前回は、食欲には、本物の食欲とにせものの食欲の2種類があるということをお伝えしました。
今回は、その2つを見分ける方法についてです。
当然ながら、本物の食欲=本物の空腹感、にせものの食欲=にせものの空腹感とも言えます。
というわけで、感じている空腹感が本物かにせものかをどうやって見分けるかをお伝えします。
ふつうは、おなかがすいたと感じたら、それは本物の空腹感だと思いますよね。
でも、実際はにせものの空腹感であることも多いのです。
にせものの空腹感の怖いところは、栄養不足によって生じているものではないので、どれだけたくさん食べても満足してくれないという点です。このことを知っていないと、自己嫌悪でパニックになってもおかしくないと思います。
ぜひ、しっかりと見分けられるようになってください。
にせものの空腹感は、はっきりいってよくわかりません(苦笑)。
背中がかゆいと感じて、背中をかこうとしたら、結局どこがかゆいのかよくわからなくて、いったいどういうことなんだろう?ってなることがあると思いますが、それとおんなじような感じです。
これらの感覚は、あまりはっきりとしたものではなく、けっこういい加減なものなのです。
一方、本物の空腹感は、かなりはっきりわかると思います。
こちらの感覚をしっかりとおぼえれば、それを判断基準にして、本物かにせものかを見分けることができるようになります。
例えば、長い時間、何も食べていなくて、この空腹感は明らかに本物だと感じるときがあると思います。そのとき、おなかのどのあたりがどういうふうに苦しいと感じるのかを調べてみてください。
おなかに手のひらを当てて、聴診器のように調べていくと、前を向いて、左側に苦しさを感じると思います。おへその左側や左上に空洞があるような苦しさを感じると思います。そのあたりが、まわりよりも温度が低くなっているのがわかることも多いです。
そのあたりに胃が横たわっていて、空っぽで苦しいと感じるのでしょう。
その本物の空腹感を感じるときは、しっかりと食べると、はっきりと満腹感、満足感が高まってくれます。
また、本物の空腹感を感じているときに食べると、食べものが本当においしく感じられます。
その本物の空腹感の感覚をはっきりと感じて、おぼえるようにしてください。
本物の空腹感の感覚を知っていれば、その感覚に近いものは本物の空腹感で、遠いものはにせものの空腹感と見分けられるようになります。
近いか遠いか、わかるか不安と思われるかもしれませんが、イライラしたり、興奮したり、精神的に不快な感情を感じているときには、「ああ、これはにせものの空腹感だろうなあ。」とだいたいわかるようになってきます。
本物の空腹感は体が栄養不足を訴えている信号で、あまり我慢しない方がよい空腹感です。
にせものの空腹感は、心理的な不快感などが原因となっているもので、我慢した方がよい空腹感です。食べているときだけは、気分が楽になりますが、体は「こんなものを頼んだおぼえはない。」とむしろ困ってしまいます。
本物の空腹感は体の空腹感(体の食欲)、にせものの空腹感は心の空腹感(心の食欲)とも言えます。
体の食欲は欲求で、心の食欲は欲望という感じです。
欲求には従い、欲望にはなるべく従わない方がよいわけです。
まず、本物の空腹感というものを知るようにしてください。それがわかれば、だいたい見分けられるようになると思います。別に100%見分けられる必要などありませんので、あせらずに挑戦してみてください。
本物の空腹感とにせものの空腹感が見分けられるようになれば、ダイエットはそれまでとまったく違ったものになるはずです。
次回は、特にとらえにくい「にせものの空腹感」についてです。
イライラなど心理的な不快感とは異なるものが原因となっています。
これは、ずっと原因がわからなくて困っていたのですが、2年半ほど前にようやくとらえることができるようになったものです。本当に怖いものです。
過食症など、摂食障害で苦しんでいる人たちに特に知っていただきたいと思っています。