【なにやってんだ、お前ら】

『なにって、あんたのせいじゃん』

刺々しく叫ぶワヤヒカリに対して

渉は無表情で

【わけわかんねぇ作り話すんな】

と強く言う。

杏奈は、彼を見ずに。

「あたしもういいから。」

【…杏奈?】

「本当にもういい。」

そしてゆっくりその場を離れていく。

【杏奈!】

「その子に、ひどいことしないで。
大事にしてあげて」

【杏奈、違う、ぜんぶ嘘だ。】

「渉さんの言ったことが。でしょ?

【俺は、この子とはなんの関係もない】

「いいのもう。たぶんわかったから」

わかったって、何が…

杏奈は少し笑っているように見える。

「あたしみたいなのは
渉さんになんでもいつも助けてもらってるんだから

これくらいのことで泣いたり怒ったりしたらいけないんだよね。
障害あるんだから、

彼氏とか夫が
たまに健常な人を相手にしても、
黙ってるのが義務で」

【杏奈!聞けよ】

掴んだ腕を強く振り払われる。

「触らないで!

あたし、もう渉さんいらない。

好きじゃない。」


渉の訴えには耳を貸さずに彼女は首をふって

「でもそれはあたしには耐えられないの。

できそうもないから

それならひとりの方がいい」

さよなら


今までどうもありがとうございました。


『子供みたいに泣いてバカみたい』

【おい!いいかげんにしろ。
ガキはもう帰れよ】

『信じらんない。
毎日店に通ってあたしのことジロジロみてたくせに!』

ワヤヒカリは走って駅の方に行ってしまう

でも気づくと、杏奈の姿もない。