タクシードライバーになる。

理由はいろいろあるが、少し書いてみましょう。

昔々、タクシーは稼げた。新宿の夜などは、一万円札を振って車を停める。

女の子は遠くに行かないから止まらない。

接待が当たり前の時代で、会社ごとタクシーチケットを持っていた。


就職して、転職しようとする時、2種免許さえ取れば、採用してもらえる。

なかには、受験費用を出し、その間の日当も出し、社宅もある。

身一つで、どこでも行ける。就職できる。そういう人には、助かる。


勤務が融通がつくということもある。司法試験を受けるため、昼間勉強して夜、車に乗る。

私の昼番とコンビを組んでいました。そんな人もいました。


タクシーは、仕事が上がって、売上金を納入して、日報を出したら終わり。

もう、明日のこと、残った契約。そんなもの関係ない。

嫌なお客様にあっても数分のこと。ストレスがない。

元医師、元弁護士。などという華麗な経歴の人もいた。


地方から都会に出て仕事をして、都会に疲れた時、田舎では、仕事はない。

Jターンとして田舎と都会の途中の中都市に戻ってくる。

だから、仙台には、東北、北海道の方が多い。

 雪降ると興奮する人たち‼️


そして、稼ぎは、男女関係なく平等。離婚後、下手なパート、アルバイトより稼げるので、

流れてくる。

若い女性は、ダンプカーに行く。昼間だけだし、積み下ろしの手間がないので、楽だそうである。


私が仙台で入った会社は、面倒見が良く、私が入っていて、面白そうだと夫も免許をとり、

会社に行ったところ、一緒の勤務で働かせてくれ、一年間だけ、2人で働いた。

食事を待ち合わせたり、遠くに行ったら、心配しないようTELしたり。


私たちのように、最初から夫婦というのは珍しく、

だいたい訳ありの2人が、仲良くなって結婚する。2組あった。

一組は、女性に問題があり、誰とも付き合わないくせに、人の客を取っていくので、嫌われていた。


もう一組の夫婦は明るく皆から好かれていた。

ご主人は岩手の出なので、雪に強い。

ある時、11月に大雪が降った。昼前に降り出した雪はみるみる積もっていって。

スタッドレスは、12月に履き替えるため、まだノーマルタイヤだった。


皆、慌てて社に戻り、社長まで総動員して、タイヤ交換をした。街には、急な雪でお客様は溢れている。

しかし、雪国出身者は、帰ってこない。途切れることなく客がいるのだから‼️

私たちは2人ともとっとと戻っている。その岩手の彼が帰ってこない。タイヤも取り替えていない。

奥様が心配している。壁にかかった大きな地図に、車の現在地が点滅している。

運行責任者が、わざと奥様に向かって「今、○○坂、登ってる。」マイクで

「☆☆号車、どこまで行くの?タイヤ取り替えてないよね」

あまり、よく街を知らない、新婚の奥様を揶揄う。焦る奥様が可愛かった。