よく、若いヤンチャなお嬢さんの車に、ぬいぐるみや、お人形がいっぱい乗った車がある。カーテンもついていたりする。

この頃、あまり見なくなりましたね。


昔、昔、友人から頼まれごとをされた。

「後輩が、マニュアル車の運転を教えて欲しがっている」

主人も、定年後、私にだけタクシードライバーをさせたことを気にして、二種免を取り、一年タクシーを経験した。

2人いるし、近所の港なら練習も出来ると引き受けたが、彼女の家と、我が家では、60キロ近く離れている。2人で迎えに行って、車と、彼女を連れてこなければいけない。


彼女は、パートナーと共に、飲食店をしていた。仕入れのため、彼が、好みの車を買った。マニュアル車のため、彼女は運転できない。まぁ、彼が1人で仕入をしていたから、問題はなかった。

しかし、彼を病気が襲った。手遅れだった。あっという間に、動くこともできなくなり、彼女が1人で、店を切り盛りしなければいけない。

つまり、その車で仕入しなければならない。そこで、短期間で運転を教えて欲しいということになった。休みの日の、朝から迎えに行って一日、みっちり練習しようということだ。


朝、迎えに行きながら、夫と話した。主人が、彼女の車を運転するから、あたしが彼女を乗せて帰ろうということにした。


彼女40手前。彼は確か、40過ぎたくらいだろう。

何も考えず、彼女の家に着いた。車に案内され、そのまま出発しようとなって、2人で固まってしまった。想像しなかったものがあった。

車のフロントに、たくさんのキティちゃん❗️

隙間なく、三桁はあっただろう。人の趣味に、何もいうつもりはないが、この車で、60キロの道のりを走るには、60過ぎた爺さんには、辛いものがある。小さな子供でも一緒なら!

聞いたら、彼の趣味だそうだ。

しかし、一日では、スムーズにはいかない。どうせ使えないのだから、我が家において、電車で帰り、来週電車でもう一度来たらどうだ。と言っても、彼が寂しがるから、車を持って帰りたいと頑張る。仕方なく、また、送り届け、次の週、もう一度迎えに行き、来てもらった。

しかし、彼は、亡くなってしまった。結局、車は手放し、お店はどうなったかわからない。