2017年春に他界した祖母の家を「お片付け」する記録として、ブログを再開することにしました。たとえゆっくりでも、亡き人や想い出、小さな歴史と向き合っていくのが、わたしらしさ。「喜捨」=お片づけの修行を、どうぞ、やさしくお見守りください。
いま、普段暮らしている集合住宅では、物をあまり買わないので台所用品も最低限に絞られている。むしろ最低水準を下回っている。たとえば、 ・大きな鍋(たとえば麵を一度に300g以上茹でられる大きさ) ・みそ汁用のお椀 ・お茶碗 ・ティーカップ ・ミルクパン ・小さめの片手鍋こんなものが人数分、補充されていない……。祖母の家お片づけでは、捨てる/捨てないの判断基準が出来ていないので、とりあえず物品たちはゴミ袋に入れられている。でも、よくよく考えたら、不用品なのだからもらってこればよかった、……。ダスキンさんに台所はお任せしたので、発想が到らなかったのである。ストックに我が家でもよくメニューにのぼる「かに玉の素」が常備されていたり。かに玉とちらし寿司の素さよなら、かに玉やはり祖母と孫は似ているようで、最後まで使用されていた台所用品というのは存外使い勝手がいいものが残っているのかもしれない、……。ちいさめの片手鍋不燃ごみ候補となった片手鍋さすがに食品なので、ネズミや害虫を寄せ付けるから、こうしたものは全部捨てる!ただ迷うのが、母の作った梅酒、……。密閉瓶じゃなくて、ただの海苔の空き容器なのでアヤシイ……。何年物なんだろう? ひっそりと梅酒それでも、片付け作業のためには床を空けておかなければならないので、可燃ごみの日には、30分だけダスキンさんに来てもらい、こちらが捨ててもいい燃えるごみとして確認したゴミ袋を、数袋ずつ出してもらうことにした。
二月、祖母の家のお片付けは、難航した。結論から言えば、入ってもらっているダスキンさんに、「思い出の品は捨てないで」とお願いしたものの、上手くいかなかった。 (1)思い出の品にあたる認識の物が多すぎて、作業が進まなかった。 (2)思い出の品にあたる認識の物が狭すぎて、残したい物がゴミ袋に入れられていた。(1)の例をあげると、捨てようと思っていた漫画が、一冊一冊ほこりを払われ、布で拭われてから束ねられた。そのため二時間かかっても本棚一杯終わらなかった。また、老婆心から妹の高校時代のアルバムやら部活動のトロフィーやらを、彼女のもとに送ってあげようとしたところ、「黒歴史は処分して」とのメッセージがきた。察するところ、イケメン、セレブ、シティボーイ(私語)の夫に見られたくないらしい。わたしの作業も、徒労に終わった……。(2)行方不明になっていた父からのお土産の絵本が、ゴミ袋に入れられていた。ページの虫食い(でかいシバンムシの穴)がひどくて、ゴミに見えたらしい。また改めて記すと思うが、ここの時点でイーストさんと喧嘩になってしまった……。よくないな。いかにも高価そうなもの、古めかしいものは、だいたい残してもらえる。だが、そうでないと他人にはなにが思い出の品か、言葉で説明しても分からない。というより、自分自身、なにが思い出の品なのか把握していない、忘却しているというのが、最大の問題点だろう。だいたい、子ども時代に遊んだ、ファミコンなんて、誰が残すなんて考えるだろうか。いや、誰も考えまい。ところが、一部ではこうしたゲーム文化を保存しようという動きもある。2019年に観覧したストックホルムの国立科学博物館では、TVゲームの展覧会が開催されており、ゼルダの伝説が大きく取り上げられていた(ただし、日本のプロダクトだとは触れられておらず)。しかも常設展示らしい。サムネイル画像にもリンクの衣装が映っている。Play Beyond Play – enter the world of computer games - Tekniska museetPlay Beyond Play – enter the world of computer games - Tekniska museetPlay Beyond Play is the National Museum of Science and Technology’s large computer game exhibition featuring game stations and imaginative environments.www.tekniskamuseet.seまた、日本でもゲーム機の寄贈を受け入れている機関はある。たぶん県立クラスの博物館なら、近現代の歴史を語るうえで、家庭用ゲーム機は欠かせないアイテムじゃないのかな。その場合、実際に動かせなくても問題はないのだろうけれど、動態保存をしているのがここ。立命館大学。ご寄贈を検討いただいている方へのお願い - 立命館大学ゲーム研究センター : Ritsumeikan Center for Game Studies (RCGS)ご寄贈を検討いただいている方へのお願い - 立命館大学ゲーム研究センター : Ritsumeikan Center for Game Studies (RCGS)www.rcgs.jpほかにも探せばあるのかもしれない。いまや情報学系の研究は、さまざまな大学の看板部門となりつつある。そんなわけで、思いがけないものを残したいと言われたダスキンさんは、さぞ面食らっただろう。わたしだって困惑している。ファミコンが祖母の家に残っていたなんて、想像していなかった……。なにがどれだけあるのか、もう覚えていないし、あると思っていたものがないし、……。そうした事態と、残す/残さない、捨てる/捨てないの判断基準の揺らぎは、この一カ月の間の作業をことごとく難航させた。困ったものである。他の人はどうしているのだろう⁉ とても関心がある。
椿、椿、あちこち。そちらも。……、と思っていたら、「椿茶」に出会った。お茶は、チャノキから作られている。葉っぱの種類は同じで、発酵の度合いにより、緑茶・烏龍茶・紅茶となる。そしてチャノキはツバキ科である。もちろん椿も、山茶花もツバキ科。最近では、日本の在来種や品種改良した種によるチャノキによる、日本製の紅茶もふえてきた。紅茶好きとしては、実に喜ばしい。日本製の紅茶は、「和紅茶」とか、「地紅茶」とかの呼称でカテゴライズ&ブランディングされている。道の駅や、地域のアンテナショップで見かけることも多く、しばしばなにげに飲んできた。和紅茶はこの数年ですでに生活に馴染んでいたのである。昨日もモール内のお店に買いに行ったらば、……なんと、お店が閉店していた。ショックすぎる。ショッピングモールって、栄枯盛衰が激しいよ。お店を刷新していかないとモール自体が寂れてしまうし、そうすると地域も活力を失うし、難しいよね。……、って気を取り直して、他のフロアをのぞいたら、ありました!別のお店の、別の日本製紅茶。ついでに、その隣には「椿茶」。ほんとうに、椿の葉っぱでお茶が作れるんだろうか? 興味津々。■椿茶とべにふうき茶まず、飲んでみたのは「べにふうき茶」の方。……ティパックはメッシュで大振りだから、熱々の熱湯を注ぐと、茶葉が良く開いているようだ。揺らさずに、カップに蓋をして1分蒸らした。口に含むと薫りが豊かで、爽やかな飲み口。ルビー色の湯のみから、ほうぅっと蒸気を肺に吸い込む。遠くまで広がるあおあおとした茶畑が思いうかぶ。甘みのあとから渋みが舌に残る。久しぶりに集中してお茶を味わった。お茶の効能というのか、なにげに飲むよりも変化するお茶の香りや色、口当たりに意識を向けてみることで、いつもよりすっきりした気持ちになった。こういう思い込みのようなものも、不思議なものである。■べにふうき茶
さるところの紅梅が大変美しい。コロナや工事のせいで人出が少ないことも関係するのかもしれません。第2回目の作業日を調整中 | 青空に紡がれて~祖母の家のお片づけ雑記~ (ameblo.jp)『第2回目の作業日を調整中』※当方はあくまでも趣味として備忘録として再開した私的なブログ(ウェブ日記)です。商業的利用の方や、スピリチュアル系の方のフォローはお断りしています。無理を…ameblo.jpさらにこの頃は、椿日和(びより)です。この町、椿が多すぎるんじゃない?ってほど、咲いている。ん?■椿?青みがかった濃い桃色の八重が多いけれど、これは山茶花(さざんか)なのかな?散るときに花ごと落ちるのが椿。花弁だけ落ちるのが山茶花らしいです。■山茶花でした地面には紅色の花弁が敷き詰められていて、前にすすめないほどでした。 「ほとほとと山茶花血潮を散らしおり」 「月経の乱れたる我椿咲く」 「閉経という名の坂道女坂」 「椿見る花衣(はなごろも)未だ錫の色」祖母のようには上手くひねれません、……。(了)
以前、被災した旧家を「戸閉め」するお手伝いをしたとき、わたしの経験したケースでは、だいたい6~20人くらいのボランティアで一日あるいは二日がかりでした。これを時給換算で試算してみると、…… ※6人×8時間×時給930円(全国平均)=\44,640.- ※10人×8時間×時給930円(全国平均)=\74,400.- ※20人×8時間×時給930円(全国平均)=\148,800.- ※20人×8時間×2日×時給930円(全国平均)=\297,800.-参考サイト::厚生労働省、地域別最低賃金の全国一覧(参照2022/02/05)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/試算してみて、あれ、……存外、安いかも。ベテランが大勢でザーッとやってしまうと安いのかも。……とも思うのですが、でも、ザーッとできるのはベテランであるからで。そんなベテランが民間の遺産整理に付き合うなんて、数のうえでは少ないかもしれません。ただ、地域の歴史を保存している旧家さえ、後継者不足、担い手不足なのも事実。全国、仕事のついでに散策すると、空き家になっているお家をよく見ます。ちょっとだけ言いたいのは、そうした旧家(庄屋や地主など)の子孫の方はどうか弱気にならないで! 農家でなくて商家でも、文士でも、芸術家も、教育者も、産婆さんも、お医者さんも、……地域をになってきたお家は、血縁者だけでなく地域にとっても重要です。とくに、夏や秋などの台風・大雨による水害、あるいは地震などで被災した場合、命をつなぐことが最優先です。ご自身の身の安全をまず守ってください。でもその後、ライフラインが回復したら、お家が損壊したり浸水したりして、家財道具を処分する必要に迫られたら、ご不要なものを丸ごと捨てないでください。民間業者に処分を一括して依頼したり、捨てる前に、ぜひ自治体の文化財課や地域の歴史系博物館を頼ってみてください。■人も歴史も思いも、……あるいは都道府県よっては、行政サイドが大学の日本史研究室と連携している場合もあります。宮城資料ネット NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク (miyagi-shiryounet.org)宮城資料ネット NPO法人宮城歴史資料保全ネットワークmiyagi-shiryounet.org歴史資料ネットワーク(史料ネット) (siryo-net.jp)歴史資料ネットワーク記録と記憶をみらいへsiryo-net.jp岡山史料ネット (xrea.com)岡山史料ネットokayamasiryonet.s1008.xrea.comこの情報が必要な方のお役に立ちますように、……。ちなみに祖母の家は、家自体は旧家じゃないので自分でしています。旧家の方も必要があれば自力ですると思います。自治体によって、あるいは文化財を担当する人によって考え方は本当にいろいろあります、……。あくまでわたしの考えですが、平安時代にさかのぼるから歴史的に貴重だとか、江戸時代にしかさかのぼらないから歴史的に重要ではなない、とかは、地域の歴史ではありえない、と思います。江戸時代でも、明治でも昭和でも、人間が一生懸命生きてきた歴史は大切に扱ってほしいです。※当方はあくまでも趣味として備忘録として再開した私的なブログ(ウェブ日記)です。商業的利用の方や、スピリチュアル系の方のフォローはお断りしています。
※当方はあくまでも趣味として備忘録として再開した私的なブログ(ウェブ日記)です。商業的利用の方や、スピリチュアル系の方のフォローはお断りしています。無理を言ってしまったのか、イーストさんからの連絡が途絶えた。そして、数日後、待っていたメッセージがやっと入った。 イーストさん「お世話になります。 ご連絡遅くなりました 2月×日(月):午後1時30分~ 2月△日(土):午前10時~で調整させて いただきました」これは、とっても中途半端な印象だ……。午後1時30分からって、午前中なにか予定を入れるとか、……。美術館・博物館の類は休館なので、ちょっと暇をつぶすあてがすぐに思い浮かばない。しばらくたってから、ある用事を思いついた。本来は出不精なのだが、周囲を散策してみるのもいいかもしれない、……。春を感じるにはいい頃だ。そろそろ、梅、咲いていないかなぁ。■咲いていました(2月8日)「紅梅の映ゆる重たき曇り空 ちゅーりっぷさぶれ」■冬映えのピンクの濃さ(2月8日)「梅の香のかぐわしき園りんりんと ちゅーりっぷさぶれ」祖母や、その家のことを考えると、メランコリーな深みにはまるけど、ちょっと頑張ってエネルギーを出さねば、片付くものも片付かない。そう、自分に喝を入れる。そういう面では、賑やかな家族がいると助かる。生き物、動物でなくたっていい。植物も、エネルギーの元だと思う。ちょっと不思議な話なのだが、今年度のはじめ頃、わたしのところに赤ちゃんが運ばれてきた。コウノトリが運んできたのである。すると、どうだろう。あれほど枯らしまくっていたベランダが、にわかに緑であふれかえった。自分の両手の指が、「緑の指」になってしまったのか?と錯覚した。なにせ、つぎつぎと植物たちが成長し、花咲き、実を付け、種になってゆくのである、……。再生野菜も良く育ち、バジルを空き瓶に活けていたら、翌日には花が咲き、翌々日には種が出来ていた。日日草もそうである。イチゴのポットは四季成りのせいもあって、常に赤い実を付けている。いいことばかりではない。食べようと思った矢先に花が咲くので、ブロッコリーはすぐに黄色い花が開花してしまい、食用にならなかった、……。これだと自分がエネルギーなのか、植物がエネルギーなのか判然としないエピソードだが、ともかくも植物たちは生活を回す活力になることは確かだ。ベランダに水遣りに出ると、いつもさっぱりとした気分になる。そういえば祖母の家には畑や庭があった。この外観についても、修繕をかねてどうしていくのか、いつかは考えていかなければならないだろう。草むしりや除草で近所の手を煩わせている現状だから、なにかその点での策を講じる必要がある。ただ、「整理整頓・ミニマルライフ」といいつつも、「外観はミニマルでなくたっていいんじゃないか」とは思っている。
※当方はあくまでも趣味として備忘録として再開した私的なブログ(ウェブ日記)です。商業的利用の方や、スピリチュアル系の方のフォローはお断りしています。1月29日(土)。祖母の家のお片づけの日。午後になると、イーストさんの上司・パッソさんもやってきてくれた。30代くらいの男性で、カッコいい私用車パッソに乗ってきたから、わたしのなかで「パッソさん」と呼んでいる。害虫駆除担当の彼、コペンさんが現場一筋でちょっと武骨で正直そうだとすると、また違うタイプである。仕事以外のところには決して立ち入らない、それでいて、あれこれと営業やスタッフの調整などで奔走してそうな、苦労性の中堅といった感じに思えた。イーストさんの上司ではあるが、現場ではイーストさんが指示を出していた。男の人なので、重たい物の移動をお願いすることになり、椅子や座椅子、扇風機などの電化製品を、一旦物置に移動してもらうことになった。■間取り図 1階たしかに見た目に汚い家である。しかし、パッソさんは家主(代理)の許可なく靴のまま家に上がり込んだので、心象が良くなかった。 わたし 「あの、……。土足というのはちょっと、……。そこの柔らかいものでしたら結構ですが」 パッソさん 「大丈夫です。この靴、すごく柔らかいですよ」そう言われても不安だった。全室和室で、古い木材が床に使用された台所や廊下では、痛むのではないか。でもわたしの精いっぱいの釘や楔も、笑顔で返されたので、それ以上言い返せなかった。しかし彼は終始、真面目に作業にあたってくれていた。その後、わたしたちが座敷を中心に作業をしていたので、違う部屋、台所をお願いしていた。「棚から食器を出す」という作業にあたるらしい。パッソ上司は、つぎつぎに食器棚からお皿やお椀を運び出し、不燃物のごみ袋に食器類を投入しようとしていた。■台所の食器棚でも待って。わたしは食器をすべて捨てることは忍びない。なぜか、二階には未使用の段ボール箱のストックもあったので、この段ボール箱を組み立てて、その中に入れてもらうことにした。 パッソさん 「すごい量の食器ですね」 パッソさん 「棚だけじゃなくて、棚の上にもなにかありますね。下段もあるし、……」■食器棚の上にもないかありそう冷静に段取りを分析しているのかもしれない。作業をはじめたばかりなのに、けっこうマイナス思考である。第一印象が良くなかったので、そう感じるだけかもしれない。わたしは古いことなのですぐに思い出せなかったが、一時期は未婚だった叔母もいたし、曾祖母も長期遊びに来ていた時期があり、最大4世代7人以上が暮らしていた。食器も多い方なのかもしれない。その頃、祖母と同居していた母は非常に食事作りが大変だったと思う。のちに父とは離婚してしまったが、孫の世話のために私の家族と暮らしてもらう時も、 母 「もう食事の支度はしたくない。刺身が気に入らん、肉が気に入らんなど、気を使うのがイヤだ」と、こぼしていた。ときどき男でも女でも、なにか気付いたことを言葉にすることが会話で、気遣いだと勘違いしている人がいる。「おいしい」と言うか、さもなくば黙って食べてくれればいいのである。要望も、改善案も不要である。おそらく、そんな些細な行き違いがあって、母は別れた。祖母とも決別してしまった。二人の仲は、子どもの目には悪そうに見えなかったけれど、母がいつも祖母の悪口を言うのが気落ちの種だった。そんな祖母と母だが、作業の途中で、ふと台所のカレンダーを見やって、笑ってしまった。■朝日新聞の2014年5月のカレンダー遠く離れた距離に暮らす二人が、同じ朝日新聞のカレンダーを使っていたからだ。母もおなじカレンダーを愛用し、冷蔵庫に貼ってスケジュールや使ったお金をメモしている。しかも、同じように冷蔵庫の正面にマグネットで留めて使用しているのだ。 わたし 「嫁が姑に似る早さ」子どもの頃、どこで覚えたのかこんな言い回しで母の方を、よくからかっていた。しかし死ぬ間際に、わざわざ病室の祖母に逢いに行ったのは、孫ではなく血の繋がらない母だった。そのころ風邪を患って入院し、一ヵ月してだいぶ良くなったと近所の人に聞いたのだそうだ。それで母は病院を訪れ、眠っている祖母に、「回復してよかったね。がんばってね」と語りかけたそうだ。ところがそれから一転、病状が悪化し、祖母は亡き人となってしまった。わたしが会うことは叶わなかった、……。■2014年5月のカレンダー「わがためとなすはわが身のためならず人のためこそわがためと知れ」結局、その日は棚の食器をすべて出すとところま到達できなかった。乱雑な扱いでよければできただろうが、割れたり欠けたりしないようパッソ上司は丁寧に取り扱ってくれたので、十分に満足だった。■カレンダーはどれも2014年5月「天照大神 お召の衣を織りて首夏 武」似たもの同士なのかもしれない、祖母と母。もしあの世で二人が出会ったら、今度は仲良くやってください。……でもまだ、母のところにお迎えは来ないでね、おばあちゃん。
”お片づけ”と言おうとして、わたしもこれまでつい、分かりやすいように「断捨離®」という言葉を使ったことがある。でも、自分が今住んでいる家(すごく年代物の集合住宅)ならいざ知らず、故人の住まいでは感覚的に違和感がある。おなじ捨てる/処分するにしても、もっと弔いたい、魂と向き合いたい、信仰的な動機からの行為だからだ。祖母の家を片付けたあとの夢想 | 青空に紡がれて~祖母の家のお片づけ雑記~ (ameblo.jp)『祖母の家を片付けたあとの夢想』2月4日、立春の日の夕方、イーストさんから電話がかかってきた。 イーストさん「これからなんですけど、マネージャー候補生の若い女性に入ってもらいたい、彼女と…ameblo.jpそれで「断捨離®」が気になったことをきっかけに、同じように”お片づけ”系の言葉がどれくらいあるか、その資格についても、少し調べてみました。・断捨離トレーナー一般財団法人 断捨離公式ページ (dansharizaidan.com)一般財団法人 断捨離公式ページやましたひでこが代表理事の一般財団法人断捨離の公式ホームページです。断捨離の理念を伝え、断捨離の普及を目的としています。全国の断捨離トレーナーも紹介しています。www.dansharizaidan.com・収納整理アドバイザーハウスキーピング協会 (housekeeping.or.jp)ハウスキーピング協会整理収納アドバイザーを始めとする資格検定のご案内。自宅で資格取得ができるオンライン・通信講座も。housekeeping.or.jp・こんまり®流片づけコンサルタントKonmari Media Japan inc. Official SiteKonmari Media Japan inc. Official Siteこんまりこと近藤麻理恵公式ホームページです。 ときめくかどうかの基準で残すものを決める「こんまりメソッド」を編み出し、片づけによって人生が変わると言われる片づけレッスンを提供。現在では、「こんまり流片づけコンサルタント」を育成し、日本を含め世界50カ国以上で約750名が活躍中konmari.jp・整理収納インストラクター日本インストラクター技術協会 (jpinstructor.org)日本インストラクター技術協会 - 日本インストラクター技術協会日本インストラクター技術協会 教える力を中心とした技術の各スキルの水準がある一定以上であることを認定するものでwww.jpinstructor.org・北欧式整理収納プランナー北欧式整理収納プランナー | 日本能力開発推進協会 (JADP) (jadp-society.or.jp)北欧式整理収納プランナー | 日本能力開発推進協会 (JADP)日本能力開発推進協会(JADP)が認定する「北欧式整理収納プランナー」資格は、整理や収納についての基礎知識を踏まえた上で、北欧インテリアのポイントやディスプレイについて理解し、心地よい住空間を提供するためのアドバイスができる能力を身につけていることを証明する資格です。www.jadp-society.or.jp・清掃収納マイスター日本清掃収納協会 NSSK 掃除・収納の知識習得や起業・創業支援および企業の新事業向け研修 (seisou-s.org)日本清掃収納協会 掃除・収納の知識習得や起業・創業支援および企業の新事業向け研修お掃除・お片づけを学びたい方のために、豊富なカリキュラムを提供しています。お掃除(清掃)・お片づけ・整理収納・生前整理の通信講座、認定講座を行います。講師育成、掃除業界で働く方の研修制度、企業内の新規事業の立ち上げ支援を行います。事務局は株式会社アクションパワーが担当。現場で実践を重ねたノウハウが自慢です。seisou-s.org整理、整頓、整え、……。清掃、掃除、片づけ、収納、……。ときめき、自在、ご機嫌、……。人生、自分、心、無意識、……。魔法、ってパワーワードも出てきたなぁ。メタファーや譬喩としての「魔法」として受け止めておくけど。そうでなければ、中世ヨーロッパの魔法なのか、古代南アジアの魔法なのか、現代アフリカの魔法なのか典拠を知りたいところである。だって、もしも一休さんが「ご本堂の雑巾がけには、煩悩を払い、悟りに近づくことのできる魔法の力があるんですよ♪」とか言ってたら、「お茶目さん~」、または「は? 何言ってんの」って思うでしょ。うーん、お掃除系から整理整頓、捨てる特化系まで、いろいろな種類があるんですね。こうした資格は20種類以上もあるのだとか、……。すごい数です。検定ブームや資格ブームも、こうした「肩書」の乱立に輪をかけたのでしょうか? 住んでいる人が生きていて、生活様式や行動を変える必要があるなら、こうした資格も役立つかもしれません。でも私の祖母は98歳で亡くなったので、「汚部屋」とは思わないんですよ。当然、祖母のことも「片づけられない」とも思わない。なにせ施設に入るまで、入院するまで、この家で暮らしてくれただけで十分なんです。本当に頑張ったと思います。98歳、生きているだけで凄いので、「片づけて」なんて言えるわけがないじゃないですか。孫や子どもが、もっと片付けて、住みやすくしてあげれればよかったです、と、後悔しかないです。できることなら、生きているうちに、そのことを伝えたかったです。こうして自分の気持ちと向き合ってみると、やっぱり「ありがとう」と伝えたいなぁ、……。供養をしたいなぁ、と思うのです。信仰や宗教の世界です。ただただ故人の追善を祈る、……。みずからの愚かさを悔い、懺悔する、悔過する。もっとましな自分に成れるように祈る、……。そのための儀式や宗教儀礼として、「喜捨」としての”お片づけ”も機能するのかもしれません。■今年みた初日の出※当方はあくまでも趣味として備忘録として再開した私的なブログ(ウェブ日記)です。商業的利用の方や、スピリチュアル系の方のフォローはお断りしています。※備忘録のために、「#実家の片付け」などで検索すると上位にヒットするサイトのリンクを貼り付けておきます。それでも実家は売れました。 〜施設に入所した親の家の片付けと見守り介護日記〜 (ameblo.jp)それでも実家は売れました。 〜施設に入所した親の家の片付けと見守り介護日記〜うきさんのブログです。最近の記事は「実家の片付け中に「音楽」ってかけてます?(画像あり)」です。ameblo.jp実家を片付けたいと思います。 (ameblo.jp)実家を片付けたいと思います。ゼンさんのブログです。最近の記事は「実家の片付け1020〜一緒に出てきたものたち(画像あり)」です。ameblo.jp「ちゃんとしなきゃ!」をやめたら 二度と散らからない部屋になりました (ameblo.jp)「ちゃんとしなきゃ!」をやめたら 二度と散らからない部屋になりましたなぎまゆさんのブログです。最近の記事は「かわいい空き缶をどうする問題(画像あり)」です。ameblo.jp一人っ子がする介護ってこんなもん? (ameblo.jp)一人っ子がする介護ってこんなもん?びびんばさんのブログです。最近の記事は「遺品整理はつらいよ 40」です。ameblo.jp整理収納レシピ。 (ameblo.jp)整理収納レシピ。梶ヶ谷陽子さんのブログです。最近の記事は「【実家の片づけ】押し入れ完成。(画像あり)」です。ameblo.jp『Positive Living ~前向き人生~』 (ameblo.jp)『Positive Living ~前向き人生~』トッポさんのブログです。最近の記事は「断捨離」です。ameblo.jpアラフィフおひとりさま主婦が10㎏痩せて自立するまで! (ameblo.jp)アラフィフおひとりさま主婦が10㎏痩せて自立するまで!レモンさんのブログです。最近の記事は「コロナと雪と(画像あり)」です。ameblo.jpインテリアと暮らし。ときどき猫。 (ameblo.jp)インテリアと暮らし。ときどき猫。mariさんのブログです。最近の記事は「【めちゃくちゃ便利!!】ロングスカートの悩みを解決してくれたもの!(画像あり)」です。ameblo.jp元アパレル店長、クローゼットから整える「余白のある毎日」@石川県金沢市 (ameblo.jp)元アパレル店長、クローゼットから整える「余白のある毎日」@石川県金沢市ライフオーガナイザー ®︎柴田敦子【石川県金沢市】さんのブログです。最近の記事は「洋服の「一時置き」にあると便利なアイテム3つと「置きっぱなし」をしないためのルール(画像あり)」です。ameblo.jp『 大切な住まいを美しく 』 (ameblo.jp)『 大切な住まいを美しく 』大石 千秋さんのブログです。最近の記事は「買う前に、おうち丸ごとお片付けをしましょう!(画像あり)」です。ameblo.jp部屋にも自分にも自信が持てる!整理・収納術 整理収納アドバイザー阿部静子 (ameblo.jp)部屋にも自分にも自信が持てる!整理・収納術 整理収納アドバイザー阿部静子部屋にも自分にも自信が持てる!整理・収納術 整理収納アドバイザー阿部 静子さんのブログです。最近の記事は「5時間後に気づきが生まれます!整理収納アドバイザー2級認定講座を開催しました(画像あり)」です。ameblo.jp子供4人のバタバタ生活!だからこそミニマムに暮らしたい! (ameblo.jp)子供4人のバタバタ生活!だからこそミニマムに暮らしたい!No.94さんのブログです。最近の記事は「ユニクロ期間限定価格、、、ユニクロ愛(画像あり)」です。ameblo.jp【アメブロからのお片付け関連の書籍 抜粋】「「ちゃんとしなきゃ!」をやめたら 二度と散らからない部屋になりました 家族の悩みも解決編」 なぎまゆ[コミックエッセイ] - KADOKAWA「ちゃんとしなきゃ!」をやめたら 二度と散らからない部屋になりました 家族の悩みも解決編一般書「「ちゃんとしなきゃ!」をやめたら 二度と散らからない部屋になりました 家族の悩みも解決編」のあらすじ、最新情報をKADOKAWA公式サイトより。家が家族の物で闇鍋状態!www.kadokawa.co.jp「片づけ下手でも おしゃれな部屋って言われたい!」 オギャ子[生活・実用書] - KADOKAWA片づけ下手でも おしゃれな部屋って言われたい!生活・実用書「片づけ下手でも おしゃれな部屋って言われたい!」のあらすじ、最新情報をKADOKAWA公式サイトより。あわよくば素敵主婦といわれたい! 部屋づくりwww.kadokawa.co.jpハンカチは5枚あればいい 「もう使わない」ものだけ手放す、60歳からのハッピーお片づけ講座の通販/阿部 静子 - 紙の本:honto本の通販ストアハンカチは5枚あればいい 「もう使わない」ものだけ手放す、60歳からのハッピーお片づけ講座スッキリした部屋で人生後半を楽しもう! 「手放しやすいものから減らして自信をつける」「大皿5枚・小皿20枚で孫が喜ぶごはhonto.jp※本来であれば出版元のリンクを貼りたいのですが、その出版社HPに本のサイトが作られてなかったので、honntoを貼ってます。以上です。
2月4日、立春の日の夕方、イーストさんから電話がかかってきた。 イーストさん「これからなんですけど、マネージャー候補生の若い女性に入ってもらいたい、彼女と私と、私の上司の3人でローテーションを組んで回したいんです」上司の男性・コペンさんには一度会ったことがあるが、候補生の人には会ったことがない。躊躇してしまう。 イーストさん「1カ月に2回くらい、隔週で、と考えているんですが、こちらのスケジュールもきつきつで、わたしと上司だけだとなかなか入れないんです」なるほど。話は分かるが、知らない人には任せたくないので、一度イーストさんと一緒に入ってもらって、私が立ち会った後でなら、と前向きに検討することにした。イーストさんも気を遣ってくれて、一回に複数のスタッフが入ると作業はすすむが、費用もかさむので、躊躇されたのだそうだ。だから、一回だけイーストさんと候補生さんが入る回を設けて、その後は1カ月に2回、隔週くらいのペースで1人だけ数時間、お掃除に入ってもらう方向で、プランを組んでもらうようにお願いした。いまは、その結果待ちである。 1人×11000円(2時間)×3セット=33,000円 33,000円×2回×4か月=264,000円梅雨入り前の5月いっぱいまでを作業に充てるとすると、前回も含めてだいたい30万円強である。後半では不用品処分も行っていかなくてはならない。未使用のよい品については、どこか「喜捨」できる先があればいい、と願っている。できたら地球にやさしい方法で、「喜捨」したい。初回の作業で、じっさいに捨てたのは紙ごみだけだったが、帰り道のわたしは心身晴れやかだった。 ところで、祖母の家を片付けてしまった後、まだ当分先のことだが、その後どのように家を活用するかはノープランだった。今のままだとご近所に迷惑がかかるので、ということで見切り発車してしまったが、なにかいい活用方法はないだろうか、……。自分たちには、すでに祖母の存命時に建てた小さいながらも家があり(ローン支払い中)、夫は高サ住には入らず、自分で建てた家で老後はゆっくりのんびり暮らしたいといっている。そうなると、夫を看取った後でないと、わたしも祖母の家に定住はできない。前回も記したが、この1週間くらいブログ再開作業にともなって、アメブロの使い方を学習するうちに、いろいろなブロガーさんの記事を読むようになった。なんだか参考になりそうなサイトもあって、すごく勉強になった。それにしてもリアルライフで、ブログは書いていないけれど、すっごい素敵なお家に暮らす友人たちがいる(いつかその、ものすごい快適で居心地のいい友の家を、許可を得て紹介してみたい)。世の中広いなぁ~、勉強になるなぁ~、と思う。そういえば、そういう自分も、一年前はイギリスでかなり素敵なお部屋(賃貸・家具付き物件)に住んでいた(笑)。トランク2つで渡英したので、モノもまったく少なかった。■昔住んでいたイギリスの部屋の窓辺それでも、わたしはキラキラ生活を目指していないし、生活は今のままでいいし、運気を上げたいとも思っていない。ただこうしてネットを通じていろいろな他人様のお家の中を、ぼんやり眺めていると、わたしもいずれ祖母のお家じたいを「喜捨」したいのだ、と思っている自分の気持ちに気がつくようになった。営利目的ではない利用の仕方。商業ベースではない活用方法、……。これまでおばあちゃんが楽しく生きて来られたのはご近所の方のお蔭なので、できたらご近所の方が休憩したり、話をしたりできるような、コミュニティ・スペースができるといいのにな、……。そんな夢ができた。流行語の「断捨離」も、本来は仏教用語としての「断捨離」の歴史のほうがずっとずっと古い。「三密」も同様にして仏教用語である。ソーシャルディスタンスではなくて、身・口(くう)・意を意味する超々長い伝統を持った言葉である。なので、どちらも本来の意味以外では使いたくなかった。わたし自身、じつは神主の資格を持っているためで、個人的な感覚として冒涜にあたると感じるからだ。中世以降、幕末までの日本では、仏教と神道が重ねあわされ、信仰された、神仏習合の歴史を持つ。現代の神道家もまた大いに仏教から学んでいる。■母が住んでいる方の実家ともかくも、祖母のお家を「喜捨」するための”お片付け”も、結局はわたしの修行になるのかもしれない。煩悩を捨て去り、菩提に近づくことに、”祖母の家のお片付け”や、”実家のお片付け”も役立つのかもしれないなぁと思う。それが、”お片付け”後におとずれる「澄みわたった心持ち」というか、「晴れやかな気分」の正体ではないだろうか。そんなことを思いながら、次回のスケジュール調整を待っている。※当方はあくまでも趣味として備忘録として再開した私的なブログ(ウェブ日記)です。商業的利用の方や、スピリチュアル系の方のフォローはお断りしています。【作業手順⓪ 遺品整理での処遇】 ・捨てる ・残す ・寄付する ・中古品として売る ・リサイクルする【作業手順①】 ・棚や押し入れは後回しにして、足場の確保をするため、床の上からはじめる【作業手順②】 ・可燃ごみ袋……明らかな要らない物 ・不燃ごみ袋……明らかな要らないで、燃えない物 ・普通ごみ袋……要らない衣服の類【作業手順③】 ・段ボール箱……大事そうな書類、手紙 ・紐でくくる ……雑誌、古新聞、書籍【作業手順④】 ・処分するもの1……古新聞、カレンダー、紙ごみ ・処分するもの2……衣類(使用済みの下着など) ・処分するもの3……食料(米、瓶に入った保存食など) ・処分するもの4……再生不可能な座布団や布団【作業手順⑤】 ・残すもの1 ……食料(缶に入った保存食など) ・残すもの2 ……衣類(祖母の着ていた衣服) ・残すもの3 ……未使用品(贈答品、衣類のストックなど) ・残すもの4 ……手紙や書類、雑誌、書籍【作業手順⑥】 ・保留1 ……家具(ラタンの椅子、パイプ椅子、応接セットなど) ・保留2 ……電化製品(ハロゲンヒーター、扇風機など) ・保留3 ……陶磁器(花瓶、食器など)【作業手順⑦】 ・月2回、隔週のペースですすめる ・ダスキンさんは基本的に1回につき1人ずつお願いする ・作業後半はごみの回収日にあてて、ごみ袋を出す ・できれば梅雨入り前に作業終了したい
1月29日(土)のつづき。いよいよ作業初日、遺品整理の手順とメランコリー | 青空に紡がれて~祖母の家のお片づけ雑記~ (ameblo.jp)『いよいよ作業初日、遺品整理の手順とメランコリー』2022年1月29日、土曜日。わたしが祖母宅に到着したのは、午前10時を過ぎていた。玄関が開いていて、網戸になっていた。すでに、イーストさんはどこかで作業をし…ameblo.jpイーストさんが座敷や縁側を片付けてくれている傍らで、わたしは中の部屋や西の部屋の紙ごみや古新聞を紐で束ねていた。紙ごみもかなりな量だったが、むしろそれ以上に量が多くてとまどったのは、衣類だった。■西の部屋に積み上げられられた衣服おばあちゃんにとっては大切な着物で、大事に着ていたんだろうと思う。近くのクリーニング店に出した後の服がたくさんある。しかも通販サイトで購入したらしい服や靴が、色違いで何点も何点もストックされていた。ネットは引いていないし、パソコンはおろかケータイさえ持っていない祖母だったので、テレビを見て電話で注文するスタイルで、買っていたのだろう。※去年、留学していた時の話。イギリスでは、大家のイラン人&ギリシア人の老夫婦もなかなかの高齢者(70代くらい)だったが、日頃の食料品をはじめなんでもネット注文をしていてのとは、大違いだな~、と思った。この西の部屋は、もともと祖父母が寝起きしていた部屋だった。当初ここには、わたしが小さなころに使っていた古い桐ダンスなんかがあったはずだが、今では木のタンスは1棹もなくなっていた。代わりに、プラスチックの衣装ケースが7つくらい導入されていた。■西の部屋に置かれた衣装ケース衣装ケースを開けるのはまだ先である。なにせ、無造作に積み重なった衣類の山や、段ボールに丁寧に納められた衣類、入院セットと思われるボストンバッグに詰められた衣類、レジ袋に詰められた下着類があった。もう、どんだけ出てくるんだ、というほどの量である。遺品整理をはじめてみて思ったのは、一度も袖を通していない新品は、気持ちの上で捨てるのは簡単だということ。むしろ、おばあちゃんが着ていたものは、捨てにくい、……。ごみ袋につっ込んでみても、捨ててしまっていいものか、心がぐらつくのである。忍びないけれどわたしは着ない。絶対に着ないから、捨てるしかないのだろうけど、もったいない。いや、もったいないけど、やっぱり処分せざるを得ないのである。とりあえず口を縛ったごみ袋だけ数えたら8袋あった。これらも結局、イーストさんの車に乗せてみて、このままでは手放せないことがわかった。気持ちの問題だけど、捨てるのは見送り、また後日処分を検討したいと思います。■玄関先にまとめた衣類※あくまでも趣味として備忘録として再開した私的なブログ(ウェブ日記)です。商業的利用の方や、スピリチュアル系の方のフォローはお断りしています。【衣類:処分の手順】 ・普通ごみ袋A……要らない衣服の類、使用済みの下着とか ・普通ごみ袋B……要らないかもしれない衣服の類、新品の物 ・普通ごみ袋C……要らないかもしれない衣服の類、よく来ていた物【衣類:遺品整理での処遇】 ・残す ・捨てる ・寄付する ・中古品として売る ・リサイクルする
2022年1月29日、土曜日。わたしが祖母宅に到着したのは、午前10時を過ぎていた。玄関が開いていて、網戸になっていた。すでに、イーストさんはどこかで作業をしているらしい。どこだ?■間取り図 1階彼女は、お座敷にいた。身を屈めて、せっせと身体を動かしている。本当は、開始時刻からわたしも立ち会いたかったのだが、遅くなってしまった。『本当のところの見積もり 』2022年1月29日、土曜日。新幹線に乗っていると、スマホが鳴った。イーストさんからメッセージが入った。 イーストさん「只今より始めます」■メッセージで…ameblo.jpイーストさんは、座敷にビニールシートを敷いて、その上で作業してくれていた。畳が傷まないような配慮だろう。じーんと、胸が温かくなった。イーストさん曰く、作業効率を考え、棚や押し入れは後回しにして、足場の確保をするため、床の上からはじめるらしい。なるほど~、と感心する。ごみ袋を数種類(指定可燃ごみ・指定不燃ごみ・普通のごみ袋)買ってきてくれ、そのごみ袋3種類にもろもろを仕分けしていた。わたしがネットで調べていた情報とも合っていたので、たぶん、ここの自治体のごみ分別方法についても、イーストさんは調べてくれたんじゃないかな、と思う。座敷だけに、大事なものがかなり置いてあるようだ。仏壇の周辺はとくにそうだ。雑然として見える家の中も、お祖母ちゃんなりのルールがあったことは疑いようない。位牌がすべてなくなっていたけれど、それらは妹が盗難に遭わないように、持ちだして保管していてくれているそうだ。さすが! 実際に、お墓からは祖父の遺骨が盗まれたことがあるで、わたしも心配だったのだ。そのお仏壇の前に、わたしとはずいぶん前から疎遠になっている外孫のひとりと祖母が写っている写真や、また別の孫の結婚式の写真が置いてあった。幸せそうに笑う祖母の顔を見ると、ほっと肩の荷が下りたような気持になった。■作業のすすめられた座敷(1)「よかったね~。おばあちゃん。訊ねて来てくれる孫がいたんだね。わたしはなかなか来られなかったけれど、よかったね~。嬉しかったね~」と、知らず知らずのうちに写真に語りかけていた。連絡先も知らないその従姉妹に、「ありがとう」と、いつかどこかでお礼を伝えたい。祖母は筆まめだけあって、たくさんの手紙の山があった。そのなかから選り分けて、この孫の写真が選ばれたことは間違いない。(そういえば私の結婚式の写真も送ったが、……。わたしは祖母からの手紙に忙しくて返信できなかった。そのことはずっと今も後悔している。あの時、せめて電話くらい掛ければよかった。)いかんいかん。自分の世界に入り、つい手が止まっていた。イーストさんは黙々と働き続けているのだ。ときどき、「これ要りますか?」とか「捨てましょうか?」とか聞かれるので、意識が戻る。外部にお仕事を依頼してよかった~。イーストさんはすでに雑誌や書籍を紐で束ねていた。■縁側にまとめられた雑誌・本 イーストさん「お手紙や書類は、段ボール箱にまとめています。なにか必要なものがあるかもしれませんから。雑誌は、……もう要らないですよねえ?」■縁側(反対側)にも未開封の雑誌や手紙類目をやると『文藝春秋』や『俳句雑誌』などを定期購読していたらしく、封筒に入ったままの雑誌があちこちに散乱していた。イーストさんはそれらを封筒からだし、封筒や書類は燃えるごみ、雑誌は紙類として紐でまとめている。ただ、それらの封筒や紙のうえにも、文字や俳句が走り書きされていて、確認しないことには捨てられない。祖母は俳人だった。趣味の域であろうと、生活すべてを俳句に捧げていたように、わたしの目には映る。祖母の弟もまた歌人だった。ただこちらは趣味ではなく、プロとしての歌人だった。祖母よりも少しだけ早く亡くなってしまった。■大叔父から祖母への私信孫との写真とはべつに、このハガキも選り分けてあった。思い入れかなにかあるんだろう。ハガキ文面にある歌集は2010年に発行されたものだった。大叔父の最後の歌集だ。父親のところにも送られてきて、わたしも少しだけめくってみた。……、難しかった。わたしは短歌に疎い。なので、無名と言っては申し訳ないが、たぶん無名に近く、価値は分からない。ただ、京都にある有名私立大学の理事長をしていた。もちろん、その恩恵にあずかったことは人生にただ一度もない。でも、祖母にとっては誇りでもあったのだろう。そのせいもあってか、この祖母の兄弟はみな勉強好きなのである。祖母だけではなく祖父も、曽祖父も曾祖母も、勉強好きだった。周りには本屋もない田舎に住んでいるのに、だから結構な量の蔵書があった。イーストさんはそれら蔵書をまとめていて、はっきりとは口にしないが「たぶん捨てるんだろうな~」というつもりで作業していた。わたしにはわかった。じつはわたしも俳句や短歌にはそこまで興味がないので、捨ててもいいかな~と思っていた。文芸雑誌も、同じ文芸春秋でも『オール読物』なら読むかもしれないが、数年分の『文芸春秋』の山を目の当たりにすると、なんだか息苦しくなる。「読んで読んで」と迫る活字の大群に対しては、投げ出したくなる。座敷だけでなく、縁側の渦高い山は、そうした書籍や雑誌、カレンダーの山だった。■縁側の未分類のものたち座敷や縁側には、なんでかわからないが、扇風機と扇風機のような形をしたヒーター(パラボラ型ハロゲンヒーターと言うらしい)が2台ずつ置いてあった。座椅子も何脚か、パイプ椅子もあった。それらはまとめて、物置に移動することにした。たぶん日中はこの座敷で、のんびりと日にあたりながら、ラタンの椅子に腰かけながら、過ごしていたのだろう。紅茶やインスタントコーヒーなどをすすり、俳句をひねったり、文芸雑誌に目を通していた祖母の姿が思い浮かぶ、……。ほかにも衣類や、病院や施設に入居していた時の持ち物が置いてあった。■作業の進められた座敷(2)※衣類が普通のごみ袋にまとめられている衣服や下着は、透明な普通のごみ袋に入れて、リサイクルごみの日に出すことになりそうだ。結局その日は、座敷全体を片付けるところまではいたらなかった。わたしがメランコリーでまったく戦力にならなかったせいだ。いざ、捨てようとするけれど、なかなか捨てられない。それでも、紙ごみだけならばそんなに量はないので、まずは捨ててしまおう。どこにでも流通している雑誌もだ。そう思い、一旦はイーストさんの公用車に載せてもらった。■2015年頃の『文芸春秋』各号けれど結局、捨ててしまおうかと思ったが、祖母がなにを感じ、なにを思いながら晩年を過ごしていたかを知りたくて、雑誌は残すことにした。遺品整理はすすまないけど、処分じゃないから、……。本当にごみだけを捨てることにする。■溜めこまれた紙ごみ、お1人様分【作業手順①】 ・棚や押し入れは後回しにして、足場の確保をするため、床の上からはじめる【作業手順②】 ・可燃ごみ袋……明らかな要らない物 ・不燃ごみ袋……明らかな要らないで、燃えない物 ・普通ごみ袋……要らない衣服の類【作業手順③】 ・段ボール箱……大事そうな書類、手紙 ・紐でくくる ……雑誌、古新聞、書籍
祖母の家(6DKの一軒家)のあちこちに積まれた山。たぶん、それらはわたしにとっては単なるゴミだ。おばあちゃんにとってもゴミだったかもしれない。大雑把でずぼらな性格は、わたしたちに共通だ。掃除も整理整頓も苦手だった。■縁側の端とかにも山■座敷のテレビ台の上の山■中の部屋のテーブルの上にも山なんでこんなに要らないものを溜めこむのかなぁ?? いや、わたしも同じたけど、いつか使うかもと思って結局捨てられない、……。でもお年寄りの場合、それだけではないらしい。というのは、不法投棄と悪質な料金請求の両方で問題となっている、無許可の回収業者がいるらしい。朝日新聞にタイムリーな記事が掲載されていた。ここにあるように、もしもある回収業者で実際に作業してもらったら、見積もりよりも法外に高い金額を請求されたら、ちょっと怖いな、と思った。とくに後期高齢者ならばそうだろう、……。お役所や警察には、田舎の人ほどお世話になりたがらないからね。実際には助けてくれることが多いんだよ、と行政窓口の利用をお勧めしたい。福祉とかね。おばあちゃんがゴミをため込んでしまった理由の一端もわかる気がして、同情する。不用品を無許可で収集した疑い 5カ月で8千万円売り上げか:朝日新聞デジタル (asahi.com)不用品を無許可で収集した疑い 5カ月で8千万円売り上げか:朝日新聞デジタル 無許可で廃棄物の収集運搬をしたとして、愛知県警は2日、不用品回収会社「Y’s company」代表の浅井健太郎容疑者(37)=同県一宮市=ら男2人を廃棄物処理法違反の疑いで再逮捕し、発表した。また、…www.asahi.comちなみに各自治体は、ウェブサイトで違法な、無許可の回収業者を利用しないよう呼び掛けている。たとえばこの事件の起こった一宮市とその隣りの自治体を調べてみると、……。家庭から出る多量ごみの収集運搬|一宮市 (city.ichinomiya.aichi.jp)家庭から出る多量ごみの収集運搬|一宮市一宮市www.city.ichinomiya.aichi.jp無許可の回収業者を利用しないでください|一宮市 (city.ichinomiya.aichi.jp)無許可の回収業者を利用しないでください|一宮市一宮市www.city.ichinomiya.aichi.jp事件(※廃棄物処理法違反の疑いで再逮捕)が起こる前から、どうも問題になっていたらしい。一応、ちゃんと市のホームページには「無許可の回収業者を利用しないで」と、注意喚起がされていて、指定の業者も紹介されている、……。でも、お年寄りは見ないよね、……。遺品整理で出たごみの処理について|稲沢市公式ウェブサイト (city.inazawa.aichi.jp)遺品整理で出たごみの処理について稲沢市公式ウェブサイトwww.city.inazawa.aichi.jpとなりの市でも注意喚起がされている。愛知県に限らず、たぶんどこでも起きていることなのだろう。不用品を許可なく引き取って売買するって、わたしの周囲でもゴミの日や、知り合いだった買い取り業者のお店でも見かけた。だから独身時代は、回収時間までに起きれないこともあり、よく環境センターまで車で持って行っていたっけ、……。マンション内に自治会があって、掃除当番はきっちりさせられていたけど、夜に出すの禁止だし、不用心だったからなぁ。(もちろんそういう持って行ってしまう人にも、持って行ってしまう側の理由があるんですよ。違法ですが。)ひどいのは、自然災害があった地域にライフラインが回復する前に押しかけて、勝手に不用品として判断して持って行ってしまう、窃盗だ。人や社会の弱っているときに付け入るので、ほんとうにひどい。完全に犯罪です。この先、祖母の家からも遺品整理ごみが出るだろうけど、可燃ごみは普通にごみの回収の日がある日時に収集場所まで持っていき、粗大ごみや不燃ごみは、自治体の環境センターに持ち込みしようと思ってる。住民票が必要なら移してもいいけれど、そこまでする必要はないみたいです。■台所にも古新聞の山祖母宅の古新聞、まとめて紐でくくってくれたのは、本人じゃなくて、ケアマネージャーさんかもしれない。実際にあったことはないけれど、デイサービスをまだ利用していた頃に、電話で話したことがある。(恥ずかしがらず、お役所のお世話になって有難いことってあるんですよ。)ちなみにわたしは独身時代には、リサイクルの日(粗大ごみの日)に当番でやっぱり立たされて分別の手伝いとかしたけど、わたしたちが帰るとすぐに住民以外の人がやってきて、ゴミ捨て場から使えそうなものを集めていて、ちょっと怖かった、……。そういう自治会の当番も、高齢者で家族がいないとやるのが辛いだろうし、当番をしないとゴミも出しにくい思いがするんじゃないだろうか。おばあちゃん、がんばったよ! あとはわたしがちゃんと分別して捨てるからね!■まとめ:家庭ごみや処分したい遺品を回収する業者には、その自治体が発行する「一般廃棄物処理業(収集運搬)」の許可が必要! ×産業廃棄物収集運搬業許可:事業所等からの産業廃棄物の取扱いへの許可だから。 ×古物商許可 :中古品の売買のための許可だから。 ×遺品整理士 :民間の設定した資格で、遺品整理ごみは回収できない。■典拠:「(昭和四十五年法律第百三十七号)廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第二章 第一節 一般廃棄物の処理(一般廃棄物処理計画) 第六条より
2022年1月29日、土曜日。新幹線に乗っていると、スマホが鳴った。イーストさんからメッセージが入った。 イーストさん「只今より始めます」■メッセージでのやりとり(1)早いなぁ、と思う。こちらは子どもたちを一時預かり保育へ登園させるのに手間取ってしまい、出遅れてしまった。実際に送っていったのは夫だが、「じゃあ!」と出掛けるわけにもいかず、子どもたちの朝食と持ち物の用意をしたので遅くなってしまった。前回、お見積もりはもらえなかった、と書いた。たしかに、一軒家を完全にお掃除して、定期サービスに入る前までのお見積もりはもらえなかったが、一回ごとのお見積もりは出してもらっている。■メッセージでのやりとり(2)2時間1名で1万1千円。これを高いとみるか、安いとみるか。おんなじ会社でもちがう支店だと、もうちょっと安い場合があるけど。ちなみに、わたしたちの利用しているダスキン早川支店での相場はこのくらい。ハウスクリーニングをお探しならお任せ下さい!出張料はどれ位かかりますか? 出張料はいただいておりません。弊社では、施工料金のみでご案内させて頂いております。 突然の来客が決まってしまったのですが、依頼したその日にお願いする事は可能でしょうか。 osoji-master.infoキッチン8800円~(税込み)とあるので、これが首都圏での2時間1名での料金にあたると思う。なんか、首都圏より高いってどういうことなんだろう、……。ド田舎なのに。でも、令和4年のこのご時世にイーストさん自身が来てくれるのだ。1時間5500円ならば、いい。わたしなら、絶対にやらないもの。やったら、へとへとになるもの。肉体労働にスキルが要るもの。■メッセージでのやりとり(3)そんなわけで、今回はプラン1の6時間コース(1名3時間+2名3時間)で49500円をお願いした。これで、人件費だけで考えると1か月に2回隔週で作業に入るとして、3か月で297000円。およそ30万円である。長びいて半年かけるとすると、60万円かぁ、……。ゴミの撤去、搬送と処分費用はまた別にかかってくるだろうし、今回開通した電気料金、またこれからは水道も使用するので水道料金、それにゴミ袋やら縛る紐やらなどの資材は、別途必要になる。あとわたしの交通費もね。さらに定期メンテナンスとして、ハウスクリーニングを月2回入ってもらうとすると、……2時間1名で1万1千円×2回×12か月。1年で264,000円。月1回にすると、1年で132,000円。こんなところかな、おばあちゃん。ちなみに、わたしは財産相続していません。まったく。あーーーーー! おばあちゃんの遺産は、ぜんぶ父の弟が持っていったのが悔しいーーー!! 遺留分返せっーーー!!! (いいんだ、わたしには思い出があるっ!! そう思おう!)
2022年1月17日、月曜日。およそ午後3時に、打ち合わせは終了した。前回の失敗をふまえて、家の鍵はイーストさんにお渡しし、会社で預かってもらうこととなった。これから、どのくらいの時間で、祖母の家は片付くのだろう?そんなことを思っていると、イーストさんから逆に尋ねられた。 イーストさん「だいたいいつごろまでに、お部屋の中をきれいにする必要がありますか?」 私 「え? いつごろというのは?」 イーストさん「ええ。新年度の4月までに住めるようになりたいとか。夏までに、とか」 私 「ああ、大丈夫です。ないですから」そう言うと、イーストさんはかえって不安げだった。イーストさんは、「けっこうありますよね」と、つぶやいた。たしかに、数えてみると6DKプラス離れの6畳1室で、合計8部屋に物置と廊下まである。 イーストさん「どれくらいかかるか分かりませんので、お見積もりは出すのが難しいです」■一階の間取り図■二階の間取り図イーストさんは非常に婉曲的に、見積もりは出せないとおっしゃったのであるが、わたしは驚かなかった。ざっくりだが、ある遺品整理の業者が出しているホームページでは、相場ではおよそ30万円ほどらしい。でも、これは安く見積もった場合。作業にあたる人件費もゴミ搬出時のトラック使用料も、必要最低限のコストがある。利潤も出さなければならない。6DKの一軒家が、たった30万円で遺品整理できるわけがない。もしできるとすれば、それはただの処分だろう。なぜ、こんな推論ができるのかというと、わたしはこれまで過去の自然災害の時に、被災したお家に入り、家の中の物やいろいろを”お片付け”をするというボランティアに携わってきたからだ。それが仕事の一環だったし(ボランティア休暇が設けられたあとは、完全なボランティア)、自己研鑽のためにも、助けあいたい・役に立ちたいという気持ちからも、当然のことだった。ちなみに、そうしたお家は取り壊すか、しばらく人が住まないので、このような行為を「戸閉め」と呼んでいた。「戸閉め」の瞬間はとても尊く感慨深い。そこにはただ古いだけではなく、お家に住んでいた人にとっての貴重品や、地域全体にとっても大切なものが残されている。それは”今”だけでなく、”未来”の人にとって必要になるものかもしれない。わたしは遠巻きに立ち会うだけだったが、それらを無事に運び出して、玄関に鍵をかける瞬間は、寂しくもあるし希望も感じる瞬間だった。だから本当に信頼できる人でないと、”お片付け”は任せられない。そして、信頼できる組織や会社であっても、来てくれる人が違えば、やっぱり任せられないこともある。あまり悪いことは考えたくはないが、人件費を抑えたうえで大勢の人足をかき集めた場合、いくら作業に立ち会ったとしても、完全に目が行き届く保証はない。金品としての価値で判断され、ブラックマーケットに流されない、という保証もない。というわけで、見積もりが出せないといわれても、「仕方がないな~」と思った。 わたし 「じゃあ、これからの予定ですけど、どうしましょうか? イーストさん「スケジュールが本当に詰まっていますので、土日とかでもよろしいですか? 土日もあまり空いていないんですけど、……」……、本当はちょっと困る。週末は子どもの世話もあるからだ。この時期、年度末は土日すら夫は忙しく、働いている。これだと完全に、イーストさんの会社のペースだが、致し方ない。 わたし 「もし土日しかないんでしたら、土曜日なら一時預かり保育を利用できるので、土曜日でお願いします」 イーストさん「わかりました。遠くからお見えですから、ある程度まとまった時間をあてたほうがよろしいんですよね?」 わたし 「そうですね。それだと助かります。わたしが来たときはある程度まとめてやって。指示を出しますから、その後はそちらだけで、空いている時間に入っていただくようにしても構いません」 イーストさん「それでしたら、なんとか可能です」よし! 交渉成立。 イーストさん「それで、いつごろまでに、お部屋の中をきれいにする必要がありますか?」 わたし 「いつまでって、ないんですよ。ゆっくりでいいです」最初の質問だ。はっきり言って、わたしにも見通しが立ってない。一回の作業でどれくらい進むのかもわからない。たしかにデッドラインを決めてしまえば、そこにいたるまでの時間を割って、一介の作業でどれだけやるか、作業にあたる量の方を見積もれる。でも、そうしたことは、しないほうがいい。慎重に、……。難しいところだが。ただ、夏場のエアコンが使えないことを想定すると、5月くらいまでにある程度はお片付けしてしまったほうがいいかもしれない。それに、ダニやゴキブリなどの発生を考えると、冬のこの時期にできるだけすすめておきたい。 イーストさん「では、次回、ゴミ袋をご用意してもらえますか?」昔は、指定のゴミ袋なんてなかったし、普通のゴミ袋は少し歩いたところにある商店街に売っていた。いまはどこで買えばいいのだろう。ここと同じ市町村に住んでいる友人がいるので、聞いてみることにしよう。 イーストさん「不要なものを、どんどんゴミ袋に詰めていきましょう」 わたし 「なるほど! 可燃ごみと不燃ごみ、ここはゴミの分別はどうなっているんでしょうね?」 イーストさん「それはわたしも分かりません。自治体によって違うので。大型ごみなんかは出しておけば回収してくれるところもありますし、自分で持ち込みが必要なところもあるのかも」そりゃそうだ。ネットで調べてみる必要がある。古い電化製品とか、使わない家具とか。ただその頃は、わたしはとても楽観視していた。仕事で使っている懐中電灯でぼんやりと見ていた。光のあたっている一部しか見えなくて、視野率30パーセントくらいしかなかったのではないか。こうして、見積もりはとれなかったが、なんとか作業自体は引き受けてもらえることになった。密閉性のない昔の家なので、害虫が侵入するのは避けられないが、それでもアースレッド(霧タイプ)を焚いた。燻蒸剤は、物によっては金属などを痛めることがあるが、致し方ない。■雨合羽と帽子と軍手と眼鏡を着用古そうなアルバムと、わたしが昔使っていた髪留めの入った箱を持ち出してから、鍵をかけた。おばあちゃんの使っていた、古いタンスや鏡台は見当たらなかった。使いにくいから、さすがに捨ててしまったのかもしれない。残っていたら、きっと貰ってしまっただろう。そうしたら家族から怒られるだろうから、これでよかったのかもしれない。
1月17日。最寄り駅に降りたつと、信じられないほど空気が凍てついていた。家族のいる家を出た3時間ほど前よりも、はるかに寒い。午後1時20分。前回と同じくAさん(以下、コペンさんと仮称しよう)は、控えめな態度で笑って待ってくれていた。彼からクリーニング部門のマネージャー、Bさん(以下、イーストさんと呼ぶことにする)を紹介され、名刺を戴く。思っていたよりも年配の女性で、ソフトな人あたりだ。きっと、この方もお子さまがたが独立されるまでは、家庭でさまざまな経験を積まれてきたのではないか、と想像した。この地域の人と違うのか、2人ともあまり方言が出ないのが、ちょっと残念だった。祖母宅から最寄りの支店といっても、県庁所在地であるN市内にあり、けっこうな距離を車で走ってこられている。玄関の鍵を開けて、先にAさんとイーストさんのお2人に入ってもらった。しばらくしても、出てこない。かなりの時間、お2人で話し合いながら、部屋の中を見て回られた。なにを話しているんだろう、……。わたしは待っていた。 コペンさん「ゴキブリの死骸がひとつありましたね」 わたし 「!!!!」(いや、まぁ、あるでしょう。ないわけ、ないですよね。……)でも、本当は、害虫なんていないでほしい。冬だし、もしかしたら、ゴキブリも鼠もダニも、全然いなくて、綺麗なんじゃないか。きれいだったら、いいな、……。と、楽天的に構えていたのだ。 わたし 「大丈夫です! アースレッド持ってきました。それで、お見積もりは?」 コペンさん「じつは、”効率”から考えますとですね、お掃除が済んでからの方がいいんですよ。不要なものをできだけ処分されてからの方が。そうでないと、結局おんなじなんです」そうなのだろうか。まだ半信半疑だった。一回でも燻蒸に入ってくれた方が、ダニや害虫のアレルギーでかぶれることがないんじゃないか。 昨年(2021)の3月に、この家を訪れた末の妹が、「肌がかぶれた」といっていた。それに晩年の祖母は、ダニ・アレルギーが出て、入院したこともあるのだ。その話を聞いたのが2015年だったから、2013年頃のことだろう。なお、わたしが最後に訪問した2005年頃は、1階部分で生活するだけならなんともないが、2階に行くとたしかに身体がかゆくなった。(今はどうだろう?)念のため、レインコートを着込み、フードをかぶってから、中に入ることにした。スニーカーのままずかずかと、玄関から上がりこむ。母が雑巾を固く絞ってみがいていた木の廊下が、しろく埃がつもって、まだらになって、とても惨めな感じに変わっていた。玄関:靴箱の上に花を飾っていた形跡。お皿がある。しかし、懐中電灯で照らしてみる限り、それほど問題はなさそうなのである。わりと祖母は亡くなる間近までこの家で暮らしていたようで、あちこちに生活の跡があり、それは修繕の跡、つまり出入りのお店や大工の人に、お願いして、工事してもらったのだろう。ともかく、わたしは見えないことをいいことに楽観視しすぎていたのだと、今にしてみれば思う。 浴室:祖母の座る椅子と、新しくステンレスにされた風呂釜。台所:電子ポットや炊飯器、IH調理器、電子レンジ。98歳はオール電化で食事作り。縁側:あちこちに様々な物が積みあげられた山。(小汚いけれど、まぁ、なんとかなるんじゃないかな、……)真っ暗に閉め切った中で、ライトが照らし出す、直径1メートル位の範囲だけをみて、安易にも胸をなでおろしていた。むしろ心配だったのは、湿気か雨漏りで腐食した木材や畳だった。西の部屋から、渡りを通って、離れに行けるはずなのだが、その扉、というか窓が開かない。この古いガラス窓。天井近くの壁が黒くなっているのは、カビ。鍵は開いているのに、……。気になるのは家じゅうでここくらいだった。それに、もし楽観視していなかったら、逆に、実家の片づけなんて、着手さえできなかったのかもしれない。
年末(2021年12月)、いよいよ祖母の家の害虫駆除をする見積もりのため、業者のAさんに来てもらった。さあ、中にはいろう、と玄関を前にしたときに気付いた。(はっ!この鍵じゃない!!)なんて愚かなんだろう。少し前に、母から厳重に郵送してもらったというのに。ちゃんと白い封筒に入っているのを確かめたというのに、わたしがサコッシュに入れて持ってきたのは、ピンクの韓国製巾着袋に収めた、夫の実家の鍵だったのだ。いま必要なのはおばあちゃんの家の鍵だ! わたしのバカ。田舎なのですぐに近所の人たちがわらわら出てきて、あれこれ心配してくれる。年末だったせいで、それぞれのご家庭にお孫さんが帰ってきていた。我が家も一家5人全員で帰省していたが、鍵を間違えたせいで、誰一人なかに入ることはできなかった。そうこうするうちに、隣家のKおじさんが出てきた。すでに80代であろうと思われるKおじさんは、わたしの母からの依頼で、シルバーさんとして庭木の剪定をしてくれ、畑や庭の除草も行うなど、メンテナンスを祖母の没後約5年にわたって引き受けてくれていた。「ちょうどいいから説明しますわ」とのことで、家の外周(かっこよくいえばエクステリア)の管理あれこれをおうかがいした。まず玄関の周囲は、斜め向かいのWおばさんが掃除してくれており、季節ごとに花を植えてくれている、とのことだった。今はパンジー、葉ボタンなどが賑やかさを添えてくれている。胸が温かくなった。空き家になった今も、ご近所の方から気にかけていただけているなんて、本当に有難い。それから、除草剤を撒いているせいだろうか、庭木の多くが枯れているなかで、泰山木だけはなぜ大きくなっていた。「泥棒がこの木をつたって二階に入り込んだことがあるから、枝は短く切ってます」なるほど、と私は樹高を仰いだ。その泰山木は、幹は太いのに、枝はことごとく短く切りとられ、まるで電信柱に緑色のマイタケでも生えたように、気の毒な姿になっている。しかし、しばらく眺めていると、Kおじさんは教えてくれた。「この木は、”お父さん”がこの家を建てた時に植樹した記念樹ですからね。だからこれだけは、枯らさずにいます」と、という。昔からすっきりとした甘い香りのする、この泰山木の大きな白い花が好きで、産毛の生えた大きな葉の方は船に見立ててよく遊んだ。この幼子の遊び相手である木を亡き父が選び、この土地に植えたのだと思うと、涙が出そうだった。また、畑の角にある丸い大きな石。それは、祖母が境界として置いたのだという。箸やボールペンよりも重いものを持ったことのないような印象の祖母だが、彼女がその石を置き、この土地を守ろうとしていたような気がして、祖母の覚悟のようなものを感じた。そうこうしてKおじさんとわたしは家と庭と畑の周りを一周した。果樹や庭木はすっかり枯れて倒れてしまっているし、隣りの土地の、甘い香りを運ぶ金木犀の生垣もなくなっていた。けれど、もう声を聴くことはできないと思っていた祖母や父のよすがを、思いがけず木や石に見いだし、とても嬉しかった。祖母のこの家は、曽祖父が「Y(わたしの祖父のこと)が○○病院の少し南に六畳と四畳半の二階建を新築してと39年7月移住した」(『亡き母の思い出集』105頁)と記しているように、昭和39年(1964)7月に祖父によって建てられた。もうすぐ築58年を迎える古民家だ。ただ、なぜ、その時期にその場所に家を建てたのか、あまりこれまで考えたことはなかったけれど、その2年前に曾祖母が中風を患い、○○病院に入院して闘病生活の後に亡くなっている。昔は、病院と言えばそこの○○病院しか、近くに大きな病院はなく、曽祖父がまだ80代で存命であったから、入院しても看病がしやすいようにというはからいもあったのかもしれない。そういえば、わたしも○○病院で産まれたのだ。近所には、この祖母の家よりも古い、豪農とも思える門構えの家が数件かあるが、小さな小さなこの10件ほどの集落はだいたい同じ時期か、それよりも新しい時期に建てられた家だ(いまはもちろん新しい家に建て替えられている。)。1960年代当時、まだ道は舗装されてなかったけれど、基幹道路になっていた。町に唯一ある有人駅にも近く、商店街もあり、大きな○○病院にも遠からずという、この地域で、希望を見いだし移住したのだろう、と想像する。そして、この集落で、たまたま巡りあわせた人たちが助け合いながら、約60年を生き抜いてきた。それに、……。おばあさんが亡くなってなお、この古民家は近所の人たちに支えてもらい、生き続けている。わたしはその事実と事実の向こう側に、思いを馳せた。生きるというのは、こんなに人の血の通った熱い営みなんだ、と実感する。次回こそは、ちゃんとこの祖母の家の鍵を持ってきて、害虫駆除の見積もりを取らなくては。それにできたら、遺品整理など、家の中の物のお片付けもしていけるよう、クリーニングサービスの見積もりも取りたいし、誰かに手伝ってもらわなければ、とうてい60年分の物品整理だなんて一人では手に負えないだろう。家の中がどうなっているのか不安だけど、「守らなくては」、という、幼な子や乳飲み子に対するような覚悟がどこからか”ふつふつ”と沸いていた。
#新年にあらためて自己紹介-2020/02/01:旧暦正月-はじめまして。あるいは、あらためまして、こんにちは。"ちゅーりっぷさぶれ"です。築40年の共同住宅(3DK)にて5人暮らし。なんと、まさかの40代で3人出産しまして、産後のいろいろを引きずりながら、更年期に片足をかけてます。アラフィフですよ~。今年の目標はいろいろありますが、3番目くらいに、おばあちゃんの家を片付けること!小さな二階建ての一軒家とお庭と畑。想い出のいろいろつまったその場所を、できたら蘇らせたい。たとえ儚い夢でも、願うくらいは自由だから。時間もお金も体力も気象現象も、いろいろままならないけれど、みんなが笑顔になるように!