今日から入院。

ゆっくり寝ててねと、娘が朝食を作ってくれた。

息子のお弁当も作ってくれた。

朝ご飯の匂いで目覚める幸せ。

明日になったら口がまずくなるんだろうからと、しっかり味わった。




化学療法中は、母親らしいこと、妻らしいことができなくなってしまうのかもしれない。

そもそも私は子育てがとても下手だった。

自己中心的な息子を恨んだこともあったし、エンジンがかかりにくい娘に、よくイライラした。
もうお母さんを辞めたいと思ったことも何度もあった。



しかし、塾の面談で知ったことだが、今となってはそれぞれが自分の目標に向かって着実に歩みを進めているらしい。
私の病をそれぞれに解釈し、将来は医学を志すと言ってくれた日には涙を隠せなかった。



子供たちの自立。優しさ。
もしかしたら、それこそが“キャンサーギフト“なのかもしれなかった。



辛いことが多かった。
でも、辛いことばかりでもなかった。



癌になった自分を許せなかった。
でも、少しだけ自分を許してあげたいと思えた。