以前、ストラトキャスターの改造の回の中で、スタックタイプのハムバッカー(DiMarzio HS-4 旧YJM)に交換したことがありました。詳細はそちらを見て頂くとして、結果的に申しますとハリが弱く、分離感の悪いシングルコイルらしからぬトーンになったため、元のピックアップに戻しています。

 

 こうしたことから、スタックタイプハムバッカーにシングルコイルの音を期待してはいけないという教訓が生まれましたが、その後イングヴェイはトーン回路を結線しないという情報を得まして、あのハリの弱さ、分離感の悪さはシングルコイル用のトーン回路を挟んだことによるタイトなレンジによるものではないか?と疑念が湧くようになったのです。

 

 そういえば、YoungGuitar 2019年4月号の付録映像でイングヴェイが自身でDUCKの解説をしています。今ままでまた聞きだったのでいまいち確証が得られませんでしたが、トーン結線していないことの言質があっさりとれました。というか、使わないセンターピックアップ(FS-1かFender製かな?)を結線していたことは意外でしたねぇ。

 

 話が逸れましたが、今回はスタックタイプハムバッカーのレンジを電気系パーツの交換により広げ、シングルコイルに近づけてみようというリベンジ企画となります。

 

1.やること

 

○目的

・スタックタイプハムバッカーを電気系統の改造によってシングルコイルに近づける

 

〇改造の概要

・ピックアップのリード線以外の内部配線材をハイファイ(高解像度)のものに交換し全帯域を明瞭なトーンにする。

・ハムバッカー用のポット(500KΩ)、コンデンサ(0.022μF)を用い、高域のレンジを広げる。

 

〇前提知識

・Dimarzio HSシリーズはスタックタイプハムバッカーでだが、トーンポットは250KΩ(シングルコイル用)を想定して設計されている。

・内部配線材に高解像度配線材を用いることによって超高音域が多く出力されることはシングルコイルにて確認している。

・トーンポットの抵抗値は上がるにつれて高音域が多く出力されることを確認している。

 

〇前回の環境の違い

項番 ギター構成部品 今回の環境 前回の環境
1 Vol POT 500KΩ 250KΩ
2 Tone POT(フロント) 500KΩ 250KΩ
3 Tone POT(センター・リア共用) 500KΩ 250KΩ
4 コンデンサ 0.022μF(セラミック) 0.047μF(フィルム)
5 配線材 オヤイデ102SSC導体(OFC) クロスワイヤー
6 ペグ ロトマチック クルーソン
7 サドル ブロックタイプ(ダイカスト) プレスタイプ(チタン)
8 ボディ バスウッド アルダー
9 ネック メイプル、ロングスケール メイプル、ミディアムスケール

 

前回の環境というか別のギターで比較しちゃってますが、音質の傾向はとらえることはできると思います。

 

 

2.レビュー

(1)パーツ交換1日目
 ・超高音域の増幅は感じない、艶っぽさや立体的な音像も感じない。

 ・サステインが崩れやすく、コードの分離感は向上したように感じない。

 ・以前感じていた、狭いレンジと分離感の悪さからくる埃っぽさ、土っぽさはあまり感じなくなった。

 ・レンジが大きく広がったようには感じないが、自然な広がりになった。

 ・以前よりハリがあるように感じる。

 ・以前感じていたコード、単音でのパコパコ感を殆ど感じなくなった。

 

(2)パーツ交換1週間後(エージング後)

 ・音の暴れが治まり、コードの分離感が向上した

 ・艶っぽさが増した

 ・透明感が増した

 ・アンプとエフェクターの歪をブレンドしてもキレイに歪む。

 

(3)以前と変わらないところ

 ・倍音は少ない

 

 サステインは相変わらず短いですが、分離感が増したことにより音が比較的まっすぐ飛んでいくようになったので、以前よりも音が伸びるようになった印象です。音のハリの向上については弦長が長くなったことにより、張力が上がりハリのある音になったと思われます。また、以前はパコパコ音というかストラトのハーフトーンに近い印象があったのですが、かなり抑えられています。総合的には音質が大きく向上したというかフラットに近づいたと感じます。

 

 さて、肝心のシングルコイルに近づいたのか?という問いですが、聴感上はレンジの広がりがより自然になったので、近づいたといえば近づいたと言えるかもしれません。しかし、シングルコイルらしさといえばキラキラとした超高音域の出音でしょうか。確かにレンジは広がりましたが、超高音域は殆ど聞こえません。恐らく、ノイズと一緒にごっそりとハムキャンセルされている帯域のため、構造上出力できないことが原因と考えます。こうしたことから、シングルコイルというには華やかさが足りない。そんな印象があります。

 

3.ハムバッカ― + 高解像度配線材について

 以前、シングルコイルのギターに高解像度配線材を用いた時には超高音域の成分が煩いほど出てくるので、やりすぎに感じました。しかし一方で、今回のような超高音域が出音されないハムバッカーではそういったリスクが無く、バランスを崩さずに自然な音の広がりを得ることができるため、非常に有効で確実性のある改造であると考えます。

 

 これを踏まえると、SSH配置などのピックアップのタイプが混在しているものに関しては、ポジションによって音質が一気に変わってしまうため、音作りに一工夫必要であると考えます。

 

4.まとめ

 ・スタックタイプハムバッカーは超高音域が出ないため、シングルコイルにはなれない。

 ・HS-4はハムバッカー用のトーン回路と相性が良い。

 ・ハムバッカーと高解像度配線材の相性は良い。

 

おしまい☆



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