祖父慎吾さんが 博多に帰る日がやってきた
父豪志たけし
母節子
姉晶子あきこ
家族全員で
新横浜まで見送り行った
茶色の大きな革のバッグひとつの 慎吾さん
ベレー帽も茶色い革のだった オシャレさん
わたしを抱っこしたまま
新幹線を待っていた
新幹線が ホームに滑り込んで 扉があき
おもむろに 慎吾さんは言った
「キョウコ!
一緒に博多帰るか?」
3歳のキムラキョウコ
「うん!かえるー!」
父母姉 !?!?!?!
「ほっかほっか!
博多帰るか!アキも帰るか?」
姉アキコ 「いやだー」半べそ!
ただ 慎吾さんともうちょっとだけ
一緒にいたかった
抱っこされたまま 新幹線に乗り
扉がプシューと閉まり
ベルが鳴った
もう引き返せない!!!
3歳ながら わくわくしてきた
動きだす新幹線
みんなの顔はすぐに見えなくなって
ちょっと心細くなったのが バレたのか
慎吾さんは おおきなゴツゴツした手で
頭を撫でながら
「キョウコはすごいなあ!
度胸があるよ!女は度胸!」
たくさん褒めてくれた
新幹線は混んでなくて
ひとりで 慎吾さんの隣に座った
大人みたいだと 思った

