年明けには、子供の高校受験が迫っていた。
コロナは収まる気配がなく、公私共に感染しないことを最優先に生活していた。
乳頭からの出血の事など全く気にしていなかった。



年末に、夫の友人が末期の癌だと知らされる。
あまりにも突然の知らせに、夫はひどく落ち込んでいた。
しかしそのことがきっかけで、自身の健康を見つめ直した。
ふと、出血のことが気になり始めた。
恐る恐る夫に打ち明けると、再検査を強く促された。



正直、伝えなければよかったと思った。
夏に検診を受けたばかりだ。
ごくたまに、ごくわずかな出血があるだけだ。
子供の高校受験を成功させなければならない。
中学受験に続き、第一志望校を絶対に勝ち取りたい。
受験が終わったら受診すれば良い。
そんな風に考えていた。