先日、ギターの左手親指の位置はどうすればいいの?という疑問を持っていた方がいらっしゃったので、僭越ながら私からブログにて解説させていただこうと思います。今回はエレキギターの左手親指の役割、位置、動かし方について分析したものになります。お困りの方の参考になれば幸いに思います。
 

  1.はじめに

 まず、ギターにおける左手の親指の役割、定位置、動かし方。これ、意外と教則本や教則本に解説が書いていません。私もギターを始めたての頃に、なんでどの書籍にも書いてないの?と首をかしげていた記憶があります。これからのお話することは私自身の身体を使って分析し、その結果を提案するものとなるため、皆様にとっても正解ではあるとは限りません。そのため、記事の内容をご自身の身体で実際に確認頂いて、納得いただけた場合に採用頂ければと思います。

 
 また、左手のフォームにはネックを手のひらで握り込む「ロックフォーム」と、指で挟み込む「クラシックフォーム」で大別されますが、今回はクラシックフォームを主軸に解説していきます。それではハジマリーハジマリー☆
 

  2.親指の役割とは?

 クラシックフォームにおける、左手親指の役割とはなんでしょう?ネックを挟んで運指を安定させるため?コードを押さえやすくするため?では、実際に親指を使わずにコードを押さえてみたり、単音弾きをしてみてください。

 
(1)親指がないと難しいテクニック
 ・バレーコード(セーハ)
 ・チョーキング(ロックフォーム時)
 
 上記の奏法の場合、親指の支えがないと押弦する力によってネックが体側に押され、安定しなくなり、難度が飛躍的に高くなります。
 
(2)親指が無くても問題ないテクニック
 ・単音弾き
 
 単音弾きの場合、弦1本程度の押弦による力がネックを体側に押し込む程ではないため、親指の支えが無くても比較的安定的に弾くことができます。
 
 このことから、左手の親指の役割は「押弦時にネックが体側へかかる力を受け止める」こと。と言えるでしょう。
 

 

  3.親指の位置

 左手親指の理想的な位置とはどこでしょうか?実はポジション、奏法、フレーズの前後の繋がりによって、親指がずっと同じ定位置にいることはまずなく、不定です。親指はその時々で弾きやすい位置にあります。ここで言う弾きやすい位置とは運指時に手指にストレス(負荷)がかからない位置を指します。つまり、定位置があるという考えを捨て、どのように動かせばストレス(負荷)がかからないのかを試行錯誤することが重要となります。

 

 

  4.親指の動かし方

 今回の説明のキモとなる部分です。前章でも述べましたが、理想的なフォームというのは手指にストレスがかからないフォームのことです。手の各指の筋肉というのは直接的に、間接的に複雑に繋がりあっています。そのため、指一本であっても複雑な動きをしたり、強く力んだりすると手指全体の力みに繋がりプレイの妨げになることがあります。本章では手を力ませないフォームを実際に手を動かして模索しながら解説していきます。

 
(1)手を開いた状態
 まず、手を開いた状態を見てみましょう。運指時に使う指の付け根を見てみると弧状に並んでいるのが分かります。この微妙な曲線により、親指以外の指はそのまま折りたたむと手のひらの中央に向かいます。また、親指は他の指と付き方(角度)が異なるため、横から折りたたむように手のひら中央へ向かいます。
 
(2)指を立てた状態
 今度はネックがあると見立てて指を立ててみましょう。親指以外の指は前項の画像の通りの動きを行いますが、親指は立たせて曲げると手のひら上部に向かいます。また、余談ですが前項の手を開いた状態より、本項の指を立てた状態の方が手の力が抜けている素の状態に近いことが分かると思います。そう、実は手が開ききった状態というのは、手に力が入った状態なんですね。
 
(3)ネックを挟んだ状態(ネックに対して親指が斜め)
 では、実際にネックを握ってみます。再三の説明になりますが、手指に余計な力やストレスがかからないようなフォーム・動きにしなくてはなりません。つまり、前項で図示した通りに親指は何も意識せずシンプルに折れる方向にそのまま動かす。そうすると、親指はネックの動きを斜め(親指の腹の脇)で受止めるかたちとなります。そして、この親指の腹の脇で受け止めるという構造は、クラシックフォームにおいては常に変わることはありません。その理由は後述で説明します。
 
(4)ネックを挟んだ状態(ネックに対して親指が垂直)
 前項での説明の通り、クラシックフォームにおいては常に(親指の腹の脇)で受止めるかたちとなります。それはなぜか?では、親指をネックに対して垂直親指の腹)で受けとめるようにした場合はどうなるかをやってみます。親指だけ見ると安定しているように見えますが、今度は親指以外の各指が指板に対して、進入角度や距離がマチマチなってしまいます。このフォームをキープしてプレイしようとすると以下のことが起こり、至極効率の悪い状態に陥ってしまいます。
 
・指の間隔が狭まり、指同士が絡まりやすくなる
・指の可動範囲が狭まる
・手全体が力みやすくなってしまう。
 

  4.まとめ

・親指は常時力を入れる必要はない。

・親指はネックや弦に力がかかるプレイ時にネックを支える役割になる。
・親指の位置はプレイによって可変。手にストレスのかからない位置を意識すること。
・親指とネックの接地面は親指の腹斜めとすることで運指にストレスがかかりにくくなる。
 
 
おしまい☆