誰しもギターを構える位置・高さ、ギターストラップの長さについて、1度は悩むことはあると思います。多くは「見た目」「弾きやすさ」でしょう。かっこよく見えるギターの位置と、弾きやすいギターの位置が違うけどどっちにしよう?なんてよくある話ですね。

 

 弾きやすさをとるか?、見た目をとるか?ここで取捨選択を迫られるわけですが、昨今は練習熱心なギタリストが多いのか「ギタリストは演奏技術こそ至上命題であり、見た目にこだわるなんてダサいことだ」なんて意見もチラホラ見受けます。

 

 しかしながら、現実として「構える位置によってカッコよく見える」というルックスへの純粋な感性が働いていること対して、「カッコよさは演奏技術で決まる」などと宣うのは問題のすり替えであり、ナンセンスだと感じます。今回は「何故、ギターを構える高さによってカッコよさが変わるのか」について考察します。

 

  1.ギターヒーローを見てみよう

(1)かっこいいギターの位置

 まず、ギターを構えていてカッコいい人たちを参考にしてみましょう。ギターの位置はカッコよさに関係あるのか?ギターの位置が比較的低い人、高い人を3人ずつピックアップしてみました。(画像は各自ググって下さい。年代によって位置もマチマチです。)

 

○ギターの位置が高いギタリスト

 ・ジミ・ヘンドリックス(身長180cm)

 ・リッチー・ブラックモア(身長177cm)

 ・ジョン・ペトルーシ(身長180cm)

 

○ギターの位置が低いギタリスト

 ・ヌーノ・ベッテンコート(身長173cm)

 ・ジミー・ペイジ(身長180cm)

 ・スラッシュ(身長178cm)

 

 彼らの実績や音楽性は抜きにして、ギターの位置が低い方・高い方どちらがカッコよく見えるでしょうか?恐らく、ギターの位置関係なく彼らはサマになっているように見えてるんじゃないでしょうか?

 

 これは彼らに見慣れてしまっているという部分が大きいと考えますが、とりあえずここでは「ギターを構える位置そのものはカッコよさに直結しない」と仮定させていただきます。

 

(2)身体的特徴

 前項で挙げたギターヒーローはみな外国人で人種は白人・黒人です。前項ではギタリストの身長も併記しましたが、日本の平均的成人男性と比較しても体格が大きいことがわかると思います。日本人と比較した白人・黒人の身体的特徴を以下に示します。

 

〇白人・黒人の身体的特徴

 ・身長が高い

 ・肩幅が大きい
 ・腕が長い
 ・脚が長い

 

 と、総じて体のパーツが大きいです。このことから、平均的日本人男性の体格であれば、そもそも多くの大柄なギターヒーローと体格が異なるのだから、いくらギターの構える位置をマネても、同じカッコよさは得られないと言えます。

 

 

  2.体格の大きくないギタ―ヒーロー

 今度は平均的日本人男性の体格に近い小柄で細身のギタリストをピックアップしてみます。

 

〇体格の大きくないギターヒーロー
 ・ランディ・ローズ(170cm)

 ・マーティ・フリードマン(168cm)

 ・松本孝弘(165cm)

 

 彼らにも共通していることですが、日本人ギタリストって、ギターを低く構えている方が多い印象ですね。また、大柄なギターヒーローと比較して、以下の特徴が挙げられます。

 

〇体格が大きくないギタリストの特徴

 ・ギターの存在感が大きく見える

 ・ギターのボディが奏者の体からはみ出る部分が多く、ギターを構える位置によって奏者のシルエットが崩れやすい。

 

 ギターの構える位置よりもギターの大きさの方が見た目への影響が大きく感じます。

 

 

  3.アンガス・ヤング

 では、ギターヒーロー界で最も小柄であろうアンガス・ヤング(157cm)の場合はどうでしょう?前章の小柄なギターヒーロー同様、いやそれ以上にギターが大きく見えるかと思えば、すごく自然に見えます。これは見慣れているからか?

 

 いや、トニー・アイオミ(183cm)と同じSGであれば、身長差で言えば相当ギターが大きく見えるはずなのに全然違和感がなく、やたらバランスが良い。これは、以下の理由であると分析します。

 

〇小柄なアンガス・ヤングが自然に見える理由

 ・SGのボディが小ぶりで、小柄なアンガスでもギターの大きさを感じにくい

 ・アンガスの上着にボリュームがあるため、ギターを構えてもシルエットが崩れにくい

 

  4.ギターの位置・大きさ・衣装によって変わる

これまでの内容をざっとまとめてみます。

 

・体格の大きいギターヒーロー

 ⇒どこで構えても違和感が少ない

 

・体格の大きくないギターヒーロー

 ⇒標準サイズのギターの存在感が大きく見える

 ⇒ギターを構える位置によって奏者のシルエットが崩れる

 

・小柄なアンガス・ヤング

 小ぶりなギターは存在感が大きく見えない

 ギターの構え位置、衣装により奏者のシルエットがきれいに保たれている

 

 上記のことから、ギターと奏者の見た目の関係性は以下のことが言えます。

・ギターと奏者の大きさの比率で見え方が変わる

・ギターの構え位置や衣装によって奏者のシルエットが変わる

 

 

  5.かっこいいギターの位置?

 奏者がかっこよく見えるギターの位置とは?前章までのことを踏まえると、奏者のシルエットを崩しにくい位置であると考えます。そして、奏者のシルエットを崩しにくい位置とは上半身と下半身の間にある位置。そう、腰の位置にあたります。

 

 図を見ると、ちょっと低めですね。日本においてギターの位置が低いとカッコいいギターの位置が高いとダサいとなんて言われることも多いですが、私の提唱する「奏者シルエット論」を照らし合わせると以下のように理由付けできます。

 

(1)ギターの位置が低いとカッコいい

 ・ギターの位置が低くなるため、上半身のシルエットに干渉しにくい。

 ・ギターの傾斜がきつくなり、上半身のシルエット内にギターボディが収まりやすい。

 

(2)ギターの位置が高いとダサい

 ・体格(身幅)が外国人よりも小さいため、ギターが高い位置にあると上半身のシルエットを崩しやすい

 

 日本人は先祖が農耕民族のため胴が長いと言われています。つまり、腰の位置が低い。日本におけるギターの位置が低い背景として、遺伝的な要素が大きいと考えます。

 

  6.ギターの位置別ファッション

 前章では、かっこよく見えるギターの位置は腰の位置と言いました。しかし、これはシルエットが生身に近い前提のお話です。あくまでも奏者のシルエットを崩しにくい位置であります。服飾文化が発達した現代社会においては"シルエットは服装でカバー"するのが自然でしょう。ギターの位置に合わせたシルエットを崩さないのファッションについて簡単に紹介します。

 

(1)ギターの位置が高めの場合(Vラインシルエット)
 トップス(上衣)をルーズ(太め)なものを、ボトムス(下衣)をタイト(細め)ものを着用し、体全体がVのラインに見えるシルエットにします。このギターの位置を高めに設定しても上半身のシルエットはもともと大きいので、ギターを高く構えたことによって上半身のシルエットが崩れることはありません。アンガス・ヤングのステージ衣装のシルエットはこれにあたります。


(2)ギターの位置が腰あたりの場合(Iラインシルエット)
 トップス、ボトムスも共にタイトなものを着用します。これは各人の体型に大きく依存しますが、体全体の生身の線を強調するシルエットになります。細身の方はギターのシェイプが映えますね。ポール・ギルバートやスティーヴ・ヴァイみたいにスリムで背の高い人に似合いそうなシルエットです。


(3)ギターの位置が低めの場合(Aラインシルエット)
 トップスをタイトなものにし、ボトムスをルーズなものを着用し、体全体がAのラインに見えるシルエットにします。上半身のシルエットにほギターボディがとんど干渉せず、また、下半身のシルエットをもともと大きくとっているため、ギターの位置が低いことによって下半身のシルエットが崩れることがありません。アレキシ・ライホはTシャツに太いミリタリーパンツを履いていることが多いので、これに該当します。

 

  7.自由であることを忘れない

 ここまで、散々あーでもない、こーでもないと言ってきましたが、かくいう本記事の内容だって、見方を変えれば欧米ナイズドされた価値観に毒されてますからね。ファッションなんて本当に自由で、自分の好きなようにすればいいと思いますし、もし誰かに似合わないなんて言われて「好き」を諦めるとしたら、それは残念に思います。自分の好きな恰好が一番ですよ。


おしまい☆

 

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