俺の目に、ニコだけ映したい

強引に、2人だけになれる場所に移動

抱きしめたまま耳元で言う

【あの時のニコは、俺よりもずっとオトナで、色々とわかってたよな。】


【事実はどうでも。

ニコは戸籍上、杉野涼介の娘で】

その名前を出さないで。

ニコが顔を隠すみたいに胸につけてくる

【俺らはいとこでもなんでもない】

結婚だってできる

事実はどうでも

腕の中のニコが

まっすぐに俺を見る

本当のことなんて意味ねぇよ

【失敗したけど

ニコのはじめては俺だろう?】

あっ

【俺らにとって
本当のことなんて、どうだっていい】

違う?

そう

リュウの言う通り

すべては

ただ
リュウがいること

彼の目の中に
私だけが映っていること

【もうここで終わりでいいだろ

ぐたぐだ迷って悩むの】

[うん。もうこのあとは

ハッピーエンドだけ?]

【そう。

王子様とお姫様はいつまでも幸せに暮らしました。

俺らのものがたりは

ここでおわり】



この目に映すのはキミの笑顔だけ