だいぶ経つが、上皇后美智子様のお父様が亡くなられた時、

鎌倉の別荘を手放された。ぱっと見、そんなに大きな家ではないと思ったが、

更地にしたら、相当の広さがあった。

昔ば土地の真ん中に家を建て、庭木をたくさん植えていたものだ。


先日、枇杷の話を書いたら、庭の枇杷を飽きるほど食べたという話が出てきた。

そうして思い出した。我が家の昔の姿。

裏庭には、大きな桃ノ木と、柿の木が3本。梨の木もあった(これは食べられなかった)

いちじくもよく食べた。柿は干し柿。桃は美味しかったな。

そして、地面には、水仙が所狭しと咲いたものだ。

表の庭に、観賞用の花。ツツジやアジサイ、海棠。立派な松もあった。などなど。

植木市があると私を連れて出かけるのが好きだった祖父母。欲しいというと買って植えてくれる。

小学校入学記念に、ピンクの「乙女椿」を植えてくれた。

昔風の家に、私が欲しいと言ったら、真っ赤なつるバラのアーチをつけてくれた。

山に行ってとってきた「アケビ」のツルも這わせてくれた。

門の近くに、スモモの一種「ハタンキョウ」があり、塀の外に実が出ることがあった。

そろそろという頃、必ず盗まれる。

庭にゴザを敷いて、悠然と「おままごと」ができた。

1人の強欲な女のせいで、全てなくなったが、お隣は、しっかり3代目が後を継いで、

立て直すときも、元々のイメージを残している。羨ましい。


今はいやでも、駐車場など考えると、そんなのどかな家は建てられないのだろう。

郷愁を語っても仕方ないのだろう。