私の乳がんは非浸潤癌なのにリンパ節へ転移した。
術前の画像診断で転移がないと判断され、乳房切除時のセンチネルリンパ節生検も陰性だった。
だから、手術以外の治療は一切なかった。
センチネルリンパ節とは、乳房内から乳がん細胞が最初に辿り着くリンパ節と定義され、術中にこれを摘出し、がん細胞があるかどうか(転移の有無)を顕微鏡で調べる検査だ。
この診断によって手術の方法が変わる可能性があるため、迅速性が求められる。
この生検で摘出したリンパ節から転移は見つからなかったのに、転移した。
ベテランの主治医にとって、初めての経験。
ベテランのセカンドオピニオンの病理医も、初めての経験。
「乳がん病理医の神様と呼ばれた先生さえも見逃した標本を思い出します。まれ中のまれです。」
0.02%ほどの確率でしか起きないことが、私の体で起きてしまった。
この悔しさをどこにぶつけていいのか分からなかった。