戦後の高度成長時代から、前回の東京オリンピックなどの需要に応えて、
東京に高級ホテル建設のラッシュがあった。
御三家と言われる、帝国、オークラ、ニューオータニなどの他に、
没落していった華族の豪邸などを買い叩いて作られたプリンスの一大勢力。
日本中のいい場所に作られて、旅といえば「旅館」のイメージを、ホテルに変えていった。
今、年数的にも、改築の時期を迎え、あちこちで変わってきているようである。
今、どうやら新しい波が起きているようである。
プリンスの名前が消えてきたのと、変わるように、「星のや」のグループが、台頭してきた。
そして、改築、改装の動きが賑やかになってきて、豪華な手の届かないホテルか、
リーズナブルに旅行しやすくなったホテルか、二極化してきているような気がします。
軽井沢の万平ホテルが、改装のため、休業中であるが、昨日から、プレオープンをして、
来年4月から、本格オープンになるというニュースが流れてきた。
このホテルは、「佐藤万右衛門」さんが、130年前、作った旅籠が元となり、
歴代、佐藤家が、次いできて、社長は「万平」を名乗っていた。
皇室も利用していたが、昔からの本館には、猫足のお風呂があったり、情緒があった。
好きで、毎年出掛けて夏を過ごした。お正月には、お電話で、「今年はどの日にちをお取りしましょう」と、連絡があるくらいだった。
ジョン・レノン一家や、有名な方々が当たり前にいても、
軽く挨拶をするくらい、落ち着いていた。テラスの隣でお茶をした。
ある時から、ガラッと、料理の味が落ちた。息子が離乳食で喜んで飲んだ「コールドコンソメスープ」
まるで味が変わった。メインダイニングでチャーシューメンを出す。
スリッパパタパタしたウェートレスがだらしなく歩く。
嫌気をさし、足が遠のいて、しまった。他のホテルに変えた。
その後、経営が、あの「森ビル」の会社に変わったことを知った。
あれだけの会社が、そのままにしているわけはなく、名前は手に入れたのだから、
正面の顔と言われる建物などは残して、リニューアルしたらしい。
正面にテラスがあり、そこで食べるアップルパイは絶品だった。
剥き出しだったテラスは、お天気が悪くても平気なように、ガラス張りになって、
綺麗になっていた。
今の支配人が、「この席が、ジョンレノンがお気に入りだった」と、したり顔で言っていた。
50年弱前、こんな今風のテラスではない。
もう何年行っていないのだろう。行ったところで、東京のおしゃれなカフェーやホテルの
ようなところを、望むものではない。
昔を懐かしむばかりではいけないのだろうが、経済戦略に乗ってしまうのも寂しいものである。