小学生の頃は戦前からの日本家屋に住み、床の間には掛け軸、茶の間には火鉢、夏になると祖母の指揮で建具を簾戸に変えたものです。
5年生になるとお茶のお稽古に。鉄瓶が重くて持てず、銀瓶を使わせていただきました。

(茶道は20年以上趣味として続けましたが、転居などで新たな師との出会いがなく現在はお休みしています)


そんな典型的な昭和の日本家庭に育った私も結婚して30代半ばからは西洋、英国の食卓文化にはまり、食卓文化史や紅茶の勉強に没頭。

イギリスやカナダのアンティーク銀器などもコレクションしました。

ヨーロッパにも何度も行く機会があり、美術館や博物館、そして街角の風景や自然から学ぶことも多かったです。

 

50代半ばからは少しずつ日本文化へ回帰…といっても、自宅は洋間ばかり(和室は来客用の一部屋だけ)、完全に洋風のライフスタイルなので、歌舞伎や能などに触れるのはとても特別なことに感じられました。

 

そしてここ数年、一段と日本文化の奥深さに触れる機会が増えてきました。

 



先日は、「雅楽」についての講演を聴く機会があり、今まで知らなかったことがたくさん!

約1200年前から日本に伝わっていた雅楽ですが、日ごろ接する機会もなく・・

でも疑問に思っていたことなどをひもといていただけ、目からうろこが何枚も・・・

 

雅楽とは、仏教伝来とともに大陸から伝わった音楽のことですが、外来の様式を踏まえつつ日本独自の様式に整えられた舞曲や音曲が1000年以上京都や奈良・大阪の専門の演奏家によって受け継がれてきました。

 

演奏や踊りの所作、衣装にも一つ一つ意味と伝統がありますが、私が最も印象的だったのは

 

「外来の宗教である仏教、その仏様をもてなすために外来の音楽を奏でた」という雅楽の始まりです。

 

アメリカから来られたゲストをもてなすために、アメリカの音楽・・・ジャズやロック、カントリーミュージックなどを演奏するのと同じことを私たちの祖先はしていたんですね。

 

「日本人のもてなしの心」はすでに1000年以上前からあり、また、外来の文化をうまく日本古来の文化と融合させることもしていたという、私たちの祖先の懐の深さに感じ入るものがありました。