだけなのだ。
そして彼のもう一つのルール。
それは、食事は絶対に残さない。
その二つのルールの中で彼は食事をするのた。
だが、そんな彼にも悩みはある。
どうやらカップ麺を食べる事が出来ないらしい。
もちろんカップ麺が嫌いなのではなく、彼の二つのルールに当てはめることが難しいのだ。
そう、カップ麺はお湯を入れてから3分が食べ頃。
つまり、心霊博士にとって、お湯を入れてから3分たった麺を最後に食べることが理想。
食べ始めが3分では、食べ終わりはデロデロの麺になるため、一番の理想ではない。
一度、お湯を入れて1分ほどでかき混ぜ始め3分経つ頃に食べおわすという作戦も考えたらしいが、麺を2分で食べきるのは彼には難しく断念したそうだ。
そんな彼がある日突然カップ麺を食べるから見に来てくれ、と言い出した。
どうやらカップ麺を彼の二つのルールに則って食べることに方法を見つけたらしい。
俺は彼の元に向かった。
指定された場所に行くと、彼はカップ麺とお湯を準備して待っていた。
「とうとう、攻略法を見つけたのか?」
「あぁ。」
俺の問いに自信満々に応える心霊博士。
「見せてくれ、お前の食べ方を!」
「任せろ!」
彼は言いながらカップ麺のフタをあけた。
彼の食べ方は俺の想像を超えていた。
なんと、まだお湯を入れていない麺を取り出し食べ始めたのだ。
バリバリ、バリバリと。
こいつ、最後を美しく飾るために前半を捨てたのか!
そして半分ほど食べると麺を容器に戻し、お湯を注いだ。
お湯も麺も計算されつくされた量だ。
そして1分後、麺を箸でほぐし硬めの麺を食べ始めた。
そして2分後。
彼は麺を食べ尽くした。
そう、一番の食べ頃の麺を最後にすすりフィニッシュしたのだ。
お見事!
「お前、凄いな!
硬い麺そのまま食べ始めたときは狂ったのかと思ったよ!」
「はっは、終わりよければ全ていいんだよ。
俺の心は達成感でいっぱいだぜ!!」
俺の賛辞に彼はカップ麺のスープを飲みながら、目を潤ませ声を震わせ応えた。
どうやら相当厳しい道のりだったのだろう。
カップ麺のスープをすする彼の顔は輝いていた。
…あれ?
俺は気になる質問を投げかけた。
「なぁ、お前は好きなもの最後に食べる。
だからカップ麺にもこんなにこだわったんだよな?」
「ん、そーだよ。
なんだよ、急に!
言ったろ、3分たった麺のためさ!」
「あ、いや…
じゃあ、さ…
お前が今飲んでるスープて一番好きなわけじゃないんだよな。
それって、その…
…違くね?」
「…え?」
「最後にスープ飲んでんじゃん。
駄目じゃん、スープ最後にしちゃ。
麺の後にスープ飲んでんだよ。
駄目じゃん。
スープ最後じゃん。」
「…え?
…はぁ、はぁ…」
「あ、スープ飲まなくていーじゃん!
したら麺が最後になるから最後に一番好きなもので締めた事に…」
「全部食べなきゃ駄目なんだよ!!
意味がないんだよ!!!!
うあぁぁぁーー!!!!!」
突然彼は怒り出し暴れた。
有り得ないくらいに。
俺はいたたまれない気持ちになった。
「あの、俺帰るね。」
彼か聞いていないのは分かっていたが、一言かけて帰った。
得体の知れない罪悪感を胸に。
その後、彼は消息を絶った。
今どこで何をしてるんだろう。
それは誰も知らない。
心霊博士…
今も僕の心を締め付ける思い出です。
さようなら。